看守はツライよ… 受刑者に「フェイスマッサージ」で懲戒処分 2014年4月14日 今週の「懲戒処分ウォッチ」 ツイート 山口刑務所は4月11日、受刑者に不適切な接触をしたとして、同刑務所の男性看守部長(42)を戒告の懲戒処分にした。 発表によると、咋年2~8月、看守部長は職業訓練の際に、求めに応じて13人ほどにフェイスマッサージなどをし、うち1人には額を数回指ではじく行為をした。また、受刑者のひげを毛抜きで抜いたという。 親切な行為ならいい、というわけにはいかない こうした行為に疑問を持った受刑者の一人が、手紙で知人に知らせようとしたところ、看守部長はその部分の書き直しを求め、発信を取りやめる意思がないかを何度も確認していた。 看守部長は当時、受刑者の監視を担当しており、職業訓練を指導する立場にはなかった。結局、一連の行為はこの手紙で発覚。担当職務以外の形で受刑者と接触したことが、問題になったようだ。看守部長は、こう話しているという。 「マッサージは受刑者に(教えて欲しいと)頼まれた。ひげは(そり残しがないように)注意を喚起するために抜いた」 看守部長は、なぜこんな行為を働いたのか。真意は定かではないが、「フェイスマッサージ」は受刑者へのサービス、「額を指ではじく」「ひげを毛抜きで抜く」という行為は軽い悪ふざけにも思える。 古今東西よりイリーガルなエリートたちが集まる刑務所では、受刑者たちの扱いは重要課題だ。ストレスが溜まった受刑者をリラックスさせ、うまく手なずけようと親密なコミュニケーションを取ろうとしたのかもしれない。 親切で優しい行為ならいいじゃないか、と思う人もいるかもしれないが、そんな策を講じているうちに、思わぬ形で職務の範疇から大きく逸脱し、「不適切な関係」に発展してしまう看守もいる。 悩みを抱え、無断外泊で懲戒処分を受ける看守も 今年3月7日、岐阜刑務所では男性副看守長(56)が受刑者の依頼を聞き入れ、別の房にいる受刑者と面会させたり、受刑者同士の連絡を仲介したりした。減給100分の20(2か月)の懲戒処分にした。 また、昨年の3月6日、府中刑務所(東京都府中市)で男性看守(31)が受刑者の依頼で覚せい剤を購入し、所持したとして警視庁に逮捕された。上記の2人が受刑者に便宜を図った理由は明らかにされていないが、刑務所内の看守と受刑者の癒着はしばしば取り沙汰されている。 舐められてはいけない、弱みも握られてはならない。しかし、反発されて暴動を起こされてもいけない……。受刑者の対応に日々悩まされる看守という職業は、相当「ブラック」なのではあるまいか。 うまく対応できずに苦労をする看守もいるようで、今月11日には京都刑務所(京都市山科区)の男性看守が「いろいろな悩みを抱えていた」という理由で、無断で外泊し欠勤。懲戒処分となった。 今回の事件に関して、山口刑務所の林克士所長は「職員の綱紀粛正を図り、二度とこのような事案がないよう努める」とコメントした。綱紀粛正はもちろんのことだが、刑務所側は受刑者だけでなく看守にもしっかりと目を向け、ケアやフォローをする環境を整えるべきではないだろうか。(懲戒処分ウォッチャー・ムライセツオ) あわせてよみたい:職場としての横浜刑務所(評判・口コミ・評価)
看守はツライよ… 受刑者に「フェイスマッサージ」で懲戒処分
山口刑務所は4月11日、受刑者に不適切な接触をしたとして、同刑務所の男性看守部長(42)を戒告の懲戒処分にした。
発表によると、咋年2~8月、看守部長は職業訓練の際に、求めに応じて13人ほどにフェイスマッサージなどをし、うち1人には額を数回指ではじく行為をした。また、受刑者のひげを毛抜きで抜いたという。
親切な行為ならいい、というわけにはいかない
こうした行為に疑問を持った受刑者の一人が、手紙で知人に知らせようとしたところ、看守部長はその部分の書き直しを求め、発信を取りやめる意思がないかを何度も確認していた。
看守部長は当時、受刑者の監視を担当しており、職業訓練を指導する立場にはなかった。結局、一連の行為はこの手紙で発覚。担当職務以外の形で受刑者と接触したことが、問題になったようだ。看守部長は、こう話しているという。
看守部長は、なぜこんな行為を働いたのか。真意は定かではないが、「フェイスマッサージ」は受刑者へのサービス、「額を指ではじく」「ひげを毛抜きで抜く」という行為は軽い悪ふざけにも思える。
古今東西よりイリーガルなエリートたちが集まる刑務所では、受刑者たちの扱いは重要課題だ。ストレスが溜まった受刑者をリラックスさせ、うまく手なずけようと親密なコミュニケーションを取ろうとしたのかもしれない。
親切で優しい行為ならいいじゃないか、と思う人もいるかもしれないが、そんな策を講じているうちに、思わぬ形で職務の範疇から大きく逸脱し、「不適切な関係」に発展してしまう看守もいる。
悩みを抱え、無断外泊で懲戒処分を受ける看守も
今年3月7日、岐阜刑務所では男性副看守長(56)が受刑者の依頼を聞き入れ、別の房にいる受刑者と面会させたり、受刑者同士の連絡を仲介したりした。減給100分の20(2か月)の懲戒処分にした。
また、昨年の3月6日、府中刑務所(東京都府中市)で男性看守(31)が受刑者の依頼で覚せい剤を購入し、所持したとして警視庁に逮捕された。上記の2人が受刑者に便宜を図った理由は明らかにされていないが、刑務所内の看守と受刑者の癒着はしばしば取り沙汰されている。
舐められてはいけない、弱みも握られてはならない。しかし、反発されて暴動を起こされてもいけない……。受刑者の対応に日々悩まされる看守という職業は、相当「ブラック」なのではあるまいか。
うまく対応できずに苦労をする看守もいるようで、今月11日には京都刑務所(京都市山科区)の男性看守が「いろいろな悩みを抱えていた」という理由で、無断で外泊し欠勤。懲戒処分となった。
今回の事件に関して、山口刑務所の林克士所長は「職員の綱紀粛正を図り、二度とこのような事案がないよう努める」とコメントした。綱紀粛正はもちろんのことだが、刑務所側は受刑者だけでなく看守にもしっかりと目を向け、ケアやフォローをする環境を整えるべきではないだろうか。(懲戒処分ウォッチャー・ムライセツオ)
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