• 「お馬鹿営業が出世する仕組みだった」技術軽視の会社にウンザリした男性 ついに転職し「のびのびしてます」【後編】

    画像はイメージ
    画像はイメージ

    売り上げノルマのプレッシャーがあるとはいえ、現場の都合を考えず無茶な仕事を取って来る営業は嫌われる。前職で大手電機メーカーの子会社でサービスエンジニアとして働いていた40代男性(東京都/年収900万円)は、「技術側に事前相談せず」無茶な仕事を安請け合いする営業部に困り果てていた。問題を指摘しても、彼らはこう開き直った。

    「おたくらプロじゃん。そこをなんとかするのがプロだろ」

    これには男性も怒りを爆発させ「俺らは技術屋であって、魔法使いじゃねーんだよ!」とよく言い返していた――というのは、前編で紹介した通りだ。

    問題はそれだけでなく、こうした営業側の姿勢には根深い原因があったようだ。(文:西荻西子)

    「多少無茶でもお客様のために」信仰が強すぎる

    男性がいた技術部門のサービスは、定期メンテナンスや修繕のため工場やビルなどの操業を止めて行う必要があった。作業は必然的に休日に集中し、特にGWやお盆、年末年始の長期休暇は繁忙期となった。

    「集中し過ぎて自社のサービスエンジニア、協力会社の作業員ともに、既にリソースが限界になっているにもかかわらず、顧客の言われるまま受注してくる」

    男性は、現実的な打開策として、会議で「長期休暇は特別料金に値上げし、その代わり繁忙期ではない日を若干値下げして分散させる方針を取るべき」と何度も提案したものの、

    「営業サイドは全く聴く耳はありません」

    と改善することはなかった。その理由について、営業部門の姿勢をこう指摘する。

    「『多少無茶でもお客様のために』信仰が強く、繁忙期でも価格を上げようとすると営業が断固反対する。もはや『お客様は神様教』という宗教で、営業は神様(顧客)の神託を下す巫女状態」

    営業側には、慣習として「サービス価格は一律であるべき」という考えが根強く、「休日・夜間割増はあるが、さらなる変動価格に対して営業がアレルギーがある」という。「同業他社がやっていない」という横並び意識から、営業は顧客からの反発を極度に恐れていた。さらに、

    「部門を跨ぐ変更は、現場レベルはおろか本部長ですら動かせず、役員クラス以上の明確な指示がないと制度変更まで行けない」

    という、組織の硬直化も問題を深刻にしていた。

    「あまりにも技術軽視が甚だしくて嫌になって退職しました」

    なぜこのような“お客様は神様教”の体質になってしまうのか。それは、重役や役員クラスが「とにかく数字を上げろ」と圧力をかけているからだという。

    「技術的なことは考えず、あるいは厳しそうとわかっていても無視して、交渉もせずに、顧客に言われるままの条件で案件を取ってきて、技術部門に押し付けておしまいです」

    「そして『俺たちは仕事取ってくるから偉い』と勘違いし、実際に、プロセスは抜きに数字だけで評価されるから、そういうお馬鹿営業が役員クラスに出世する仕組みになっていました」

    こう呆れる男性。この会社で20年勤めたものの、「あまりにも技術軽視が甚だしくて嫌になって退職しました」と明かす。

    「現在は、前職で培った技術ノウハウと、海外駐在時の人脈とそこそこの語学力を活かして、海外の電気設備工事と技術コンサルをやっている会社に転職し、のびのびしています」

    前職について「技術力を培ったことには感謝していますが、あのやり方では『この会社はダメだな』ですね」と呆れ、投稿を締めくくった。

  • 企業ニュース
    アクセスランキング

    働きやすい企業ランキング

    年間決定実績1,000件以上の求人データベース Agent Navigation
    転職相談で副業