「社内サークル」が盛んなウィルグループ 役員も社員も自由参加「餃子の前に役職はない」 2015年4月6日 キャリコネNEWS ツイート 人材派遣・紹介・業務請負などの人材サービスを軸に、教育やスポーツなどへも事業の幅を広げているウィルグループ(東京・中野)。2014年12月には東証二部上場から最短の1年で、東証一部に上場を果たしている。 グループ企業は7社。国内外に50拠点を構え、今後も数が増えていく見込みだが、その一方で社内外のコミュニケーションの質と量が課題に。そんな中、「社内サークル」を作る動きが高まり、盛り上がっているという。その様子を、広報担当の大橋卯月さんにレポートしてもらった。 「やらされ感」はいらない。自分が好きだからやる 今どきの会社では珍しいと思いますが、ウィルグループではサークル活動が盛んです。野球やランニング、フットサルといった一般的なもののほか、「リアル脱出ゲーム」や「モンスターハンター」のサークルもあります。 特徴は、サークルの幹事長を部長以上の役職者が務めていること。グループ主要事業会社のセントメディアで社長を務める大原茂も「餃子」サークルを運営しています。会員数は25人で、セントメディア以外のグループ社員も多く含まれています。 「社長が率いるサークルに進んで参加する人などいるのか」と思うかもしれませんが、希望者があまりに多いので、いまは新規加入を一時ストップしているほどです。先日もレンタルキッチンを手配し、メンバーが自慢のレシピで作った餃子パーティが行われました。 大原は子どもを連れて参加し、調理もします。なぜまた餃子サークルを、と大原に聞いたところ、「だってウマいやん!?」と実に独りよがりな回答を返されました。自分の好きなことをやるのに理由はないし、そこには「やらされ感」がないということです。 実はこの「やらされ感」は、ウィルグループで働く上で重要なキーワードです。背景には大原自身の経験があります。彼が新卒で大手企業に入社しましたが、環境はとても整っていたものの、自分がやりたい仕事にすぐにリーチするのは難しかったといいます。 そこで一念発起して起業してみると、体力的にはとてもキツかったが、目の前の仕事は自分で呼び込んだものばかり。毎日本当に楽しかったし、組織の成長が嬉しかった――。ここに、彼の「やらされ感をなくしたい」という思いの原点があります。 意外な発見「あの社員が料理上手だったとは」 餃子パーティに参加した社員からは、「あの社員が料理上手だったとは!」「家庭によってこうも餃子が違うとは」「餃子に対する気持ちが自分は甘かった」など、仕事とは関係のない餃子の話がたくさんあがっていました。 仕事上は距離感がありそうな大原に対しても、一般社員から「餃子の前に役職はない」という言葉が飛び出します。大原も「餃子の歴史に比べたら、僕の社長としての歴史なんてまだまだ」と応じます。 当社は連結売上高が対前年度比で120%成長、東証二部上場から最短の1年で東証一部上場という実績から「急成長」と評価いただくこともあります。 その反面、急速な事業拡大に伴う課題もあります。拠点展開が急激に加速すると、メンバー間のコミュニケーションが質・量ともに乏しくなり、隣の事業部の社員が、どんな人なのか分からない…。その状態がどんどん広がっていった時期がありました。 そんな中、幹部たちの間で「サークル」というアイデアが出てきたわけですが、その効果はよい形で広がりつつあるのではないかと思います。今後の課題としては、離れた拠点間でもサークルのメンバーが交流できるようSNSを使うなどの工夫をすることです。 「やるもよし、やらぬもよし」という風土が前提 ウィルグループの新卒採用説明会では、このような「やらされ感をなくす」ということに加え、「手を挙げる勇気」という企業文化の説明にも大きく時間を割いています。 社内新規事業開発コンテストの「BMG(ビジネスモデルグランプリ)」では、有志の社員が役員に新規事業の提案を行っています。昨年度は128人の社員がエントリーし、2事業を立ち上げました。これも社員が「手をあげる勇気」を発揮してくれたものです。 その一方で、ウィルグループには「やるもよし、やらぬもよし」という風土もあります。そうでなければ、ただの「無言の圧力」になってしまいますよね(笑)。他の人と同じようにやらないからといってダメ出しされるようなことはありません。すべては、たまたまその社員がやりたいことに「手を挙げた」のだろうと解されているだけです。 サークルの取り組みも、全体で見れば必ずしも加入率が高いといえないのかもしれませんが、希望しない社員の参加を強制することは決してありません。「手を挙げる勇気」は称賛しますが、無理に手を挙げる必要はない。本当に活性化された「やらされ感」のない社内文化の醸成が大事だと、私たちは考えています。 【プロフィール】ウィルグループ 広報担当 大橋 卯月:1982年生まれ。神奈川県出身。2006年、新卒でウィルグループに入社。営業・事業立上げ・営業企画などを経験し、グループ広報に就任した。ベンチャー企業の魅力を日々PRする「なでしこ広報会」(主宰:栗田朋一・ 東京PRアカデミー代表)に参加している。
