「大学院の中年教員」によるハラスメント続出 東北大の体質改善は進むのか 2014年4月7日 今週の「懲戒処分ウォッチ」 ツイート 東北大は4月2日、付属図書館のアルバイト学生にパワハラを繰り返したとして、大学院医学系研究科の60代男性准教授を停職1か月の懲戒処分にしたと発表した。 2012年9~12月、学生に土下座を強要したほか、図書館のサービスカウンターを叩いて職員に暴言を吐くなどの行為を繰り返した。ストレスで体調を崩していた職員もいたという。 過去には「2つの自殺」が労災認定 パワハラというと、直接の上司・部下、あるいは教師・生徒の間で行われるものが多いが、学内サービスの提供者と利用者の間で起こるというのは珍しい。「教員でありかつ図書館利用者という優越的な立場」を背景とした嫌がらせと判断されたようだ。 同大ではハラスメント対応窓口を設けており、複数の職員がここに申し立てたことで事態が発覚した。曲がりなりにも学内の自浄作用が働いたといえるが、大学側が図書館職員との接触禁止を命じたのが13年9月と、1年もの時間がかかっている。ツイッターには、 「どうも私が昔に色々対応した事のある『あの』人物だとすると、前科が有り、この処分でも少ないぐらい。というか、ようやく東北大として処分したか…」 という書き込みも見られ、准教授が同様の行為を繰り返していた可能性もある。 対応が遅い理由には、処分を下すには調査に十分な時間が必要だったという事情のほかに、これまでハラスメントに対する認識の甘さはなかったのだろうか。というのも東北大では、過去にもパワハラが原因と見られる問題が頻発しているからである。 07年12月に、薬学部助手の男性が研究室から投身自殺。12年3月に過労自殺と認定され、遺族が大学側に約1億円の損害賠償を求める訴えを起こしている。12年1月にも工学部准教授の男性が自殺。遺族は労災を申請し、12年10月に「過重労働の恣意的強制があった」と認定された。 過去の不祥事を掘り起こす「過渡期」なのか このような事件を元に、2013年には大学に対し「ブラック企業大賞2013」の特別賞が授与された。コンプライアンス担当の兵頭英治副学長は、「東北大学新聞」13年10月号の記事で、「東北大学として『ブラック』と呼ばれるものを決して許容しないという基本姿勢をキチッと示していく」とコメントしていた。 その後、ハラスメントの相談窓口や研修会が開かれているが、効果は上がっているのだろうか。図書館事件に先立ち、2月28日には大学院工学研究科の50代男性客員教授が、13年7月に職場の懇親会で女性学生にセクハラしたとして、停職6か月の処分を受けた。 3月31日には大学院経済学研究科の40代男性講師が、12年1月に他大学の女子大学院生にセクハラしたとして懲戒解雇されている。いずれも「大学院の中年教員」による不祥事という点が共通している。 あまりの続出ぶりに呆れるばかりだが、大学が体質改善を進めているからこそ、従来は見過ごされていた行為を掘り起こし、大学が厳しく処分している可能性もある。今後の成果に期待したい。(懲戒処分ウォッチャー・ムライセツオ) あわせてよみたい:職場としての東北大学(評判・口コミ・評価)
「大学院の中年教員」によるハラスメント続出 東北大の体質改善は進むのか
東北大は4月2日、付属図書館のアルバイト学生にパワハラを繰り返したとして、大学院医学系研究科の60代男性准教授を停職1か月の懲戒処分にしたと発表した。
2012年9~12月、学生に土下座を強要したほか、図書館のサービスカウンターを叩いて職員に暴言を吐くなどの行為を繰り返した。ストレスで体調を崩していた職員もいたという。
過去には「2つの自殺」が労災認定
パワハラというと、直接の上司・部下、あるいは教師・生徒の間で行われるものが多いが、学内サービスの提供者と利用者の間で起こるというのは珍しい。「教員でありかつ図書館利用者という優越的な立場」を背景とした嫌がらせと判断されたようだ。
同大ではハラスメント対応窓口を設けており、複数の職員がここに申し立てたことで事態が発覚した。曲がりなりにも学内の自浄作用が働いたといえるが、大学側が図書館職員との接触禁止を命じたのが13年9月と、1年もの時間がかかっている。ツイッターには、
という書き込みも見られ、准教授が同様の行為を繰り返していた可能性もある。
対応が遅い理由には、処分を下すには調査に十分な時間が必要だったという事情のほかに、これまでハラスメントに対する認識の甘さはなかったのだろうか。というのも東北大では、過去にもパワハラが原因と見られる問題が頻発しているからである。
07年12月に、薬学部助手の男性が研究室から投身自殺。12年3月に過労自殺と認定され、遺族が大学側に約1億円の損害賠償を求める訴えを起こしている。12年1月にも工学部准教授の男性が自殺。遺族は労災を申請し、12年10月に「過重労働の恣意的強制があった」と認定された。
過去の不祥事を掘り起こす「過渡期」なのか
このような事件を元に、2013年には大学に対し「ブラック企業大賞2013」の特別賞が授与された。コンプライアンス担当の兵頭英治副学長は、「東北大学新聞」13年10月号の記事で、「東北大学として『ブラック』と呼ばれるものを決して許容しないという基本姿勢をキチッと示していく」とコメントしていた。
その後、ハラスメントの相談窓口や研修会が開かれているが、効果は上がっているのだろうか。図書館事件に先立ち、2月28日には大学院工学研究科の50代男性客員教授が、13年7月に職場の懇親会で女性学生にセクハラしたとして、停職6か月の処分を受けた。
3月31日には大学院経済学研究科の40代男性講師が、12年1月に他大学の女子大学院生にセクハラしたとして懲戒解雇されている。いずれも「大学院の中年教員」による不祥事という点が共通している。
あまりの続出ぶりに呆れるばかりだが、大学が体質改善を進めているからこそ、従来は見過ごされていた行為を掘り起こし、大学が厳しく処分している可能性もある。今後の成果に期待したい。(懲戒処分ウォッチャー・ムライセツオ)
あわせてよみたい:職場としての東北大学(評判・口コミ・評価)