「働く母親は子どもに良い影響!」 ハーバード大の研究結果にも、米読者は冷ややかな反応 2015年7月17日 キャリコネNEWS ツイート 自分のキャリアと出産や子育てを両立させようとすると、周囲が「子どもがかわいそう」などといってそれを妨げようとすることがあります。 しかしハーバードビジネススクールの研究によれば、母親が働くことは子どもにポジティブな影響を与える部分もあるようです。マーケティング会社を経営するレア・アーノルドスミーツ氏は、7月2日付のPayScaleにこんな寄稿をしています。 「ワーキングママの子どもたちは、そうでない子どもたちより人生で成功しています。だから働くお母さんは罪悪感を捨てて、自分がすばらしいキャリアを持つ母親であることを誇りに思ってください」 仕事を持たない母親の娘より収入は23%高かったが この研究結果は、先進24カ国の男女3万人から集めたデータを、ハーバードビジネススクールが分析したもの。仕事を持つ母親のもとで育つことが、子どもの雇用や家族の世話などに影響を与えるかどうかを調べました。 その結果、働く母親の娘の多くはフルタイム仕事に就いており、さらに管理職に就いている人も少なくなく、仕事を持たない母親の娘よりも23%も高い収入を得ていることが分かりました。 さらに働く母親の息子は、そうでない息子よりも家事を助け、家族により多くの時間を費やす傾向があることも分かりました。この傾向は、母親が年に数か月だけ働く場合も、毎週60時間働く場合も変わりなかったそうです。 研究を行ったマクギン教授は、働く親たちは自分のキャリアを充実させることは、家族を経済的に助けるだけでなく、現代社会の共働き世帯がどのようなものかという現実的な例を示すことで、長期的に子どもたちを助けているのだと主張します。 働く母親読者「収入はまあまあでも、幸せになってほしい」 もしこの研究結果が正しければ働く女性には朗報ですが、記事には読者から厳しい疑問が投げかけられています。例えば子育てのために高収入の仕事をやめたという女性からは、こんなコメントが寄せられています。 「統計から得られるのは一般論だけで、現実は反映されていない。自分の女友達の中には、ワークライフバランスを保っている人もいるけど、全ての仕事がそうだというわけではない。自分の娘には収入はまあまあでも、自分が幸せになれる職に就いてほしい」 要するに、統計上で収入に23%の違いがあったとしても、それがすなわち「子どもたちの幸せな人生」と見なせるかどうか判断できないということでしょう。別の女性からは、 「高収入の職に就けるのは、高学歴の女性のみ。毎日子どもといるのに疲れて、外に仕事を求める母親もいる」 といった感想も寄せられています。子どもが高収入の仕事に就けているかどうかは、母親が働いているかどうかとは別の要素との因果関係もあるのではという指摘。母親が働く理由にもさまざまあるようです。 ということで、元記事はワーキングママにエールを送る研究結果を紹介するものでしたが、母親が働くことの現実は、それほどバラ色でもないのかもしれません。(文:夢野響子) (参照)Want Your Kids to Be Successful? Don’t Quit Your Day Job, Says Harvard Study (PayScale) あわせてよみたい:子どもと過ごす時間に大切なのは「長さ」より「質」という説
「働く母親は子どもに良い影響!」 ハーバード大の研究結果にも、米読者は冷ややかな反応
自分のキャリアと出産や子育てを両立させようとすると、周囲が「子どもがかわいそう」などといってそれを妨げようとすることがあります。
しかしハーバードビジネススクールの研究によれば、母親が働くことは子どもにポジティブな影響を与える部分もあるようです。マーケティング会社を経営するレア・アーノルドスミーツ氏は、7月2日付のPayScaleにこんな寄稿をしています。
仕事を持たない母親の娘より収入は23%高かったが
この研究結果は、先進24カ国の男女3万人から集めたデータを、ハーバードビジネススクールが分析したもの。仕事を持つ母親のもとで育つことが、子どもの雇用や家族の世話などに影響を与えるかどうかを調べました。
その結果、働く母親の娘の多くはフルタイム仕事に就いており、さらに管理職に就いている人も少なくなく、仕事を持たない母親の娘よりも23%も高い収入を得ていることが分かりました。
さらに働く母親の息子は、そうでない息子よりも家事を助け、家族により多くの時間を費やす傾向があることも分かりました。この傾向は、母親が年に数か月だけ働く場合も、毎週60時間働く場合も変わりなかったそうです。
研究を行ったマクギン教授は、働く親たちは自分のキャリアを充実させることは、家族を経済的に助けるだけでなく、現代社会の共働き世帯がどのようなものかという現実的な例を示すことで、長期的に子どもたちを助けているのだと主張します。
働く母親読者「収入はまあまあでも、幸せになってほしい」
もしこの研究結果が正しければ働く女性には朗報ですが、記事には読者から厳しい疑問が投げかけられています。例えば子育てのために高収入の仕事をやめたという女性からは、こんなコメントが寄せられています。
要するに、統計上で収入に23%の違いがあったとしても、それがすなわち「子どもたちの幸せな人生」と見なせるかどうか判断できないということでしょう。別の女性からは、
といった感想も寄せられています。子どもが高収入の仕事に就けているかどうかは、母親が働いているかどうかとは別の要素との因果関係もあるのではという指摘。母親が働く理由にもさまざまあるようです。
ということで、元記事はワーキングママにエールを送る研究結果を紹介するものでしたが、母親が働くことの現実は、それほどバラ色でもないのかもしれません。(文:夢野響子)
(参照)Want Your Kids to Be Successful? Don’t Quit Your Day Job, Says Harvard Study (PayScale)
あわせてよみたい:子どもと過ごす時間に大切なのは「長さ」より「質」という説