「社内サークル」が盛んなウィルグループ 役員も社員も自由参加「餃子の前に役職はない」
人材派遣・紹介・業務請負などの人材サービスを軸に、教育やスポーツなどへも事業の幅を広げているウィルグループ(東京・中野)。2014年12月には東証二部上場から最短の1年で、東証一部に上場を果たしている。
グループ企業は7社。国内外に50拠点を構え、今後も数が増えていく見込みだが、その一方で社内外のコミュニケーションの質と量が課題に。そんな中、「社内サークル」を作る動きが高まり、盛り上がっているという。その様子を、広報担当の大橋卯月さんにレポートしてもらった。
「やらされ感」はいらない。自分が好きだからやる
今どきの会社では珍しいと思いますが、ウィルグループではサークル活動が盛んです。野球やランニング、フットサルといった一般的なもののほか、「リアル脱出ゲーム」や「モンスターハンター」のサークルもあります。
特徴は、サークルの幹事長を部長以上の役職者が務めていること。グループ主要事業会社のセントメディアで社長を務める大原茂も「餃子」サークルを運営しています。会員数は25人で、セントメディア以外のグループ社員も多く含まれています。
「社長が率いるサークルに進んで参加する人などいるのか」と思うかもしれませんが、希望者があまりに多いので、いまは新規加入を一時ストップしているほどです。先日もレンタルキッチンを手配し、メンバーが自慢のレシピで作った餃子パーティが行われました。
大原は子どもを連れて参加し、調理もします。なぜまた餃子サークルを、と大原に聞いたところ、「だってウマいやん!?」と実に独りよがりな回答を返されました。自分の好きなことをやるのに理由はないし、そこには「やらされ感」がないということです。
実はこの「やらされ感」は、ウィルグループで働く上で重要なキーワードです。背景には大原自身の経験があります。彼が新卒で大手企業に入社しましたが、環境はとても整っていたものの、自分がやりたい仕事にすぐにリーチするのは難しかったといいます。
そこで一念発起して起業してみると、体力的にはとてもキツかったが、目の前の仕事は自分で呼び込んだものばかり。毎日本当に楽しかったし、組織の成長が嬉しかった――。ここに、彼の「やらされ感をなくしたい」という思いの原点があります。
意外な発見「あの社員が料理上手だったとは」
餃子パーティに参加した社員からは、「あの社員が料理上手だったとは!」「家庭によってこうも餃子が違うとは」「餃子に対する気持ちが自分は甘かった」など、仕事とは関係のない餃子の話がたくさんあがっていました。
仕事上は距離感がありそうな大原に対しても、一般社員から「餃子の前に役職はない」という言葉が飛び出します。大原も「餃子の歴史に比べたら、僕の社長としての歴史なんてまだまだ」と応じます。
当社は連結売上高が対前年度比で120%成長、東証二部上場から最短の1年で東証一部上場という実績から「急成長」と評価いただくこともあります。
その反面、急速な事業拡大に伴う課題もあります。拠点展開が急激に加速すると、メンバー間のコミュニケーションが質・量ともに乏しくなり、隣の事業部の社員が、どんな人なのか分からない…。その状態がどんどん広がっていった時期がありました。
そんな中、幹部たちの間で「サークル」というアイデアが出てきたわけですが、その効果はよい形で広がりつつあるのではないかと思います。今後の課題としては、離れた拠点間でもサークルのメンバーが交流できるようSNSを使うなどの工夫をすることです。
「やるもよし、やらぬもよし」という風土が前提
ウィルグループの新卒採用説明会では、このような「やらされ感をなくす」ということに加え、「手を挙げる勇気」という企業文化の説明にも大きく時間を割いています。
社内新規事業開発コンテストの「BMG(ビジネスモデルグランプリ)」では、有志の社員が役員に新規事業の提案を行っています。昨年度は128人の社員がエントリーし、2事業を立ち上げました。これも社員が「手をあげる勇気」を発揮してくれたものです。
その一方で、ウィルグループには「やるもよし、やらぬもよし」という風土もあります。そうでなければ、ただの「無言の圧力」になってしまいますよね(笑)。他の人と同じようにやらないからといってダメ出しされるようなことはありません。すべては、たまたまその社員がやりたいことに「手を挙げた」のだろうと解されているだけです。
サークルの取り組みも、全体で見れば必ずしも加入率が高いといえないのかもしれませんが、希望しない社員の参加を強制することは決してありません。「手を挙げる勇気」は称賛しますが、無理に手を挙げる必要はない。本当に活性化された「やらされ感」のない社内文化の醸成が大事だと、私たちは考えています。
【プロフィール】ウィルグループ 広報担当 大橋 卯月:1982年生まれ。神奈川県出身。2006年、新卒でウィルグループに入社。営業・事業立上げ・営業企画などを経験し、グループ広報に就任した。ベンチャー企業の魅力を日々PRする「なでしこ広報会」(主宰:栗田朋一・ 東京PRアカデミー代表)に参加している。