もしも夫が、妻が「ADHD」だと分かったら… 夫婦で協力して関係を改善する「10のヒント」 2015年6月14日 キャリコネNEWS ツイート 「大人の発達障害」がNHK「あさイチ」でも取り上げられるなど、関心を集めています。米国では、発達障害の1つであるADHD(注意欠陥多動性障害)を持っている人は、持っていない人の約2倍の確率で離婚するという調査もあるそうです。 ADHDのせいで夫婦関係が壊れてしまう場合もありますが、夫婦で協力して症状に対処し、2人の関係を劇的に改善することもできるのです。結婚コンサルタントのメリッサ・オルロフ氏による10の対処法が、米Psych Centralで紹介されています。(文:パッタナカーン山崎) 特徴的な症状を理解できれば、対処も変えられる 記事によれば、もっとも大切なことは「ADHDに対する理解」です。成人ADHDの半分以上は、自分がそうであると気づいていません。しかし特徴的な症状を理解していなければ、その症状をパートナーの性格や気持ちだと誤解してしまいます。 オルロフ氏は、夫がADHDであることを知らなかった当初、自分は愛されていないと悩みました。彼女に関心を払わない夫の態度を、愛していない証拠だと誤解したのです。 次に気をつけたいのは「反応の悪循環」です。ADHDの症状だけではトラブルにならず、注意欠陥だけでは問題にはなりません。しかし注意欠陥に対する反応によって、悪循環を生み出してしまうことがあるのです。 ADHDの人は、配偶者に対して注意を払いません。配偶者は無視されたと思い、怒ったりイライラした反応をしたりすると、ADHDの人も同様の反応をします。 3つめの問題は「擬似親子関係」です。パートナーが相手の欠点をカバーしようとして、親と子どものような関係に陥ってしまうのです。当然、親役の負担が重くなればなるほどストレスが溜まって精神的に参ってしまい、怒りさえ湧いてきます。 スケジュール管理用の「ツール」を活用することも それでは、もしも夫が、妻が「ADHD」であった場合、夫婦はどのように対応すればよいのでしょうか。ちょっと長いですが「10の対処法」を見てみましょう。 1.ADHDを「理解」する 大人のADHDを理解すれば、どのようなことが起こるか予測できます。注意力散漫なのはADHDのせいであり、あなたを無視しているわけでありません。怒る代わりに、注意欠陥を減らす方法を一緒に考えましょう。ADHDの症状に目を向けると、問題の根本にたどり着き、対応の仕方も変えることができるのです。 2.「最適な対処法」を探す オルロフ氏は、対処法を「三脚椅子」に例えています。1本目の脚は、脳の化学的なバランスを整えるための身体的活動。瞑想、エアロビクス、十分な睡眠など。2本目の脚は、行動を変えるもの。新しい習慣を身につける、すべきリストを作るなど。3本目の脚は、パートナーと協力して行うもの。スケジュールを一緒に考える、ケンカがエスカレートする前に合言葉を使うなど。 3.2人で「協力」する どちらがADHDでも、2人で協力することが必要です。擬似親子関係の夫婦ならば、一方が面倒を見過ぎないようすることも大切です。それぞれの得意なことを役割分担したり、計画を一緒に考えたりしましょう。関係改善の取り組みを始めると、ADHDの人は自分が責められていると感じることがあります。しかし、きちんと説明すれば、相手も理解し、自らも変わろうと努力します。 4.「ツール」に頼る アラーム付きのスケジュール管理システムなどを使うことは、ADHDの人にとってとても有効です。例えば仕事を小さなステップに分け、書き出し、携帯のアラームにセットしておくのです。 5.「つながる時間」を作る 夫婦がお互いにより良い関係を築くためには、日常の会話やセックスの時間を決めることも大切です。ADHDの人は何時間もコンピュータに没頭したりして、忘れてしまいがちなので。 「楽しかったこと」を思い出すのはいいこと 6.ADHDは性格ではなく「障害」と理解する 治療をしていないADHDは、その人の生活すべてに影響があります。ADHDの症状がその人の性格ではないことを忘れないで。 7.「共感」する あなたがADHDではないのなら、パートナーが多くの症状を抱えながら毎日生活することがどんなに大変か想像しましょう。あなたがADHDだったら、あなたの障害がどれだけパートナーの生活に影響しているかを理解するようにしましょう。 8.「支援」を求める オルロフ氏は、サポートグループに入ることを奨めています。「他の夫婦もこの問題と戦っていることを知って気持ちが楽になった」という相談者が多くいるそうです。友人や家族にもADHDについて理解してもらい協力を求めましよう。 9.「楽しかったこと」を思い出す 今までの楽しかったことや良かったことを思い出すことは、前に進む大事なステップになります。 10.「方法」を変える 関係改善の努力をしても何も変わらなかったり、さらに悪化したりする場合もあります。その場合は、誰かを非難するのではなく、それぞれが考え方を変えてみましょう。そうすれば方法も変わってきます。 ADHDの人に物事のやり方や対処法を指示したくなることもありますが、「私はこの人の世話係じゃない。お互いに助け合っていく」と考えるべきです。 ADHDの人は「自分は愛されていないし、パートナーは自分を変えようとしている」と思いがちです。「私は愛されている、でも私のADHD症状は歓迎されていない。だから症状をコントロールする必要がある」と考え方を変えましょう。オルコフ氏は、「夫婦の関係は劇的に変わるものです。望みを捨てないで」と強調しています。 (参考)ADHD’s Impact on Relationships: 10 Tips to Help (Psycho Central) あわせてよみたい:「子どもにとって最悪な親とは」米医師の寄稿が話題
