「自分がやった方が早い」はもう卒業! 部下も管理職も楽になる“仕事の任せ方”3つのステップ 2025年9月2日 キャリコネNEWS ツイート 画像はイメージ 管理職は、部下を育成しながら組織全体の成果を上げていくのが仕事です。そのためには、部下には成長につながる仕事を任せていかなければなりません。しかし、私が担当する管理職研修では、以下のような悩みがよく寄せられます。 「部下にどんな仕事を任せていけばいいのかわからない……」 「そもそも、部下に仕事を任せられない……」 皆様の状況は、いかがでしょうか? 課長クラスの9割がプレイングマネージャーなんて言われる時代に、部下にどう仕事を任せていけばいいのか。今回はこれについて考えていきます。(文:働きがい創造研究所社長 田岡英明) なぜ仕事を任せられない? その理由を認識する 部下が成長するには、筋トレと一緒で、ある程度の負荷がかかる仕事をしなければいけません。ただ、プレイングマネージャーはプレイング業務とマネジメント業務を兼任しているため、なかなか部下に仕事を渡せないようです。背景には主に2つの問題があります。 1つ目は、管理職自身の「心理的な問題」です。メンバーの知識、能力に対する不信感や不安感から来る、次のような思いはないでしょうか。 ・全ての仕事を自分でコントロールして安心を得たい ・過去に部下に仕事を任せて上手くいかなかったことが忘れられない ・部下に仕事を任せるためのコミュニケーションが面倒くさい ・部下がやるより自分がやった方が効率的だ ・自分が仕事をできるところを見せたい ・部下が成長してしまうと、自身の立場が危うくなる 皆さんにも心当たりがある項目があったのではないでしょうか。 2つ目は、部下との「関係性の問題」です。仕事を任せられる部下と任せられない部下を考えてみればすぐにわかります。仕事を任せられる部下に関しては、日頃のコミュニケーションが豊富で、部下のことを得手不得手も含めてよく知っているのではないでしょうか。人間の脳は、知らないことに対して不安を覚えていきます。この不安が仕事を任せていくことにブレーキをかけていくのです。 仕事を任せる「3つのステップ」 仕事を任せられない状況を打開していくためには、具体的なアクションが必要です。ここでは3つのステップに分けてご紹介していきます。 (1)仕事を「見える化」して、任せられる仕事を洗い出す 普段、自身でやっている仕事を書き出して「見える化」していきましょう。そこから「これは部下に任せられそう」「自分がやる必要はなさそう」と思う仕事を洗い出していきましょう。 (2)その仕事を任せることのメリットを考えて言語化する 次は、その仕事を部下に任せることでどんなメリットがあるのか考えていきましょう。 「この仕事をすることで部下はどんな成長をするのか」 「部下がこの仕事ができるようになったら、組織にとってどんなプラスがあるのか」 といったものになります。自分の中で言語化することで、仕事を手放す覚悟ができていきます。 (3)任せた後の「対話」で成長を加速させる 部下に仕事を任せることができたならば、プロセスへのフィードバックとやり遂げた仕事への内省を促すコミュニケーション機会を増やしていきましょう。具体的には、1on1ミーティングや報連相の機会を定期的に取り、任せた仕事をやり遂げられるよう応援していきます。 そして、やり遂げた仕事に対して、「どうしてやり遂げることができたのか?」「どんなところが成功のポイントだったのか?」を言語化させていきます。この言語化は概念化とも言われ、仕事をうまく進めていくための仕事論に進化し、部下の自信を育んでいきます。この自信が部下のモチベーションを高め、自律も促していくことになります。部下の自律が育まれれば、管理職の仕事はとても進めやすくなっていくことでしょう。 以上、今回はプレイングマネージャーが、自身の仕事を手放し、どのように部下に任せていくのかについて紹介してまいりました。管理職の仕事の醍醐味は、部下を成長させることにあるとも言えます。また、部下に仕事を任せられれば、管理職自身も仕事をスムーズに進められるようになるでしょう。ぜひ、今回の内容を実践してみてください。
