やりがい一番! 食肉卸プレコフーズが配達スタッフを「全員正社員」にしている理由 2015年7月22日 キャリコネNEWS ツイート 7月16日放送の「カンブリア宮殿」(テレビ東京)は、首都圏の人気飲食店に新鮮でおいしい肉を届ける食肉卸会社「プレコフーズ」を紹介した。1000円以上注文すれば配送料は無料だが、200グラムしか買わない客もあり、ふつうに考えれば赤字だ。 しかし事業は、いまや年商130億円に迫る勢い。村上龍は売上高推移のグラフを掲げて「急成長はIT企業などがあるが、食肉卸でこんな角度はあり得ない。驚異の伸び」と驚いていた。強さの秘密を、高波幸夫社長に訊いた。 単価勝負になる大手チェーンを捨て「個人」に集中 顧客の95%が小さな個人店のプレコフーズは、客のこまかな要望に応えて加工する。1000種類以上の厳選した肉を「油少なめに切り小分け」や「数ミリ違い厚さ」など個々の注文通りにさばき、櫛うちやチャーシューの下処理、指示通りの味付けも快く引き受ける。 こうして加工した肉を、208台の車で首都圏の飲食店に配達している。鍵を預かり、開店前の店の冷蔵庫に入れておくことも多い。高波氏が社長に就任した1994年には50軒しかなかった顧客を、1万7000軒にまで拡大した。 個人店にこだわる理由は、大手チェーンだと単価勝負になるが、個人店は品質や加工方法などを重視するから。さらに大手は配達先が各所に散らばる「点」だが、たとえば新橋駅周辺での配達先は100件以上。密集度はまさに面のようで密度が濃いほど配達効率が良くなる。 東京・品川区の戸越銀座商店街で、肉屋を営む両親のもとで育った高波社長。1978年、20歳の時にアメリカに留学したが、5年後に帰国して家業を継いだ。ところが商店街にスーパーができたことで、売り上げが激減してしまった。 そこで高田社長自ら飲食店向けの飛び込み営業を始めた。地道な営業のなかで、大手では応じないような細かい要望にひとつひとつ応じながら取引先を増やしていった。 こうしたやり方は、母・シズ子さんの教え「商いは飽きないだよ」に支えられている。その心は、コツコツと続けていくことの大切さだ。幼いころからどんなに少額しか使わないお客さんでも大事にする両親の姿を見て育った高波社長は、「昔の町の商店街」の基本精神のまま、会社を発展させてきた。 社員に「1日1センチの努力」を求める この精神は社員にも浸透している。プレコフーズでは配達スタッフは全員正社員。配達だけでなく客のケアから営業まで行うため、配送マンではなく「ルートセールスマン」という位置づけだ。 工藤聖也さんは、顔なじみの店主たちにお薦めのカット肉を調理法の説明をしながら売っていた。店主は、何か面白いものがあれば持ってきてくれるように頼んである。工藤さんは「やりがいあります。おすすめ商品を買ってもらうのが一番うれしい」と語る。 配送スタッフは1人30軒から120軒の担当を持っている。配送だけしていたらそれで終わりだが、客とのコミュニケーションがあるからこそお客も離れないし売り上げも上がる。商品を試行錯誤しながら一緒に作り上げることもある。 高波社長は社員に、「1日1センチの努力を続けてください」と話しているそうだ。そうすれば「1年間で365センチの台に乗っている巨人になるわけです」。村上龍はそれに応えて、「その努力の積み重ねがこれになるわけですね」と急成長を示す売上げ推移グラフを再び取り出した。 社員に努力しろと言っても、自分がコツコツ努力してきた実績がなければ説得力がないし、まっとうな待遇でなければ実行する気持ちにはならない。高波社長は、顧客のみならずルートセールスマンという戦力も大切にしているのだろう。それが大きな成長につながっているように思えた。(ライター:okei) あわせてよみたい:みんな何日くらいで仕事辞めた?
