• 人事は「好き嫌い」で決まるのか? 「あんなヤツ」が出世する理由とは

    「あいつだけ出世する理由がわからない」
    「なぜ自分の給料は上がらないのか」
    「突然出向を命じられるのはなぜか」

    そうした「不遇」の矛先は、たいていが「人事」に向けられる。もっとも「人事部」がない会社も多いから、総務部や管理部、あるいは直属の上司にその疑問が向けられることもあるだろう。評価の理由、異動の理由など、働いていれば気にならないはずがない。

     「正直、嫌いなやつと仕事をするのは苦痛」

    人事という仕事は「ブラックボックス」である。完全に客観性を保つことは難しい。だからこそ人事の仕事は、会社の業種や規模、経営方針によって違いが出てくる。ただ、人が人を評価するのだから、その「正直な部分」が出てくるのは仕方のないことだろう。

    たとえば、インテリジェンスの鎌田社長も東洋経済のインタビューで、「正直、嫌いなやつと仕事をするのは苦痛ですよね」と述懐している。松井証券では、松井社長が「人事は好き嫌いで決まる」と言ってはばからない。実際に同社での人事は、数字だけで評価するスタイルを排除し、面接を重視した「きわめて感性重視の手法」で行われるという。

    実際、さまざまな企業の人事担当者にホンネを探った『人事はどこまで知っているのか』(岩瀬達哉著・講談社)によると、いわゆる「勘違い」や「好き嫌い」によって、誤った決定がなされることが、往々にしてあるということだ。

    ある情報関連会社では、人事部長が強権を発動していたという。傘下の課長を腹心で固め、役員入りする際は後任の人事部長に「最も忠実な部下」を指名した。昇進人事には細かく口出しをし、子飼いの人間以外は出世できないシステムができあがったという。

     人事と「うまく付き合う」には?

     ここまで露骨に人事が行われている会社は稀だろうが、不当な待遇や理不尽な待遇には、誰もが据え置かれたくないものだろう。そうならないために、同著では「人事とうまく付き合う方法」も紹介している。「あんなヤツ」が出世する理由もわかるかもしれない。

    いわく、若手社員にとっては「評価を気にせず、自主的に仕事に取り組む」ことが、人事にアピールする最良の方法なのだという。チャレンジする姿勢さえあれば、たとえ小さな失敗をしたとしても、若手のチャレンジ精神が組織へ「いい刺激」になるほうを評価する人事は多いのだ。

    それは管理職になっても同じで、「うるさがられるくらい人事に相談すること」が大事。ただそれは「顔色伺い」ではない。人事の懐に飛び込み、現場の情報を多く提供し、問題点をどのように改善していくか。こうした情報共有ができる人は、人事にとって非常に貴重だ。人間関係に問題があるなら、早めに対処したい。制度上の矛盾や改善点を早めに解決したい。そう思っている人事を「サポートする」立場になることだ。

    著者は多くの人事担当者に取材するうち、仮に人事制度の誤差で不遇を受けても、「仕事に誠実に取り組む限り、やがて高い評価を得られるようになる」ものだと悟ったという。やや性善説的ではあるが、一社員としては「そうあってほしい」と願うものだろう。

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