もしも夫が、妻が「ADHD」だと分かったら… 夫婦で協力して関係を改善する「10のヒント」
「大人の発達障害」がNHK「あさイチ」でも取り上げられるなど、関心を集めています。米国では、発達障害の1つであるADHD(注意欠陥多動性障害)を持っている人は、持っていない人の約2倍の確率で離婚するという調査もあるそうです。
ADHDのせいで夫婦関係が壊れてしまう場合もありますが、夫婦で協力して症状に対処し、2人の関係を劇的に改善することもできるのです。結婚コンサルタントのメリッサ・オルロフ氏による10の対処法が、米Psych Centralで紹介されています。(文:パッタナカーン山崎)
特徴的な症状を理解できれば、対処も変えられる
記事によれば、もっとも大切なことは「ADHDに対する理解」です。成人ADHDの半分以上は、自分がそうであると気づいていません。しかし特徴的な症状を理解していなければ、その症状をパートナーの性格や気持ちだと誤解してしまいます。
オルロフ氏は、夫がADHDであることを知らなかった当初、自分は愛されていないと悩みました。彼女に関心を払わない夫の態度を、愛していない証拠だと誤解したのです。
次に気をつけたいのは「反応の悪循環」です。ADHDの症状だけではトラブルにならず、注意欠陥だけでは問題にはなりません。しかし注意欠陥に対する反応によって、悪循環を生み出してしまうことがあるのです。
ADHDの人は、配偶者に対して注意を払いません。配偶者は無視されたと思い、怒ったりイライラした反応をしたりすると、ADHDの人も同様の反応をします。
3つめの問題は「擬似親子関係」です。パートナーが相手の欠点をカバーしようとして、親と子どものような関係に陥ってしまうのです。当然、親役の負担が重くなればなるほどストレスが溜まって精神的に参ってしまい、怒りさえ湧いてきます。
スケジュール管理用の「ツール」を活用することも
それでは、もしも夫が、妻が「ADHD」であった場合、夫婦はどのように対応すればよいのでしょうか。ちょっと長いですが「10の対処法」を見てみましょう。
1.ADHDを「理解」する
大人のADHDを理解すれば、どのようなことが起こるか予測できます。注意力散漫なのはADHDのせいであり、あなたを無視しているわけでありません。怒る代わりに、注意欠陥を減らす方法を一緒に考えましょう。ADHDの症状に目を向けると、問題の根本にたどり着き、対応の仕方も変えることができるのです。
2.「最適な対処法」を探す
オルロフ氏は、対処法を「三脚椅子」に例えています。1本目の脚は、脳の化学的なバランスを整えるための身体的活動。瞑想、エアロビクス、十分な睡眠など。2本目の脚は、行動を変えるもの。新しい習慣を身につける、すべきリストを作るなど。3本目の脚は、パートナーと協力して行うもの。スケジュールを一緒に考える、ケンカがエスカレートする前に合言葉を使うなど。
3.2人で「協力」する
どちらがADHDでも、2人で協力することが必要です。擬似親子関係の夫婦ならば、一方が面倒を見過ぎないようすることも大切です。それぞれの得意なことを役割分担したり、計画を一緒に考えたりしましょう。関係改善の取り組みを始めると、ADHDの人は自分が責められていると感じることがあります。しかし、きちんと説明すれば、相手も理解し、自らも変わろうと努力します。
4.「ツール」に頼る
アラーム付きのスケジュール管理システムなどを使うことは、ADHDの人にとってとても有効です。例えば仕事を小さなステップに分け、書き出し、携帯のアラームにセットしておくのです。
5.「つながる時間」を作る
夫婦がお互いにより良い関係を築くためには、日常の会話やセックスの時間を決めることも大切です。ADHDの人は何時間もコンピュータに没頭したりして、忘れてしまいがちなので。
「楽しかったこと」を思い出すのはいいこと
6.ADHDは性格ではなく「障害」と理解する
治療をしていないADHDは、その人の生活すべてに影響があります。ADHDの症状がその人の性格ではないことを忘れないで。
7.「共感」する
あなたがADHDではないのなら、パートナーが多くの症状を抱えながら毎日生活することがどんなに大変か想像しましょう。あなたがADHDだったら、あなたの障害がどれだけパートナーの生活に影響しているかを理解するようにしましょう。
8.「支援」を求める
オルロフ氏は、サポートグループに入ることを奨めています。「他の夫婦もこの問題と戦っていることを知って気持ちが楽になった」という相談者が多くいるそうです。友人や家族にもADHDについて理解してもらい協力を求めましよう。
9.「楽しかったこと」を思い出す
今までの楽しかったことや良かったことを思い出すことは、前に進む大事なステップになります。
10.「方法」を変える
関係改善の努力をしても何も変わらなかったり、さらに悪化したりする場合もあります。その場合は、誰かを非難するのではなく、それぞれが考え方を変えてみましょう。そうすれば方法も変わってきます。
ADHDの人に物事のやり方や対処法を指示したくなることもありますが、「私はこの人の世話係じゃない。お互いに助け合っていく」と考えるべきです。
ADHDの人は「自分は愛されていないし、パートナーは自分を変えようとしている」と思いがちです。「私は愛されている、でも私のADHD症状は歓迎されていない。だから症状をコントロールする必要がある」と考え方を変えましょう。オルコフ氏は、「夫婦の関係は劇的に変わるものです。望みを捨てないで」と強調しています。
(参考)ADHD’s Impact on Relationships: 10 Tips to Help (Psycho Central)
あわせてよみたい:「子どもにとって最悪な親とは」米医師の寄稿が話題