「移住したい国」9年連続1位のマレーシア 「イスカンダル計画」の心臓部を三井物産が担う 2015年7月30日 キャリコネNEWS ツイート 7月27日放送の「未来世紀ジパング」は、2014年の経済成長率が6.0%と急成長するマレーシアを取り上げていた。セカンドライフを過ごす中高年たちが「移住したい国」として9年連続1位の人気を誇る。 今年5月には首都クアラルンプールに「三井アウトレットモール」が初オープン。仕掛けた三井不動産の本田和也さんは、初の海外進出にマレーシアを選んだ理由をこう語る。 「経済成長率も堅調で、ここ数年伸びていますし、マーケットとして魅力的です」 広大なジャングルを切り拓き、人口を倍増させる 20年以上首相を務め、「マレーシアの高度成長を支えた立役者」と言われるマハティール元首相は「ルック・イースト(東の国を見よう)」を提唱し、日本を見習おうという政策をとってきた。税制を優遇し、いまや日本の進出企業は1400社にのぼる。 1人当たりのGDPは1万803ドル。タイやインドネシアに比べると倍以上の急成長を遂げているが、更なる成長を目指して13兆円を投じ巨大な国家プロジェクトが進行している。その名も「イスカンダル計画」。2025年までに、シンガポールの対岸にあるジョホールバルに新しい巨大都市をつくる計画だ。 地元の人からは、「昔はあたり一面ジャングルだったのに。ビルはいっぱい建つし、歩いている連中も変わったね」と変化の早さに戸惑う言葉も聞かれた。開発面積はシンガポールの3倍の広さ。開発が始まった2006年は150万人だった人口を倍増させる計画だ。 開発の目玉となるスサジャヤ地区は、州政府を移転させ、医療や産業施設などを誘致、イスカンダル計画の心臓部となる。この中核の一端を担うのが日本の総合商社、三井物産だ。 専門性の高い大学を集約し、日本人も移住して学ぶ 三井物産は都市を開発するマスターデベロッパーとして、東京の中央区に匹敵する広大な土地に、学校、住宅、病院、ホテル、オフィス、レジャー施設などを建設。すでに年間200万人を集める巨大な遊園地、レゴランドが開園している。 施設を案内した三井物産の岡村哲夫さんは、「こういうものを造ることによって、産業に従事するための雇用の機会やサービスを、マレーシアの人が習得できる」と説明した。 三井物産が特に力を入れているのが「EduCity(エデュシティ)」という教育都市だ。医療専門大学や海運技術を学ぶ大学など、各国の専門性の高い大学を1か所に集約した。名門校での教育を目的に、マレーシアに移住する日本人も増えている。 この壮大な計画は、90年代にマハティール元首相が打ち出した2020年までに先進国になるという「ビジョン2020」の原動力になるとされている。ナビゲーターの太田泰彦氏(日本経済新聞社・論説委員兼編集委員)は三井物産とマハティール氏との知られざるエピソードも紹介した。 親日のきっかけとなった「パイナップル缶」 マハティール氏は首相になる以前の1970年代初頭、国営の食品会社の社長をしていた。そこで作るパイナップルの缶詰がおいしくないという悩みを聞きつけた三井物産の鈴木さんが、おいしい缶詰の作り方を研究し、技術提供した。 現在パイナップル缶は、マレーシアの輸出産業になっている。マハティール氏はこの経験から日本人は素晴らしいと感じ、後のルック・イースト政策につながったと言われている。 ただ、このエピソードを聞いたジャーナリストの竹田圭吾氏は、三井物産のマレーシア進出はそうした過去とは関係ないと示唆した。 「生き馬の目を抜くグローバルな時代に、昔そういう人間関係があったからって関わりを持つなんてことはやらないと思う。成長性に期待した上で、三井物産としては関わっていると思う」 番組では、先の三井不動産やパナホーム、外食産業など続々と日本企業が進出中であることを伝えた。中国企業も高層マンション群を建設し、売出し中だ。イスカンダル計画への投資セミナーが開かれ、世界中から投資が集まっている。今後も成長著しい海外への投資が、ビジネスチャンスと目されていくのだろう。(ライター:okei) あわせてよみたい:「日本のお菓子」をアジアに!