やりがい一番! 食肉卸プレコフーズが配達スタッフを「全員正社員」にしている理由
7月16日放送の「カンブリア宮殿」(テレビ東京)は、首都圏の人気飲食店に新鮮でおいしい肉を届ける食肉卸会社「プレコフーズ」を紹介した。1000円以上注文すれば配送料は無料だが、200グラムしか買わない客もあり、ふつうに考えれば赤字だ。
しかし事業は、いまや年商130億円に迫る勢い。村上龍は売上高推移のグラフを掲げて「急成長はIT企業などがあるが、食肉卸でこんな角度はあり得ない。驚異の伸び」と驚いていた。強さの秘密を、高波幸夫社長に訊いた。
単価勝負になる大手チェーンを捨て「個人」に集中
顧客の95%が小さな個人店のプレコフーズは、客のこまかな要望に応えて加工する。1000種類以上の厳選した肉を「油少なめに切り小分け」や「数ミリ違い厚さ」など個々の注文通りにさばき、櫛うちやチャーシューの下処理、指示通りの味付けも快く引き受ける。
こうして加工した肉を、208台の車で首都圏の飲食店に配達している。鍵を預かり、開店前の店の冷蔵庫に入れておくことも多い。高波氏が社長に就任した1994年には50軒しかなかった顧客を、1万7000軒にまで拡大した。
個人店にこだわる理由は、大手チェーンだと単価勝負になるが、個人店は品質や加工方法などを重視するから。さらに大手は配達先が各所に散らばる「点」だが、たとえば新橋駅周辺での配達先は100件以上。密集度はまさに面のようで密度が濃いほど配達効率が良くなる。
東京・品川区の戸越銀座商店街で、肉屋を営む両親のもとで育った高波社長。1978年、20歳の時にアメリカに留学したが、5年後に帰国して家業を継いだ。ところが商店街にスーパーができたことで、売り上げが激減してしまった。
そこで高田社長自ら飲食店向けの飛び込み営業を始めた。地道な営業のなかで、大手では応じないような細かい要望にひとつひとつ応じながら取引先を増やしていった。
こうしたやり方は、母・シズ子さんの教え「商いは飽きないだよ」に支えられている。その心は、コツコツと続けていくことの大切さだ。幼いころからどんなに少額しか使わないお客さんでも大事にする両親の姿を見て育った高波社長は、「昔の町の商店街」の基本精神のまま、会社を発展させてきた。
社員に「1日1センチの努力」を求める
この精神は社員にも浸透している。プレコフーズでは配達スタッフは全員正社員。配達だけでなく客のケアから営業まで行うため、配送マンではなく「ルートセールスマン」という位置づけだ。
工藤聖也さんは、顔なじみの店主たちにお薦めのカット肉を調理法の説明をしながら売っていた。店主は、何か面白いものがあれば持ってきてくれるように頼んである。工藤さんは「やりがいあります。おすすめ商品を買ってもらうのが一番うれしい」と語る。
配送スタッフは1人30軒から120軒の担当を持っている。配送だけしていたらそれで終わりだが、客とのコミュニケーションがあるからこそお客も離れないし売り上げも上がる。商品を試行錯誤しながら一緒に作り上げることもある。
高波社長は社員に、「1日1センチの努力を続けてください」と話しているそうだ。そうすれば「1年間で365センチの台に乗っている巨人になるわけです」。村上龍はそれに応えて、「その努力の積み重ねがこれになるわけですね」と急成長を示す売上げ推移グラフを再び取り出した。
社員に努力しろと言っても、自分がコツコツ努力してきた実績がなければ説得力がないし、まっとうな待遇でなければ実行する気持ちにはならない。高波社長は、顧客のみならずルートセールスマンという戦力も大切にしているのだろう。それが大きな成長につながっているように思えた。(ライター:okei)
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