内閣府「自殺対策強化月間」の啓発マンガ 「劇的に回復する姿」に賛否 2015年3月6日 キャリコネNEWS ツイート 毎年3月は、内閣府が定める「自殺対策強化月間」。さまざまな媒体で広報活動が行われており、内容は「こころの健康相談統一ダイヤル」(0570-064-556)など相談窓口の告知が主だ。 悩み別にさまざまな相談窓口が設置されていて、悩みを抱えている人にとっては心強い内容だ。ただ、その窓口のPRページに掲載されているマンガに賛否があるようだ。 青ざめた顔が一瞬で回復? あるPR企画のページには、「こころの健康相談統一ダイヤル」に寄せられた4人の事例がマンガになっている。たとえば「心身の健康状態が悪く、復職できるか不安です…」という悩みでは、マジメさがたたって休職してしまった会社員男性の姿が描かれている。 「早く…早く良くならないと…」と、青ざめた顔で自分に言い聞かせる男性。そう思うほど、症状は悪化する。見かねた友人が「一度、ここに電話してみるといいよ」と紹介したのが、「こころの健康相談統一ダイヤル」だった。 「はい、こころの健康相談です。どんなお悩み事でもお聞きします」 と、女性はにこやかに応対する。「あの…え…と…」と話し始める男性だが、次第にマンガのコマが小さくなり、悩みの内容は描かれていない。そして、その次のコマでは一瞬で、「この分なら、お仕事を再開しても大丈夫でしょう」と医者に言われ、「ありがとうございます!!」と満面の笑みをうかべる男性の姿に変貌する。 この4事例のマンガは、いずれも電話相談で劇的に回復する姿が描かれている。もちろん「まずは電話を」という意図が込められているものだし、枠の都合もあるのだろう。とはいえ、あまりにも劇的な回復ぶりに、ツイッターなどではこんな声もあがっている。 「そんなに簡単につらい状況がよくなるかああああああああああ」 「病気発症から仕事復帰までがぶっ飛び過ぎです。こんな風になれるんだったら自分はもうすでに大富豪です」 「変われるよ。現に俺は変われた」の声も ただ、ネットに出回っている「劇的に回復する姿」は、元のマンガの一部がトリミングされているものもある。これをみると、さらに急速に回復しているように見えてしまう。 回復に時間が掛かることが描かれていないことについては、「まあ、相談窓口が存在することを通知するためだからそうなってしまうかぁ」と理解を示す人もいた。 あるブログでは、今回のPRは「かなり正しい部類に入る」と評価されている。従来の啓発は「健康な人が説教する」スタンスだったが、今回は「相談窓口ではこういう人が真摯に話をききます。ですので困ったことがあったり辛かったりしたら気軽に電話して下さい」というスタンスになっているところがよいという。 「そんなに簡単によくならない」という見方にも、ツイッターにこんな励ましもある。 「変われるよ。現に俺は変われた」 「むしろ、ちゃんと予算が出てることを朗報と見るべき案件か」 相談ダイヤルがナビダイヤル(有料)であることについては、「フリーダイヤルにしたほうがいいと思う」「そろそろ電話だけじゃ無くてLINEとかSkypeあたりでもできるようにしてくれねぇかな」とアイデアをあげる人もいた。 年間の自殺者数はピークの3万4124人(2003年)から、2万5426人(2014年)と、約10年で8698人の減少を示している。こうした啓発や相談窓口が奏功している可能性もあるかもしれない。引き続き効果的で多様な支援が広がるのを期待したいところだ。 あわせてよみたい:ワタミ過労死自殺 女性社員が働いていたお店の店長は「加害者」だったのか? あなたを自殺させない: 命の相談所「蜘蛛の糸」佐藤久男の闘い 発売元: 新潮社 価格: ¥ 1,620 posted with Socialtunes
内閣府「自殺対策強化月間」の啓発マンガ 「劇的に回復する姿」に賛否
毎年3月は、内閣府が定める「自殺対策強化月間」。さまざまな媒体で広報活動が行われており、内容は「こころの健康相談統一ダイヤル」(0570-064-556)など相談窓口の告知が主だ。
悩み別にさまざまな相談窓口が設置されていて、悩みを抱えている人にとっては心強い内容だ。ただ、その窓口のPRページに掲載されているマンガに賛否があるようだ。
青ざめた顔が一瞬で回復?
あるPR企画のページには、「こころの健康相談統一ダイヤル」に寄せられた4人の事例がマンガになっている。たとえば「心身の健康状態が悪く、復職できるか不安です…」という悩みでは、マジメさがたたって休職してしまった会社員男性の姿が描かれている。
「早く…早く良くならないと…」と、青ざめた顔で自分に言い聞かせる男性。そう思うほど、症状は悪化する。見かねた友人が「一度、ここに電話してみるといいよ」と紹介したのが、「こころの健康相談統一ダイヤル」だった。
と、女性はにこやかに応対する。「あの…え…と…」と話し始める男性だが、次第にマンガのコマが小さくなり、悩みの内容は描かれていない。そして、その次のコマでは一瞬で、「この分なら、お仕事を再開しても大丈夫でしょう」と医者に言われ、「ありがとうございます!!」と満面の笑みをうかべる男性の姿に変貌する。
この4事例のマンガは、いずれも電話相談で劇的に回復する姿が描かれている。もちろん「まずは電話を」という意図が込められているものだし、枠の都合もあるのだろう。とはいえ、あまりにも劇的な回復ぶりに、ツイッターなどではこんな声もあがっている。
「変われるよ。現に俺は変われた」の声も
ただ、ネットに出回っている「劇的に回復する姿」は、元のマンガの一部がトリミングされているものもある。これをみると、さらに急速に回復しているように見えてしまう。
回復に時間が掛かることが描かれていないことについては、「まあ、相談窓口が存在することを通知するためだからそうなってしまうかぁ」と理解を示す人もいた。
あるブログでは、今回のPRは「かなり正しい部類に入る」と評価されている。従来の啓発は「健康な人が説教する」スタンスだったが、今回は「相談窓口ではこういう人が真摯に話をききます。ですので困ったことがあったり辛かったりしたら気軽に電話して下さい」というスタンスになっているところがよいという。
「そんなに簡単によくならない」という見方にも、ツイッターにこんな励ましもある。
相談ダイヤルがナビダイヤル(有料)であることについては、「フリーダイヤルにしたほうがいいと思う」「そろそろ電話だけじゃ無くてLINEとかSkypeあたりでもできるようにしてくれねぇかな」とアイデアをあげる人もいた。
年間の自殺者数はピークの3万4124人(2003年)から、2万5426人(2014年)と、約10年で8698人の減少を示している。こうした啓発や相談窓口が奏功している可能性もあるかもしれない。引き続き効果的で多様な支援が広がるのを期待したいところだ。
あわせてよみたい:ワタミ過労死自殺 女性社員が働いていたお店の店長は「加害者」だったのか?
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