「まるで拷問でした」ある店舗スタッフが語る、エアコン故障で室温35度になった職場の2か月 NEW 2025年10月9日 キャリコネNEWS ツイート 画像はイメージ(AIで作成) 今年の夏は暑かった。熱中症対策に気をつけていた職場も多いと思うが、最悪のタイミングでエアコンが故障し想像を絶するような暑さの中で働いていた人も。とあるドラッグストア店舗で働く中野さん(仮名、20代女性)が明かす。 「業務用エアコンが故障して2か月以上も修理されず、店内、休憩室ともに室温30〜35度でした」 医薬品や化粧品を扱うドラッグストアでは、商品の品質を保つために厳格な温度管理が必要なはずだが、この店舗では従業員も商品も高温にさらされたという。編集部は中野さんに、話を聞いた。(文:天音琴葉) 故障から1か月経過も、会社は「少し待って」 中野さんが働いているドラッグストアは複合商業施設内のテナント店舗で、従業員の多くがパートやアルバイトだという。異変が起きたのは7月初めのことだった。 「店内の業務用エアコンが故障し、付いたり消えたりを繰り返すようになりました」 店長が修理会社に点検を依頼したところ、設置から年数が経過しているエアコンで、「うちでは対応しきれない」と言われてしまった。エアコンの管理は商業施設の管轄のため、店長はエリア担当者に連絡して、商業施設側へ修繕を依頼した。 しかし1か月が経過しても業者も来ず、何の音沙汰もなかった。8月中旬に再度依頼するも、施設側の反応も鈍かった。 「店長が状況を伝えると、商業施設の本部から『修理業者が繁忙期で忙しく、順番に回るから少し待って欲しい』と言われたそうです」 冷えピタを首に貼るも熱中症に エアコンが壊れた店内の室温は常に30〜35度を記録。休憩室も同じ環境のため、従業員は逃げ場のない暑さに苦しめられた。 従業員は各自で熱中症対策をしていたという。 「冷風ファンなどの導入は一切なく、備品のミニサーキュレーターと自前のサーキュレーターを持ち込んで対策するしかありません。冷えピタを首に貼ったり、保冷剤を当てたりして凌いでいる従業員もいます」 しかし、それにも限界がある。中野さん自身も、慢性的な頭痛や吐き気、食欲不振、倦怠感といった熱中症の症状に悩まされ、仕事を休むことも多々あったという。帰宅後、夜中に37度の熱が出ることもあったそうだ。 危険にさらされているのは従業員だけではない。薬局で扱う医薬品や食品、化粧品も同様だ。 「30度以下で保管すべき医薬品も高温環境に置かざるを得ない状況で……。例えば、坐剤は30度を超えると軟化や溶けてしまう可能性があります。商品の品質が劣化し、いつかお客様に健康被害が出ないか不安です」 店長もそうした危機感から、エリア担当者や商業施設側にも頻繁に相談していたが、「もう少ししたら業者が来るから待ってて」と言われるだけだった。特に、商品の保管温度については対策をとりようがなく、店長も困り果てていたようだ。 結局、再三の要請の末に修理業者が来たのは8月の終わり。しかし、9月に入ってすぐにまた故障し、再び数日間放置された。エアコンが正常に稼働するまで、2か月以上を要したことになる。 この店舗では人手不足を理由に、中野さんを含む一部従業員が、1日10時間勤務をしているという。 「エアコンが故障した灼熱の環境で10時間勤務をするのは、拷問のようでした」 猛暑が常態化する現代において、働く人の安全や健康への配慮は、あらゆる職場にとって重要な課題だ。今回の話は、そうした課題の一端を示す一例と言えるかもしれない。
「まるで拷問でした」ある店舗スタッフが語る、エアコン故障で室温35度になった職場の2か月 NEW
今年の夏は暑かった。熱中症対策に気をつけていた職場も多いと思うが、最悪のタイミングでエアコンが故障し想像を絶するような暑さの中で働いていた人も。とあるドラッグストア店舗で働く中野さん(仮名、20代女性)が明かす。
「業務用エアコンが故障して2か月以上も修理されず、店内、休憩室ともに室温30〜35度でした」
医薬品や化粧品を扱うドラッグストアでは、商品の品質を保つために厳格な温度管理が必要なはずだが、この店舗では従業員も商品も高温にさらされたという。編集部は中野さんに、話を聞いた。(文:天音琴葉)
故障から1か月経過も、会社は「少し待って」
中野さんが働いているドラッグストアは複合商業施設内のテナント店舗で、従業員の多くがパートやアルバイトだという。異変が起きたのは7月初めのことだった。
「店内の業務用エアコンが故障し、付いたり消えたりを繰り返すようになりました」
店長が修理会社に点検を依頼したところ、設置から年数が経過しているエアコンで、「うちでは対応しきれない」と言われてしまった。エアコンの管理は商業施設の管轄のため、店長はエリア担当者に連絡して、商業施設側へ修繕を依頼した。
しかし1か月が経過しても業者も来ず、何の音沙汰もなかった。8月中旬に再度依頼するも、施設側の反応も鈍かった。
「店長が状況を伝えると、商業施設の本部から『修理業者が繁忙期で忙しく、順番に回るから少し待って欲しい』と言われたそうです」
冷えピタを首に貼るも熱中症に
エアコンが壊れた店内の室温は常に30〜35度を記録。休憩室も同じ環境のため、従業員は逃げ場のない暑さに苦しめられた。
従業員は各自で熱中症対策をしていたという。
「冷風ファンなどの導入は一切なく、備品のミニサーキュレーターと自前のサーキュレーターを持ち込んで対策するしかありません。冷えピタを首に貼ったり、保冷剤を当てたりして凌いでいる従業員もいます」
しかし、それにも限界がある。中野さん自身も、慢性的な頭痛や吐き気、食欲不振、倦怠感といった熱中症の症状に悩まされ、仕事を休むことも多々あったという。帰宅後、夜中に37度の熱が出ることもあったそうだ。
危険にさらされているのは従業員だけではない。薬局で扱う医薬品や食品、化粧品も同様だ。
「30度以下で保管すべき医薬品も高温環境に置かざるを得ない状況で……。例えば、坐剤は30度を超えると軟化や溶けてしまう可能性があります。商品の品質が劣化し、いつかお客様に健康被害が出ないか不安です」
店長もそうした危機感から、エリア担当者や商業施設側にも頻繁に相談していたが、「もう少ししたら業者が来るから待ってて」と言われるだけだった。特に、商品の保管温度については対策をとりようがなく、店長も困り果てていたようだ。
結局、再三の要請の末に修理業者が来たのは8月の終わり。しかし、9月に入ってすぐにまた故障し、再び数日間放置された。エアコンが正常に稼働するまで、2か月以上を要したことになる。
この店舗では人手不足を理由に、中野さんを含む一部従業員が、1日10時間勤務をしているという。
「エアコンが故障した灼熱の環境で10時間勤務をするのは、拷問のようでした」
猛暑が常態化する現代において、働く人の安全や健康への配慮は、あらゆる職場にとって重要な課題だ。今回の話は、そうした課題の一端を示す一例と言えるかもしれない。