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お局社員が「絶倫」と陰口 これって「セクハラ」じゃないの？【弁護士に言っちゃうぞ（2）】
都内の大手システム会社にSEとして勤務するTさん（男性･31歳）。連日の残業に疲れ気味で、職場で栄養ドリンクを飲んでいた。すると一部の女子社員たちから、変な噂を立てられてしまったという。
自分の机の上には、知らない間に赤マムシドリンクやオットセイエキスが置かれるように。同期の若い女性社員が耳打ちしてくれて判明しましたが、相手がお局さんグループでは、抗議してもますます話がややこしくなりそうな気がしてならない。
元々、内気でからかわれやすいタイプだが、それ以来、女子社員に陰で笑われている気がして仕事が手につかなくなってしまった。何かよい対処法はないものか。キャリコネ編集部が、職場の法律問題に詳しいアディーレ法律事務所の刈谷龍太弁護士に聞いてみた。
慰謝料を会社に請求することもできる
――同じ男として、この境遇はちょっと…。絶倫は男として不名誉なことではないと思うので、許されるのならば「何なら試してみるかい？」と強気にジョーク交じりで返してやりたいところですね。
ただ、実際に女性社員にこうしたウィットに富んだ（と私は思うのですが）返答をすると、今度はセクハラだとか、気持ち悪いと言われたりと余計深刻な事態を招いてしまいそうです。では、こんな時どのように対処したらいいのでしょうか。
一つは、Ｔさんが思っている通りに、「僕は絶倫ではないので、からかうのは辞めてください」と言うことです。ただ、面と向かって言っても解決しないことがあるのが、こうした問題のやっかいなところです。
実は、女性が男性に対して性的な嫌がらせをすることも、立派なセクハラとなるのですが、実際にこのような問題を上司等に相談しても、本気で取り合ってもらえないことが多いんですよね。
言葉としては有名となっているセクハラですが、男性が被害者として認識されにくいことにより、有名無実化してしまっているのかもしれません。
とはいえ、法的にはセクハラは違法であることには変わりありませんから、上司等に相談をしても何も取り合ってくれなかったような場合は、こうした嫌がらせにより被った精神的損害を慰謝料として会社に請求していくことができます。
そのような行為をやめさせるよう女性社員たちに注意をしたり、Ｔさんが気持ちよく仕事ができるような環境を整えてあげる責任は会社にあるからです。
セクハラ被害者の心の傷は深く大きい
したがって、まずは会社に事態の改善についてお願いし、それでも対応してもらえなかったり、セクハラが止まらなければ会社の責任を追及すればよいでしょう。
と、法的なアドバイスとしてはこのあたりまでなのですが、こうした問題のやっかいなのは、実際に上司等に相談したり、自分の意見を伝えたりすることが事実上なかなかできないところにあるんですよね。
被害者が負う心の傷は、加害者が思っている以上に深く、大きいものです。お局グループからすれば軽くからかっているだけのつもりかもしれませんが、大きな問題に発展するおそれもありますから、心当たりのある方はすぐにやめてくださいね。
また、Ｔさんとしては、直接言うも上司に言うも、まず何かしら行動してみることが大切だと思います。つらいことを言いますが、会社を休みがちになってしまうと、あとは退職に追い込まれるだけになってしまいます。
このままでは自分から辞めるしかなくなる、と思えば大抵の行動はとれるはずです。間違っていることを言っているわけではないですから、勇気をもって堂々と主張されてみてはいかがでしょうか。
ところで、連日の残業でお疲れ気味ということですが、きちんと残業代は支払われているんですかね？ 気になるところです。少しでも疑問があればぜひご相談ください。お待ちしています。
あわせてよみたい：不倫の責任逃れする課長を懲らしめたい
【取材協力弁護士 プロフィール】
刈谷 龍太（かりや りょうた）
弁護士（東京弁護士会所属）。中央大学法科大学院修了。 司法修習第64期。 弁護士法人アディーレ法律事務所
パワハラ・不当解雇・残業代未払いなどのいわゆる「労働問題」を専門に扱う部署に所属。 問題点を的確についたシャープな切り口が持ち味。趣味はサッカー。 公式ブログ「こちら弁護士刈谷龍太の労働相談所」