転職19回も何のその! 34歳独女が語る「天職」をめぐる冒険 2013年11月11日 ビジネスの書棚 ツイート 自分に合う仕事を探すには、自己分析と企業研究が大事と言われる。しかし、そんなものはやってみないと分からないと、体当たりの転職を重ねた人もいる。「そんな仕事ならやめちゃえば」(ソフトバンククリエイティブ刊)の著者、阿部涼さんだ。 彼女も学生時代は、就職課に通い一般常識対策に励む普通の就活生だった。しかし、100社以上落ちた挙句、就職浪人。見かねた父親のコネで、地元の不動産会社に就職した。 ところが、顧客を営業車で案内中に事故を起こして以来、怖くて運転ができなくなり退職。次の職場では、新しい社屋のため重度の化学物質過敏症になり退職。さらに次の保育園では園児に背後から激突され、腰椎を骨折する重傷を負い辞めざるをえなくなった。 失敗の連続の過程で出会った「一流」 ここで彼女は開き直った。人生は普通に生きても「こんなはずじゃなかった」の連続だ。ならば、自分が本当にやりたいことを見つけよう――。そう決めた彼女は、「あくまで自分が『わくわく』する仕事」という基準で転職活動を再開したのだった。 最初に挑戦したのは、銀座の高級クラブ。外車ショールームのスタッフ時代に、700万円のベンツを男に買わせるホステスを目の当たりにしたからだ。毎日遅くまで働きスーパーの売れ残りでしのぐ世界から逃れたかったが、「笑顔ひとつで何とかなる」という考えは甘かった。 ある客からは「何回通ったらヤラせてくれるの?」と詰め寄られ、思わずたじろぐと「この子、チェンジ!」と叫ばれる。ボトルを入れてもらうには程遠い。けっきょく、ノルマを達成できずにクビになった。 次の挑戦は、牧場の住み込み従業員。夜明け前に起き、牛舎の掃除やエサやりであっという間に日が暮れる。大自然に囲まれのんびり過ごす「アルプスの少女ハイジ」的生活とは大違いの重労働で、持病の腰痛を悪化させギブアップした。 しかし、失敗から学ぶこともあるものだ。「降格になった」とぼやく企業の部長を「これ以上出世したら忙しくなって会えなくなるじゃない」と慰め、ボトルを2本も入れさせたトップ・ホステスがいた。搾乳可能な牛の乳房を瞬時に見抜く牧場スタッフもいた。どの世界も「一流」がいた。 (最新記事はこちら) 「自信と誇り」は生き残る工夫の中で生まれる 彼女たちに、元々才能があったわけではない。事情があってその世界で生き残るため必死に工夫を重ねるうちに結果が出せるようになり、仕事への自信と誇りが持てるようになったのだ。 そこで著者は、自身にも必死に取り組んだ事がなかったか考えると、アダルト雑誌のライター時代を思い出した。 DVDのキャッチコピーから女優へのインタビューまで何でもこなし、さらに活動を広げようと、興味を持ったテーマの出版企画書を飛び込みで出版社に持ち込んだ。挫折はしたが、自分なりにもがいた。 こうしてライターとして再出発し書き上げたのが、本書だ。正直、文章を書くスキルを持つ人などかなり多く、同業者も掃いて捨てるほどいる。出版不況の中で原稿料も大幅に下がっている。 しかし彼女が、この仕事であれば「(私は)困難にぶつかってもスキルを磨き続けられる」と信じるのであれば、それは天職の条件を満たしているといえるのかもしれない。 (最新の記事は @kigyo_insiderへ)
転職19回も何のその! 34歳独女が語る「天職」をめぐる冒険
自分に合う仕事を探すには、自己分析と企業研究が大事と言われる。しかし、そんなものはやってみないと分からないと、体当たりの転職を重ねた人もいる。「そんな仕事ならやめちゃえば」(ソフトバンククリエイティブ刊)の著者、阿部涼さんだ。
彼女も学生時代は、就職課に通い一般常識対策に励む普通の就活生だった。しかし、100社以上落ちた挙句、就職浪人。見かねた父親のコネで、地元の不動産会社に就職した。
ところが、顧客を営業車で案内中に事故を起こして以来、怖くて運転ができなくなり退職。次の職場では、新しい社屋のため重度の化学物質過敏症になり退職。さらに次の保育園では園児に背後から激突され、腰椎を骨折する重傷を負い辞めざるをえなくなった。
失敗の連続の過程で出会った「一流」
ここで彼女は開き直った。人生は普通に生きても「こんなはずじゃなかった」の連続だ。ならば、自分が本当にやりたいことを見つけよう――。そう決めた彼女は、「あくまで自分が『わくわく』する仕事」という基準で転職活動を再開したのだった。
最初に挑戦したのは、銀座の高級クラブ。外車ショールームのスタッフ時代に、700万円のベンツを男に買わせるホステスを目の当たりにしたからだ。毎日遅くまで働きスーパーの売れ残りでしのぐ世界から逃れたかったが、「笑顔ひとつで何とかなる」という考えは甘かった。
ある客からは「何回通ったらヤラせてくれるの?」と詰め寄られ、思わずたじろぐと「この子、チェンジ!」と叫ばれる。ボトルを入れてもらうには程遠い。けっきょく、ノルマを達成できずにクビになった。
次の挑戦は、牧場の住み込み従業員。夜明け前に起き、牛舎の掃除やエサやりであっという間に日が暮れる。大自然に囲まれのんびり過ごす「アルプスの少女ハイジ」的生活とは大違いの重労働で、持病の腰痛を悪化させギブアップした。
しかし、失敗から学ぶこともあるものだ。「降格になった」とぼやく企業の部長を「これ以上出世したら忙しくなって会えなくなるじゃない」と慰め、ボトルを2本も入れさせたトップ・ホステスがいた。搾乳可能な牛の乳房を瞬時に見抜く牧場スタッフもいた。どの世界も「一流」がいた。
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「自信と誇り」は生き残る工夫の中で生まれる
彼女たちに、元々才能があったわけではない。事情があってその世界で生き残るため必死に工夫を重ねるうちに結果が出せるようになり、仕事への自信と誇りが持てるようになったのだ。
そこで著者は、自身にも必死に取り組んだ事がなかったか考えると、アダルト雑誌のライター時代を思い出した。
DVDのキャッチコピーから女優へのインタビューまで何でもこなし、さらに活動を広げようと、興味を持ったテーマの出版企画書を飛び込みで出版社に持ち込んだ。挫折はしたが、自分なりにもがいた。
こうしてライターとして再出発し書き上げたのが、本書だ。正直、文章を書くスキルを持つ人などかなり多く、同業者も掃いて捨てるほどいる。出版不況の中で原稿料も大幅に下がっている。
しかし彼女が、この仕事であれば「(私は)困難にぶつかってもスキルを磨き続けられる」と信じるのであれば、それは天職の条件を満たしているといえるのかもしれない。
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