「自分がやった方が早い」はもう卒業! 部下も管理職も楽になる“仕事の任せ方”3つのステップ
管理職は、部下を育成しながら組織全体の成果を上げていくのが仕事です。そのためには、部下には成長につながる仕事を任せていかなければなりません。しかし、私が担当する管理職研修では、以下のような悩みがよく寄せられます。
「部下にどんな仕事を任せていけばいいのかわからない……」
「そもそも、部下に仕事を任せられない……」
皆様の状況は、いかがでしょうか? 課長クラスの9割がプレイングマネージャーなんて言われる時代に、部下にどう仕事を任せていけばいいのか。今回はこれについて考えていきます。(文:働きがい創造研究所社長 田岡英明)
なぜ仕事を任せられない? その理由を認識する
部下が成長するには、筋トレと一緒で、ある程度の負荷がかかる仕事をしなければいけません。ただ、プレイングマネージャーはプレイング業務とマネジメント業務を兼任しているため、なかなか部下に仕事を渡せないようです。背景には主に2つの問題があります。
1つ目は、管理職自身の「心理的な問題」です。メンバーの知識、能力に対する不信感や不安感から来る、次のような思いはないでしょうか。
・全ての仕事を自分でコントロールして安心を得たい
・過去に部下に仕事を任せて上手くいかなかったことが忘れられない
・部下に仕事を任せるためのコミュニケーションが面倒くさい
・部下がやるより自分がやった方が効率的だ
・自分が仕事をできるところを見せたい
・部下が成長してしまうと、自身の立場が危うくなる
皆さんにも心当たりがある項目があったのではないでしょうか。
2つ目は、部下との「関係性の問題」です。仕事を任せられる部下と任せられない部下を考えてみればすぐにわかります。仕事を任せられる部下に関しては、日頃のコミュニケーションが豊富で、部下のことを得手不得手も含めてよく知っているのではないでしょうか。人間の脳は、知らないことに対して不安を覚えていきます。この不安が仕事を任せていくことにブレーキをかけていくのです。
仕事を任せる「3つのステップ」
仕事を任せられない状況を打開していくためには、具体的なアクションが必要です。ここでは3つのステップに分けてご紹介していきます。
(1)仕事を「見える化」して、任せられる仕事を洗い出す
普段、自身でやっている仕事を書き出して「見える化」していきましょう。そこから「これは部下に任せられそう」「自分がやる必要はなさそう」と思う仕事を洗い出していきましょう。
(2)その仕事を任せることのメリットを考えて言語化する
次は、その仕事を部下に任せることでどんなメリットがあるのか考えていきましょう。
「この仕事をすることで部下はどんな成長をするのか」
「部下がこの仕事ができるようになったら、組織にとってどんなプラスがあるのか」
といったものになります。自分の中で言語化することで、仕事を手放す覚悟ができていきます。
(3)任せた後の「対話」で成長を加速させる
部下に仕事を任せることができたならば、プロセスへのフィードバックとやり遂げた仕事への内省を促すコミュニケーション機会を増やしていきましょう。具体的には、1on1ミーティングや報連相の機会を定期的に取り、任せた仕事をやり遂げられるよう応援していきます。
そして、やり遂げた仕事に対して、「どうしてやり遂げることができたのか?」「どんなところが成功のポイントだったのか?」を言語化させていきます。この言語化は概念化とも言われ、仕事をうまく進めていくための仕事論に進化し、部下の自信を育んでいきます。この自信が部下のモチベーションを高め、自律も促していくことになります。部下の自律が育まれれば、管理職の仕事はとても進めやすくなっていくことでしょう。
以上、今回はプレイングマネージャーが、自身の仕事を手放し、どのように部下に任せていくのかについて紹介してまいりました。管理職の仕事の醍醐味は、部下を成長させることにあるとも言えます。また、部下に仕事を任せられれば、管理職自身も仕事をスムーズに進められるようになるでしょう。ぜひ、今回の内容を実践してみてください。