飲み会では「おごり」より「ワリカン」の方が好感度アップする!? 2012年7月30日 ビジネスの書棚 ツイート サラリーマンには「飲み会」はつきものだ。人間関係を良好に保ち、お互いの価値観や個人情報を把握しておくことは、仕事をするうえで意外と重要である。特に管理職にとって部下との飲み会は、さまざまなリスク管理のために欠かせない。 しかし個人主義的な価値観が強い若者にとって、上司との飲み会は「忍耐」でしかない。そこで上司は「おごり」をちらつかせて飲み会に呼び寄せようとするが、部下たちは何とか一次会に顔を出したものの、胸襟を開いて語り合うことなく帰ってしまった…。 気前のいい上司には「増長してつけあがるもの」 ありがちな話だが、なぜこんなことになってしまうのか。心理学者・内藤誼人氏の『「人たらし」のブラック心理術』(だいわ文庫)には、このナゾを解くヒントが載っている。ある実験結果によると、人はお金を借りるときに、 1.「少し色(利子)をつけて返してくれ」 2.「(貸したのと)同じ金額を返してくれ」 3.「返してくれなくてもよい」 という条件を添えられると、貸してくれた相手への魅力が高くなるのは、最も得をする3番ではなく、2番であることが判明したという。その理由について内藤氏は、次のように解説する。 「私たちは、相手から恩を受けすぎたり、逆に損をするのはイヤなのであって、対等の関係の相手を最も好ましいと評価するのである」 意外なことに、この傾向はアメリカやスウェーデンより日本で強かった。儒教的な意識が残る日本では年長者や男性の「おごり」は当然かと思いきや、意外と効果に結びついていないらしい。内藤氏は、こうもいう。 「おごればおごるほど、部下があなたのことを慕ってくれるかというと、実際は、その逆である。人間というのは、おごってもらうと感謝をするというより、増長して、つけあがってくるものだからだ」 わずかな金額でも「自分も楽しもう」という意識を高める それでは、どうすれば好感を持ってもらえるか。さすがに最初からワリカンでは「部長の方が倍も給料もらってるくせに」と株を大きく落とすに違いない。そういうときは、自腹を切る金額は1000円でも2000円でもいいのだという。 ただし、お金を払わせることは、事前に知らせておいた方がよいようだ。そうすれば「せっかく自腹を切るのだから、自分も楽しまないと損だ」という意識が働く。そして、払った分を楽しもうという気持ちが強くなり、二次会、三次会の出席率も高くなるという。 この説がいつでも有効かどうかは分からないが、なぜか部下や取引先との関係がうまくいかないときは、あえてワリカンの飲み会を設定してみるのも手だろう。思わぬ起爆剤になるかもしれない。 なお本書には、「初対面で好印象を与えるのは、標準体型の人」「発言の終わりには、必ず『イ』をつける気持ちでしゃべる」など、人間関係を強化する心理ノウハウがたくさん載っている。昔のサラリーマンは、こういうテクニックをたくさん持っていた。この手の知識を持つ人が少なくなったいまこそ、密かに掘り起こしてみるべきではないか。 【その他のビジネスの書棚の記事はこちら】
飲み会では「おごり」より「ワリカン」の方が好感度アップする!?
サラリーマンには「飲み会」はつきものだ。人間関係を良好に保ち、お互いの価値観や個人情報を把握しておくことは、仕事をするうえで意外と重要である。特に管理職にとって部下との飲み会は、さまざまなリスク管理のために欠かせない。
しかし個人主義的な価値観が強い若者にとって、上司との飲み会は「忍耐」でしかない。そこで上司は「おごり」をちらつかせて飲み会に呼び寄せようとするが、部下たちは何とか一次会に顔を出したものの、胸襟を開いて語り合うことなく帰ってしまった…。
気前のいい上司には「増長してつけあがるもの」
ありがちな話だが、なぜこんなことになってしまうのか。心理学者・内藤誼人氏の『「人たらし」のブラック心理術』(だいわ文庫)には、このナゾを解くヒントが載っている。ある実験結果によると、人はお金を借りるときに、
という条件を添えられると、貸してくれた相手への魅力が高くなるのは、最も得をする3番ではなく、2番であることが判明したという。その理由について内藤氏は、次のように解説する。
意外なことに、この傾向はアメリカやスウェーデンより日本で強かった。儒教的な意識が残る日本では年長者や男性の「おごり」は当然かと思いきや、意外と効果に結びついていないらしい。内藤氏は、こうもいう。
わずかな金額でも「自分も楽しもう」という意識を高める
それでは、どうすれば好感を持ってもらえるか。さすがに最初からワリカンでは「部長の方が倍も給料もらってるくせに」と株を大きく落とすに違いない。そういうときは、自腹を切る金額は1000円でも2000円でもいいのだという。
ただし、お金を払わせることは、事前に知らせておいた方がよいようだ。そうすれば「せっかく自腹を切るのだから、自分も楽しまないと損だ」という意識が働く。そして、払った分を楽しもうという気持ちが強くなり、二次会、三次会の出席率も高くなるという。
この説がいつでも有効かどうかは分からないが、なぜか部下や取引先との関係がうまくいかないときは、あえてワリカンの飲み会を設定してみるのも手だろう。思わぬ起爆剤になるかもしれない。
なお本書には、「初対面で好印象を与えるのは、標準体型の人」「発言の終わりには、必ず『イ』をつける気持ちでしゃべる」など、人間関係を強化する心理ノウハウがたくさん載っている。昔のサラリーマンは、こういうテクニックをたくさん持っていた。この手の知識を持つ人が少なくなったいまこそ、密かに掘り起こしてみるべきではないか。
【その他のビジネスの書棚の記事はこちら】