又吉直樹が転職を「飲み屋探し」に例える ブラザートムは「店にはとりあえず入ってみる」 2015年9月21日 キャリコネNEWS ツイート 又吉直樹さんがMCを務める経済番組「オイコノミア」(NHK Eテレ)。9月14日に放送した「転職時代の天職探し」の回は、働く人には必見の内容でした。興味深い話が続出で、どこに絞って紹介すればいいのか迷ってしまうくらいです。 この日は多くの人が一度は悩む「転職」について。いまより自分に合った仕事をどうしたら見つけられるのか、労働経済学が専門の安藤至大先生(日本大学准教授)が経済学的アプローチで教えてくれました。 留保条件は「時間の経過によっても変化する」 安藤先生は、「自分がやりたいこと」「自分ができること」「人から求められること」の3つが全部そろえば幸せだといいます。しかし現実には、高校や大学を卒業したばかりの若者が、自分に何が向いているのか分からないのは当たり前です。 自分に合った仕事と出会うためには、それと出会うための「時間」や「お金」などのコストがかかります。これを「サーチ(探索)フリクション(摩擦)」といい、この摩擦が小さいほど自分にあった仕事が見つけやすくなるとのこと。 さらに仕事を探す中で、ここに決めるか、もっと探し続けるかの判断基準を「留保水準」といい、この水準を上回る会社に出合えれば入社を決断できるといいます。 しかしこの留保水準は、時間の経過によっても変化します。会社を辞めて1~2か月なら高望みもしますが、1年も無職なら贅沢を言わずに早く決めようとする。出会いが難しくサーチフリクションが大きい状態では、留保水準を下げざるをえないというわけです。 これについて、又吉さんは夜遅くに街で飲み屋を探すことに例えました。条件に近いところが1軒目にあっても「もっといい所があるんじゃないか」と次を探したくなる。いくつか回ってやっぱり1軒目が良かったと戻ってみると、もう満席になっている。 そんなことをしているうちに始発の時間になってしまっては、意味がないので難しいところ。これに対してブラザートムさんは「店にはとりあえず入ってみる、人とはとりあえず付き合ってみる」というスタンスだとか。合わなければ、すぐに別れたり、店を出たりすればいいという考えです。 「探しにくさ」減らすことが、世の中全体を幸せにする 安藤先生は「お互い妥協しなくてはならないのはもったいない」として、サーチフリクションを下げるために「仲介者」を通すことを勧めます。 たとえば結婚相手を探す「仲人」や家と人を結ぶ「不動産屋」は、お互いの出会いを助ける仲介者。同じように会社と労働者を結ぶ「転職支援会社」を活用するのです。 東京・丸の内の転職支援会社では、仕事の情報が得られるほか、カウンセリングで自分に合った仕事を提案してくれます。最近は異業種にチャレンジする人も多いとのこと。面接の練習や応募書類のアドバイスも貰えるので、サーチフリクションを減らし、留保水準を高めに維持することができるそうです。 安藤先生によると、どんなに景気が良くなったとしても、自分に合う仕事を探している人は必ずいるため、全員就労している状態にはならないのだとか。しかしそんな中でも「サーチフリクションを小さくすることが、世の中全体を幸せにします」とのこと。 ただし仲介者だけが頑張っても、本人の行動力が足りなければいいマッチングが進まないのも事実。トムさんのように積極的に店を探し、いいと思ったら気軽に入り、違うと思ったら次を探すようなやり方こそが、いい店を探すコツのような気がします。会社や仕事も同じなのかもしれません。(文・篠原みつき) あわせてよみたい:営業職で使える5つの心理テクニック
又吉直樹が転職を「飲み屋探し」に例える ブラザートムは「店にはとりあえず入ってみる」
又吉直樹さんがMCを務める経済番組「オイコノミア」(NHK Eテレ)。9月14日に放送した「転職時代の天職探し」の回は、働く人には必見の内容でした。興味深い話が続出で、どこに絞って紹介すればいいのか迷ってしまうくらいです。
この日は多くの人が一度は悩む「転職」について。いまより自分に合った仕事をどうしたら見つけられるのか、労働経済学が専門の安藤至大先生(日本大学准教授)が経済学的アプローチで教えてくれました。
留保条件は「時間の経過によっても変化する」
安藤先生は、「自分がやりたいこと」「自分ができること」「人から求められること」の3つが全部そろえば幸せだといいます。しかし現実には、高校や大学を卒業したばかりの若者が、自分に何が向いているのか分からないのは当たり前です。
自分に合った仕事と出会うためには、それと出会うための「時間」や「お金」などのコストがかかります。これを「サーチ(探索)フリクション(摩擦)」といい、この摩擦が小さいほど自分にあった仕事が見つけやすくなるとのこと。
さらに仕事を探す中で、ここに決めるか、もっと探し続けるかの判断基準を「留保水準」といい、この水準を上回る会社に出合えれば入社を決断できるといいます。
しかしこの留保水準は、時間の経過によっても変化します。会社を辞めて1~2か月なら高望みもしますが、1年も無職なら贅沢を言わずに早く決めようとする。出会いが難しくサーチフリクションが大きい状態では、留保水準を下げざるをえないというわけです。
これについて、又吉さんは夜遅くに街で飲み屋を探すことに例えました。条件に近いところが1軒目にあっても「もっといい所があるんじゃないか」と次を探したくなる。いくつか回ってやっぱり1軒目が良かったと戻ってみると、もう満席になっている。
そんなことをしているうちに始発の時間になってしまっては、意味がないので難しいところ。これに対してブラザートムさんは「店にはとりあえず入ってみる、人とはとりあえず付き合ってみる」というスタンスだとか。合わなければ、すぐに別れたり、店を出たりすればいいという考えです。
「探しにくさ」減らすことが、世の中全体を幸せにする
安藤先生は「お互い妥協しなくてはならないのはもったいない」として、サーチフリクションを下げるために「仲介者」を通すことを勧めます。
たとえば結婚相手を探す「仲人」や家と人を結ぶ「不動産屋」は、お互いの出会いを助ける仲介者。同じように会社と労働者を結ぶ「転職支援会社」を活用するのです。
東京・丸の内の転職支援会社では、仕事の情報が得られるほか、カウンセリングで自分に合った仕事を提案してくれます。最近は異業種にチャレンジする人も多いとのこと。面接の練習や応募書類のアドバイスも貰えるので、サーチフリクションを減らし、留保水準を高めに維持することができるそうです。
安藤先生によると、どんなに景気が良くなったとしても、自分に合う仕事を探している人は必ずいるため、全員就労している状態にはならないのだとか。しかしそんな中でも「サーチフリクションを小さくすることが、世の中全体を幸せにします」とのこと。
ただし仲介者だけが頑張っても、本人の行動力が足りなければいいマッチングが進まないのも事実。トムさんのように積極的に店を探し、いいと思ったら気軽に入り、違うと思ったら次を探すようなやり方こそが、いい店を探すコツのような気がします。会社や仕事も同じなのかもしれません。(文・篠原みつき)
あわせてよみたい:営業職で使える5つの心理テクニック