般若心経に滝行、穴掘りに千件電話アポ… 共産・吉良氏が国会で「ブラック研修」大批判 2015年3月25日 キャリコネNEWS ツイート 入社研修を控えて「イヤだなぁ…」と頭を抱える新入社員もいるだろう。業務に関係ある内容ならまだしも、泊まり込みで深夜まで社訓を叫んだり、ケータイを取り上げられ外部との連絡を遮断したりするような研修では憂鬱になるのも当然だ。 2015年3月23日に行われた参議院予算委員会では、日本共産党の吉良よし子議員が「ブラック研修」について質問を行った。ある医療関連企業O社は、宗教法人に依頼した2泊3日の研修を実施。朝から晩まで「寺修行」をさせられ、拒否する余地がないという。 隔離や苦行は「人格改造とも言うべき、重大な人権侵害」 O社の研修内容は、以下のようなものだ。 ・光明真言を1000回唱える ・三礼100セット合計300回連続で行う ・御宝号を1000回唱える ・「般若心経」の写経(夜間強制) これは1日目の午後1時から5時半までの内容だ。2日目、3日目は午前6時半の起床で、「御百度参り100往復」や「川行」「滝行」といったメニューが用意されているという。 詳細は「しんぶん赤旗」の記事に紹介されているが、吉良氏はこれを「ブラック研修」と呼び、「人格改造とも言うべき、重大な人権侵害を伴う研修が大きな問題になっています」と指摘している。 「隔離をして、人格の否定をする。大声で怒鳴る。体力の限界まで穴掘り、ランニングなどをさせて、自分がいかにダメな人間かを悟らせる。その後、会社の社訓や社長の発言録などを刷り込みして、千件の電話アポなど、ノルマを実行させる」 過酷な労働を強要して成功体験を与え、涙を流して「よくやった!」と抱き合う。吉良氏は、このような研修は「モノ言わぬ労働者」を作り上げ、ブラック企業で違法な労働に従事する「道具」にするためのものだと批判した。 社員の人格権を不当に侵害すれば「不法行為」となる 確かに寺修行は「宗教行為の強制」にあたり、信教の自由に反する恐れがある。穴掘り・ランニングのような研修も、業務と関連のない「苦行」ともいえ、方法などによってはパワハラとして損害賠償の対象になるケースもある。 吉良氏が質問で引用した名古屋地裁の判例(1963年)では、講習の科目として行われるものであっても、宗教的行事を拒むことは権利として保証されるとしている。業務と関連のない研修の内容・方法に関しても、最高裁の判例(1996年)で、 「不合理なものであってはならない」 「社員の人格権を不当に侵害するものであってはならない」 とされ、研修を行う会社や担当者の裁量の範囲を逸脱・濫用したものは「不法行為」だという判決が下っている。 とはいえ、実際に研修に「宗教行為」や「不合理」なものが含まれているとしても、社会に出て間もない新入社員にとって、研修を拒否するという選択肢は取りづらい。試用期間中や、参加が強制されている場合はなおさらだ。 厚労相は「許されるものではない」と答弁 吉良氏は「夜の写経時間分の残業代が支払われていない」と指摘したうえで、こうした研修を拒むことは「不利益を被る」実態があるため労働者側がブラック研修を拒否することは「不可能に近い」とし、国に企業研修のガイドラインの作成などによる対応を求めた。塩崎恭久厚労相は、 「優越的な地位を利用しながら、働く方々の精神的身体的な苦痛を与え、尊厳や人格を傷つけることは許されるものではない」 「労働基準関係法令違反が疑われる事案は、労働基準監督署で監督指導を実施し、法令違反が認められた場合には、厳しく是正を指導していかなければならない。悪質な研修に関する相談についても、今後しっかりと把握に努めていきたい」 と答弁している。 あわせてよみたい:逃走中Ami批判は「ブラック企業と同じ」
般若心経に滝行、穴掘りに千件電話アポ… 共産・吉良氏が国会で「ブラック研修」大批判
入社研修を控えて「イヤだなぁ…」と頭を抱える新入社員もいるだろう。業務に関係ある内容ならまだしも、泊まり込みで深夜まで社訓を叫んだり、ケータイを取り上げられ外部との連絡を遮断したりするような研修では憂鬱になるのも当然だ。
2015年3月23日に行われた参議院予算委員会では、日本共産党の吉良よし子議員が「ブラック研修」について質問を行った。ある医療関連企業O社は、宗教法人に依頼した2泊3日の研修を実施。朝から晩まで「寺修行」をさせられ、拒否する余地がないという。
隔離や苦行は「人格改造とも言うべき、重大な人権侵害」
O社の研修内容は、以下のようなものだ。
これは1日目の午後1時から5時半までの内容だ。2日目、3日目は午前6時半の起床で、「御百度参り100往復」や「川行」「滝行」といったメニューが用意されているという。
詳細は「しんぶん赤旗」の記事に紹介されているが、吉良氏はこれを「ブラック研修」と呼び、「人格改造とも言うべき、重大な人権侵害を伴う研修が大きな問題になっています」と指摘している。
過酷な労働を強要して成功体験を与え、涙を流して「よくやった!」と抱き合う。吉良氏は、このような研修は「モノ言わぬ労働者」を作り上げ、ブラック企業で違法な労働に従事する「道具」にするためのものだと批判した。
社員の人格権を不当に侵害すれば「不法行為」となる
確かに寺修行は「宗教行為の強制」にあたり、信教の自由に反する恐れがある。穴掘り・ランニングのような研修も、業務と関連のない「苦行」ともいえ、方法などによってはパワハラとして損害賠償の対象になるケースもある。
吉良氏が質問で引用した名古屋地裁の判例(1963年)では、講習の科目として行われるものであっても、宗教的行事を拒むことは権利として保証されるとしている。業務と関連のない研修の内容・方法に関しても、最高裁の判例(1996年)で、
とされ、研修を行う会社や担当者の裁量の範囲を逸脱・濫用したものは「不法行為」だという判決が下っている。
とはいえ、実際に研修に「宗教行為」や「不合理」なものが含まれているとしても、社会に出て間もない新入社員にとって、研修を拒否するという選択肢は取りづらい。試用期間中や、参加が強制されている場合はなおさらだ。
厚労相は「許されるものではない」と答弁
吉良氏は「夜の写経時間分の残業代が支払われていない」と指摘したうえで、こうした研修を拒むことは「不利益を被る」実態があるため労働者側がブラック研修を拒否することは「不可能に近い」とし、国に企業研修のガイドラインの作成などによる対応を求めた。塩崎恭久厚労相は、
と答弁している。
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