「夢見がちな就活時期」を送らないために… 雇用の論客3氏が語る「採用のリアル」とは 2015年1月16日 キャリコネNEWS ツイート 2016年卒の就活から「後ろ倒し」になる。就活生の中には「余裕ができた」と羽を伸ばしている人もいるが、一部の企業が青田買いをしているウワサが耳に入り「本当に大丈夫なのだろうか」と不安になっている人もいるようだ。 評論家でコラムニストの常見陽平氏と経済学者の飯田泰之氏が行っているネット生放送「饒舌大陸Z」の1月14日回では、「雇用のカリスマ」人材コンサルタントの海老原嗣生氏をゲストに迎え、雇用の現実や就活のコツについて語り合った。彼らは大学生に、どのようなアドバイスをしたのか。 すでに上位校の学生たちの「囲い込み」は終わっている 常見氏は、今回の就活時期見直しを「ターゲット校採用の集大成」だと見る。後ろ倒しとは名ばかりで、実際にはインターンシップという名の青田買いが進んでおり、学生の参加率は大学の偏差値と見事に比例しているのだという。 「インターンで上位校が囲い込まれているということですね。早めに囲い込まれる層と、途中から自由競争しなければならない層が分化しています。大学が『繰り下げてくれ』と要求したら、逆に大学の選別が起こってしまったのだと解釈しています」 企業はインターンを募集する段階で学生をすでに選別しており、参加できる学生は旧帝大や早慶を中心とした就活生全体の1~2%にすぎないという。 その一方で、「後ろ倒しになったのだから」と高をくくっている学生が多いせいか、就活進路系の書籍売上が前年同月比で半分まで落ち込んでいる書店もあるそうだ。 今回の時期見直しで、企業の採用広報開始は3年生の3月からとなっている。しかし、準備を怠ったままその時期を迎えると、どうなるのか。海老原氏は広報期間が従来の3か月から5か月(3月~8月)に延びたことに着目する。 「超人気企業は説明会の回数も枠も増やしますが、採用する人数は変わらない。だから、いつまでも『人気企業に行けるんじゃないか』と『夢見がちな5か月間』を過ごさない方がいいと思いますよ」 人気企業が「狭き門」であることを早めに知るべき 夢を追ってムダな時間を過ごさないために、海老原氏は早めに「相場観」を掴むことが大事だと助言する。ひとつめの相場観は「人気企業が狭き門であることを早めに知ること」だ。 海老原氏の試算では、人気企業の採用枠は好景気でも3万人を超えることはないという。しかし、旧帝大と早慶の卒業生だけで約4万人いる。 そのため「MARCHクラス」の学生でも、有名企業の最終面接まで進む学生がいるが、結局は内定が出ない。しかし、いいところまで行くので「自分は人気企業に入れるのでは」という幻想をいつまでも持ち続けてしまう人も多いという。 もうひとつの相場観は、自分が人気企業に就職して「本当に活躍できるのか?」というものだ。常見氏は、「赤色のメガバンク」に内定を貰った関関同立の学生が、大学のキャリアセンターに「ウチの大学から行ってもナンバーワンになれるわけがない!」と思い留まらされたという例を紹介した。 「結局、彼は財務状況の良い地銀に行って頑張っています。短い期間で相場があるんだから、『いまの自分をいかに高く売るか』ということなんですよ」 そうした「相場観」を早期につける方法として、常見氏と飯田氏は「積極的にOB訪問をすること」と口を揃える。 「昔も今も、就活のコツってOB訪問なんですよ。でも実は、6割の就活生はOB訪問を一度もせずに終わる。そこに行けば相場観もマナーもすべて分かるんですから、早く訪問して2、3人から張り手を喰らえと言いたいですね」(常見氏) 「OBがいる会社ということは、相場観としては『入れる会社』ということ。就職課とか交流会に行って、OBがいる場所を聞くっていうのは重要だよね」(飯田氏) 「グループ企業」や「BtoB系の大手」がねらい目 会場でセッションを聞いていたた就活を控える大学生からは、「就活後ろ倒しで具体的にどんなふうに就活を進めたらいいのか?」とアドバイスを求める質問も挙がった。海老原氏はそうした学生に、「グループ企業」や「BtoB系の大手」を早めに受けることを勧める。 例年、人気企業の採用は選考開始1か月以内に終わる。その後にグループ企業の内定が出始めるが、海老原氏がもっとも勧めるのがBtoB系の企業だ。