「移住したい国」9年連続1位のマレーシア 「イスカンダル計画」の心臓部を三井物産が担う
7月27日放送の「未来世紀ジパング」は、2014年の経済成長率が6.0%と急成長するマレーシアを取り上げていた。セカンドライフを過ごす中高年たちが「移住したい国」として9年連続1位の人気を誇る。
今年5月には首都クアラルンプールに「三井アウトレットモール」が初オープン。仕掛けた三井不動産の本田和也さんは、初の海外進出にマレーシアを選んだ理由をこう語る。
広大なジャングルを切り拓き、人口を倍増させる
20年以上首相を務め、「マレーシアの高度成長を支えた立役者」と言われるマハティール元首相は「ルック・イースト(東の国を見よう)」を提唱し、日本を見習おうという政策をとってきた。税制を優遇し、いまや日本の進出企業は1400社にのぼる。
1人当たりのGDPは1万803ドル。タイやインドネシアに比べると倍以上の急成長を遂げているが、更なる成長を目指して13兆円を投じ巨大な国家プロジェクトが進行している。その名も「イスカンダル計画」。2025年までに、シンガポールの対岸にあるジョホールバルに新しい巨大都市をつくる計画だ。
地元の人からは、「昔はあたり一面ジャングルだったのに。ビルはいっぱい建つし、歩いている連中も変わったね」と変化の早さに戸惑う言葉も聞かれた。開発面積はシンガポールの3倍の広さ。開発が始まった2006年は150万人だった人口を倍増させる計画だ。
開発の目玉となるスサジャヤ地区は、州政府を移転させ、医療や産業施設などを誘致、イスカンダル計画の心臓部となる。この中核の一端を担うのが日本の総合商社、三井物産だ。
専門性の高い大学を集約し、日本人も移住して学ぶ
三井物産は都市を開発するマスターデベロッパーとして、東京の中央区に匹敵する広大な土地に、学校、住宅、病院、ホテル、オフィス、レジャー施設などを建設。すでに年間200万人を集める巨大な遊園地、レゴランドが開園している。
施設を案内した三井物産の岡村哲夫さんは、「こういうものを造ることによって、産業に従事するための雇用の機会やサービスを、マレーシアの人が習得できる」と説明した。
三井物産が特に力を入れているのが「EduCity(エデュシティ)」という教育都市だ。医療専門大学や海運技術を学ぶ大学など、各国の専門性の高い大学を1か所に集約した。名門校での教育を目的に、マレーシアに移住する日本人も増えている。
この壮大な計画は、90年代にマハティール元首相が打ち出した2020年までに先進国になるという「ビジョン2020」の原動力になるとされている。ナビゲーターの太田泰彦氏(日本経済新聞社・論説委員兼編集委員)は三井物産とマハティール氏との知られざるエピソードも紹介した。
親日のきっかけとなった「パイナップル缶」
マハティール氏は首相になる以前の1970年代初頭、国営の食品会社の社長をしていた。そこで作るパイナップルの缶詰がおいしくないという悩みを聞きつけた三井物産の鈴木さんが、おいしい缶詰の作り方を研究し、技術提供した。
現在パイナップル缶は、マレーシアの輸出産業になっている。マハティール氏はこの経験から日本人は素晴らしいと感じ、後のルック・イースト政策につながったと言われている。
ただ、このエピソードを聞いたジャーナリストの竹田圭吾氏は、三井物産のマレーシア進出はそうした過去とは関係ないと示唆した。
番組では、先の三井不動産やパナホーム、外食産業など続々と日本企業が進出中であることを伝えた。中国企業も高層マンション群を建設し、売出し中だ。イスカンダル計画への投資セミナーが開かれ、世界中から投資が集まっている。今後も成長著しい海外への投資が、ビジネスチャンスと目されていくのだろう。(ライター:okei)
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