• 面接に受かるには「ストーリー戦略」が必要だ! 

     川上真史 『コンピテンシー面接マニュアル』は、企業の採用支援や面接手法のアドバイス手掛ける人材コンサルタントによる、採用担当者のための実践的面接マニュアル。採用者側の手の内を知るという意味でも、求職者にとってもおすすめの本だ。

     著者によると、新卒採用にせよ中途採用にせよ、最近の企業は、通りいっぺんのスキルや経験を質問するのではなく、応募者のコンピテンシー、つまり「自分の強み」に着目した質問をすることが多いという。

     「あきらめないこと」「誰とでも仲良くやっていけること」・・・強みは人それぞれだが、質問はそれで終わらない。企業にとって気になるのは、応募者が、自己の強みを活かして、どんな場面でどんなことを成し遂げ、どんなことをどのように乗り切ってきたかだ。

     これは、企業をめぐる環境の変化が速くなり、自分の部署や担当する業務が目まぐるしく変化するなかで、柔軟かつ粘り強く対応し成果を出す人材が求められていることの表れかもしれない。

     そうなると、自分の強みとそれを表すエピソードについて具体的に説明できるよう、しっかり準備してきた者が有利になりそうだが、中途半端な準備は逆効果だ。

      「出来すぎたストーリー」はかえって逆効果

     ある大手就職会社の人事部長によると、新卒採用で学生に、このコンピテンシーに関する質問をすると、9割がた同じ話を披露するのだという。

     「バイトやサークルで、ある日スタッフやメンバー同士のトラブルや不和が発生。そこで応募者が、演説よろしく熱弁をふるって彼らを説得し、みんなは以前より一致団結して事に当たるようになった、というもの。このストーリー、誰かが裏で“仕込んでる”んですかねぇ」

     たしかに、バイトやサークルで不和やトラブルが起こったという場面で、「自分だけ気づかれないように帰りました」とか「じっと気配を殺してました」という回答はまずいかもしれない。  

     しかし、そもそも応募者の間に、自分自身を「集団をまとめて引っ張っていけるリーダータイプだと位置付けないと採用されないかもしれない」という盲信に近い前提があるからこそ、このワンパターンなストーリーが量産されてしまうのではないだろうか。

     企業という組織は、リーダーシップに長けた者、こつこつ細かな作業をこなせる者、外部へのアピールが得意な者、さまざまなタイプの人間で成り立っている。

     自分を狭いタイプに無理やり当てはめずに、こんなときこそ自己分析を行い、自分の魅力を有効にアピールするための過去の経験の棚卸しをするべきだ。

     

  • 企業ニュース
    アクセスランキング

    働きやすい企業ランキング

    年間決定実績1,000件以上の求人データベース Agent Navigation
    転職相談で副業