• アフリカの島国「マダガスカル」は主食がコメ 手先が器用でマジメで勤勉

    外務省のウェブサイトより

    2015年5月18日放送の「未来世紀ジパング」(テレビ東京)は、アフリカの東、インド洋に浮かぶ島国マダガスカルを紹介した。かつてフランス領だったため、街並みはヨーロッパ風でリゾート地としても開発された地域もある。

    キツネザルなど独特な生態系を持つ珍しい野生動物の宝庫で、大手旅行会社のH.I.S.が初めてツアーデスクを置く。日本語を学ぶ人の割合は、アフリカではマダガスカルが一番多く、10万人以上の空手愛好者がいる。市内の公立高校では日本語の授業が行われており、生徒たちは「日本人と一緒に働きたい」「日本人と結婚したい」と好意的だ。

    大阪の衣料品メーカーが進出「すごく向いてます」

    日本企業の進出はほとんど無いなか、マダガスカルに目をつけたのが、大阪に本社を構える「ナックス」だ。百貨店などにニット製品を納めている衣料品メーカーで、2年前から生産拠点を中国などから移した。

    マダガスカルは人件費が世界で最も安く、関税もないため、遠くても採算が合う。ナックス品質管理室・室長の武下典史さんは、現地でマダガスカル人の手先に器用さに驚いた。縫製の仕上がりがきれいで、欧州だと3センチまで許容される誤差も、すべて1センチ以内。

    昔からカゴ編みの技術が優れているため、縫製はお手のものだ。編む位置によって変えなくてはならない針の数など、複雑な設計図がすべて頭に入っていて、何も見なくても手早く器用に作業を進めていた。

    武下さんは、「勤勉です。本当に真面目に働いて頂いています、すごく向いてます」と絶賛し、今後の展望を語る言葉から、マダガスカルへの絶対的な信頼が分かった。

    「去年は2万枚、今年からは5万枚、今後10年先には10万枚と、オーダーは進めて行こうと思います」

    JICAの田植え指導で生産性アップ中

    ジャーナリストの竹田圭吾氏もVTRを見て、「勤勉で手先が器用と言われる国は他にもあるが、それだけではなく几帳面で、計算が必要な仕事に対する適性がプラスアルファである」と感心していた。

    マダガスカルは2009年、反政府勢力が事実上のクーデターを起こして政情不安が続いたが、2014年、民主的な選挙で大統領が選ばれたのを機に、海外からの投資を積極的に受け入れている。

    名産は、高品質のバニラやチョコレート、ウナギ。そして国民の70%以上が農家という稲作大国で、アフリカとしては珍しく米が主食だ。日本人の2倍以上も食べているが、生産量が足りていない問題があり、不作の年はイモでなんとか食いつないでいる。

    JICA(国際協力機構)の新井圭介さんと羽原隆造さんは、豊作になる農法を教えて回っていた。升目に沿ってきれいに植える、日本では当たり前のやり方だ。田植えから脱穀の仕方まで日本式に変えるだけでも、収穫量が2~3倍増えた。

    羽原さんは、「将来マダガスカルの食糧事情が良くなって、輸出もできるようになったら、日本人として嬉しいですね」と話した。足こぎ式の脱穀機は現地で生産、販売できるようにし、雇用も生んだ。

    クーデターのきっかけは韓国企業の「植民地契約」

    観光や農産物だけでなく鉱物資源も豊富で、サファイヤ、ルビーは世界有数の産地で、世界最大規模のニッケル鉱山もある。番組ゲストの宮崎美子さんは「夢のような島」とつぶやいた。

    一橋大学教授・米倉誠一郎氏の解説によると、マダガスカル進出を巡っては過去に大きな問題が起こっていた。2008年、政府が韓国の大宇グループに「耕作地の半分以上を99年間にわたって貸し付ける」という植民地のような契約を結び、それをきっかけに2009年のクーデターが起きたという。

    「資源は魅力的だが、争奪にいくようなことは絶対にいけない。その資源を利用して彼らの生活水準、生産性が上がっていく支援の仕方が大事です」

    日本のかかわり方について、米倉氏はこう提言した。豊かな資源に恵まれた国でありながら、賃金が世界で一番低いということは、決して恵まれた状況ではない。今後の発展に日本が正しく協力できるといいと感じた。(ライター:okei)

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