「やって!TRY」で爆笑する中高年男性たち なぜ「若い女性」だけが笑いものにされるのか? 2015年3月24日 キャリコネNEWS ツイート 毎週日曜13時スタートの「噂の!東京マガジン」(TBS系)。中でも人気なのが「やって!TRY」というコーナーだ。取材班が街ロケに出向き、適当に選んだ若い女性に料理を実演してもらう趣旨だが、3月22日放送分は「下半期傑作選BEST5」と題して、過去に放送した失敗VTRから厳選したダイジェストを5連発で流した。 視聴者から「自分たちもできないくせに」と批判 普段から自炊している子ならこなせそうなんだけど、なかなかどうしてあたふたすることも多い。このVTRにコミカルなナレーションが合わさり、30歳から69歳までの範囲で集められたスタジオ観覧者は爆笑の渦に包まれる。 ある女の子は、茶碗蒸しを蒸篭(せいろ)に入れたまま直火にかけて大炎上。また別の女の子はアジフライを作れと言われて、アジをフライパンで焼く力技を披露した。 コーナー明け、中高年の男性出演陣は口々に「面白かった」「すごいなぁ」と話しているんだけど、受け取り方によってはちょっと嫌味な口ぶりだ。 これを受けて、ネット上には「傑作選面白かった!」という声が幾つもあったものの、「若者に対して意地悪だ」「自分たちもできないくせに」という批判も目に付く。 「やってTRYの失敗集を見せて大爆笑してる会場のタレント全員にその後すぐに同じもの作らせてみたい」「笑ってるおっさん達もどうせゴミみたいな料理しか作れないんだろッて思う」 中には、「男女逆転させた『やってTRY』が見たい。料理じゃなくて洗濯とかアイロンとかでいい」という声も。確かに若い女性だけに調理をさせる必要はないはず。色んな年代の、女性だけじゃなく男性にだって、お題を出してやってもらうことは可能なんだもん。 「料理はオンナのやること」という決め付けはないか 傑作選では他にも、揚げ出し豆腐やさんまの蒲焼き、イカ大根などに一生懸命に挑戦して、言い方は悪いけど無様に失敗する若者の姿が次々に映し出された。 だけど、若者は事前に準備もしていないし、街を歩いてたらいきなりロケ隊に出演を打診されているはず。緊張して頭の中が真っ白になってしまうことだってあるだろう。 そんな若者のテンパった表情はたしかに面白いけど、一方でこのコーナーが無意識にハラスメントを行っているように感じられる。というのは、この笑いが単に「できない人を笑っている」だけではない感じがするからだ。 観覧者の年齢層を見れば分かるように、この番組は30代以上の視聴者がメインターゲット。「年長者が若者を笑う」という構図がひとつある。でも断言するけど、今回の放送分で登場した5品目をテキパキ作れる中年男性なんて、少なくとも僕の身近にはいない。 あともうひとつ。なぜ彼らは「若い女性」にあれをやらせて笑っているのかと考えてみると、もっと嫌な考えも沸いてくる。 もしかすると彼らの頭の中には、「料理はオンナのやること」という決め付けがあるのではないか。「そんなこともできないオンナは、オンナ失格だ」という考えがあるから、あんなに笑っていられるのではないだろうか。(文:松本ミゾレ) あわせてよみたい:家事を手伝う夫がブチ切れした理由
「やって!TRY」で爆笑する中高年男性たち なぜ「若い女性」だけが笑いものにされるのか?
毎週日曜13時スタートの「噂の!東京マガジン」(TBS系)。中でも人気なのが「やって!TRY」というコーナーだ。取材班が街ロケに出向き、適当に選んだ若い女性に料理を実演してもらう趣旨だが、3月22日放送分は「下半期傑作選BEST5」と題して、過去に放送した失敗VTRから厳選したダイジェストを5連発で流した。
視聴者から「自分たちもできないくせに」と批判
普段から自炊している子ならこなせそうなんだけど、なかなかどうしてあたふたすることも多い。このVTRにコミカルなナレーションが合わさり、30歳から69歳までの範囲で集められたスタジオ観覧者は爆笑の渦に包まれる。
ある女の子は、茶碗蒸しを蒸篭(せいろ)に入れたまま直火にかけて大炎上。また別の女の子はアジフライを作れと言われて、アジをフライパンで焼く力技を披露した。
コーナー明け、中高年の男性出演陣は口々に「面白かった」「すごいなぁ」と話しているんだけど、受け取り方によってはちょっと嫌味な口ぶりだ。
これを受けて、ネット上には「傑作選面白かった!」という声が幾つもあったものの、「若者に対して意地悪だ」「自分たちもできないくせに」という批判も目に付く。
中には、「男女逆転させた『やってTRY』が見たい。料理じゃなくて洗濯とかアイロンとかでいい」という声も。確かに若い女性だけに調理をさせる必要はないはず。色んな年代の、女性だけじゃなく男性にだって、お題を出してやってもらうことは可能なんだもん。
「料理はオンナのやること」という決め付けはないか
傑作選では他にも、揚げ出し豆腐やさんまの蒲焼き、イカ大根などに一生懸命に挑戦して、言い方は悪いけど無様に失敗する若者の姿が次々に映し出された。
だけど、若者は事前に準備もしていないし、街を歩いてたらいきなりロケ隊に出演を打診されているはず。緊張して頭の中が真っ白になってしまうことだってあるだろう。
そんな若者のテンパった表情はたしかに面白いけど、一方でこのコーナーが無意識にハラスメントを行っているように感じられる。というのは、この笑いが単に「できない人を笑っている」だけではない感じがするからだ。
観覧者の年齢層を見れば分かるように、この番組は30代以上の視聴者がメインターゲット。「年長者が若者を笑う」という構図がひとつある。でも断言するけど、今回の放送分で登場した5品目をテキパキ作れる中年男性なんて、少なくとも僕の身近にはいない。
あともうひとつ。なぜ彼らは「若い女性」にあれをやらせて笑っているのかと考えてみると、もっと嫌な考えも沸いてくる。
もしかすると彼らの頭の中には、「料理はオンナのやること」という決め付けがあるのではないか。「そんなこともできないオンナは、オンナ失格だ」という考えがあるから、あんなに笑っていられるのではないだろうか。(文:松本ミゾレ)
あわせてよみたい:家事を手伝う夫がブチ切れした理由