常見氏も「それは鉄則」と同意する。 「世界最高の大手企業なのに、学生が知らないというだけで9月になっても採用枠が残る可能性がある。ただ優秀な学生が欲しいと思っているから、ジリジリに焦れているはずなんですよ。それを逆算すれば、みんなが来る前に先に受けるのが手です」 今回の「饒舌大陸Z」の内容は、ニコニコ生放送のタイムシフト視聴で、21日の23時59分まで観ることが可能だ。 あわせてよみたい:就活自殺の原因は「身の程知らず」? 大学教授が「有名大以外の学生」に辛口指摘 「饒舌大陸Z」第1回 「就活のコツ、雇用の現実、これからの働き方、全部まとめて面倒みます!」
「夢見がちな就活時期」を送らないために… 雇用の論客3氏が語る「採用のリアル」とは
2016年卒の就活から「後ろ倒し」になる。就活生の中には「余裕ができた」と羽を伸ばしている人もいるが、一部の企業が青田買いをしているウワサが耳に入り「本当に大丈夫なのだろうか」と不安になっている人もいるようだ。
評論家でコラムニストの常見陽平氏と経済学者の飯田泰之氏が行っているネット生放送「饒舌大陸Z」の1月14日回では、「雇用のカリスマ」人材コンサルタントの海老原嗣生氏をゲストに迎え、雇用の現実や就活のコツについて語り合った。彼らは大学生に、どのようなアドバイスをしたのか。
すでに上位校の学生たちの「囲い込み」は終わっている
常見氏は、今回の就活時期見直しを「ターゲット校採用の集大成」だと見る。後ろ倒しとは名ばかりで、実際にはインターンシップという名の青田買いが進んでおり、学生の参加率は大学の偏差値と見事に比例しているのだという。
企業はインターンを募集する段階で学生をすでに選別しており、参加できる学生は旧帝大や早慶を中心とした就活生全体の1~2%にすぎないという。
その一方で、「後ろ倒しになったのだから」と高をくくっている学生が多いせいか、就活進路系の書籍売上が前年同月比で半分まで落ち込んでいる書店もあるそうだ。
今回の時期見直しで、企業の採用広報開始は3年生の3月からとなっている。しかし、準備を怠ったままその時期を迎えると、どうなるのか。海老原氏は広報期間が従来の3か月から5か月(3月~8月)に延びたことに着目する。
人気企業が「狭き門」であることを早めに知るべき
夢を追ってムダな時間を過ごさないために、海老原氏は早めに「相場観」を掴むことが大事だと助言する。ひとつめの相場観は「人気企業が狭き門であることを早めに知ること」だ。
海老原氏の試算では、人気企業の採用枠は好景気でも3万人を超えることはないという。しかし、旧帝大と早慶の卒業生だけで約4万人いる。
そのため「MARCHクラス」の学生でも、有名企業の最終面接まで進む学生がいるが、結局は内定が出ない。しかし、いいところまで行くので「自分は人気企業に入れるのでは」という幻想をいつまでも持ち続けてしまう人も多いという。
もうひとつの相場観は、自分が人気企業に就職して「本当に活躍できるのか?」というものだ。常見氏は、「赤色のメガバンク」に内定を貰った関関同立の学生が、大学のキャリアセンターに「ウチの大学から行ってもナンバーワンになれるわけがない!」と思い留まらされたという例を紹介した。
そうした「相場観」を早期につける方法として、常見氏と飯田氏は「積極的にOB訪問をすること」と口を揃える。
「グループ企業」や「BtoB系の大手」がねらい目
会場でセッションを聞いていたた就活を控える大学生からは、「就活後ろ倒しで具体的にどんなふうに就活を進めたらいいのか?」とアドバイスを求める質問も挙がった。海老原氏はそうした学生に、「グループ企業」や「BtoB系の大手」を早めに受けることを勧める。
例年、人気企業の採用は選考開始1か月以内に終わる。その後にグループ企業の内定が出始めるが、海老原氏がもっとも勧めるのがBtoB系の企業だ。常見氏も「それは鉄則」と同意する。
今回の「饒舌大陸Z」の内容は、ニコニコ生放送のタイムシフト視聴で、21日の23時59分まで観ることが可能だ。
あわせてよみたい:就活自殺の原因は「身の程知らず」? 大学教授が「有名大以外の学生」に辛口指摘
「饒舌大陸Z」第1回 「就活のコツ、雇用の現実、これからの働き方、全部まとめて面倒みます!」