• 「駅で放尿」停職1か月の公務員 異動は本当に「降格」だったのか

    千葉県成田市は今月1日、駅で放尿し女性のズボンを汚したとして、土木部建築住宅課の男性副技監(59)を停職1か月の懲戒処分にした。

    市によると男性は4月19日深夜、JR成田駅西口の階段で放尿し、近くを歩いていた女性のズボンを汚した。器物損壊容疑で現行犯逮捕され、同25日に不起訴処分となった。

    男性はなぜ、このような奇行に走ったのであろうか。成田署によると「降格処分を受けて落ち込んでいた」と話しているという。当時は酒を飲んだ帰りで、溜まりに溜まった鬱憤を抑えられず、このような形で晴らしてしまった。

    成田市役所に勤務する男性は4月1日に、総務部管財課副技監から現在の部署に異動。市によると「降格ではない」としているが、本人がそう思ってしまっただけのか、それとも「実質的な降格」だったのかは分からない。

    気づいたら「居場所」がなくなる現代社会

    スキル拡張や不正防止を目的に、定期的な配置転換を行う職場は少なくない。しかし異動先によっては、会社や上司の思惑に反して恨みに思う人もいるようだ。

    降格人事を受けた社員や職員は、社会人としてのプライドを傷つけられることに加え、収入が大きく減ってしまうケースもある。当事者にとっての精神的ダメージは計り知れない。転職が可能な年齢ならば、退職を選ぶ場合もしばしばみられる。

    東芝のフラッシュメモリー研究データを韓国企業に流出させ、3月に逮捕された50代の容疑者も、降格処分によって給与などの待遇が悪くなったことに不満を抱いたことが動機となったと報じられている。

    この容疑者は、米半導体大手の日本法人の管理職として採用されたものの、会社が期待する成果が出せずに一般技術者へ降格されていた。「明確な降格」「意図的な不正」(成田市職員は泥酔による過失?)という点は大きく異なるが、降格のストレスの大きさがうかがえる。

    グローバル化や高齢化など社会構造が大きく変わる現代では、多くの組織は必要な人材を必要なタイミングで調達する柔軟さが求められている。終身雇用は崩壊し、

    「大きなミスをしなければ降格しない」
    「日々の業務をこなしていけば自然と昇格していく」

    といった考えは通用せず、気がつくと居場所がなくなっていることも多々ある。居場所がなくなれば、退職するか、異動によって新たな居場所を探さなければならない。

    ここで腐ってしまい、問題を起こしてしまっては残りの人生を棒に振ることになる。必要以上に深く受け止めず、「どうやったらプラスに転化することができるか?」を考えることが、自分にとって一番有益なこととなるだろう。(懲戒処分ウォッチャー・ムライセツオ)

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