「就職の先」を見据えた立命館大学 大学・学生・卒業生一丸となったキャリアサポートが人生設計にも生かされる 2017年2月28日 キャリコネNEWS ツイート 少子化の影響は大学にも及んでいる。入学志願者が減少する中、「就職サポート」に力を入れ、新たな魅力として打ち出している大学も少なくはない。 そんな中、学校側・学生・OBOGが一丸となって、生涯のキャリア形成も視野にいれたサポートを行っている大学がある。関西トップクラスの私大「関関同立」に名を連ねる、立命館大学だ。同大が2月24日、丸の内にある東京キャンパスで、キャリア支援の取り組みや独自の「スチューデントネットワーク」などの事例を紹介するプレスセミナーを開催した。 充実した学生生活が、満足のできる進路につながる 石原部長「就活が、成長の場であってほしい」 立命館大学は、1999年に日本で初めて「キャリアセンター」を設置した大学だ。就職サポートはもちろん、1年次から自身のキャリア形成を考える機会を提供し、学生ひとりひとりの希望する進路を実現させることを目標に活動している。 1年生のうちから自分自身を分析し、どう将来設計を立てるか考えることで自分に合う企業・業界を選びやすくなるという。また、学部ごとの特色を生かしたキャリア教育もあり、自分の学びがどのように社会の中で役立つか実感できる講義も行われている。 同大キャリアセンターの石原一彦部長(政策科学部・教授)は「多様な活動に参加し、社会との関わりの中で自己のキャリア観を形成することが大切」と話す。現に2016年3月に卒業した学生を対象に行った調査では「学生生活が充実している学生は進路・就職に対する納得度が高い」という結果が出ているという。 その学生を中心とした、特徴的な進路・就職支援が「スチューデントネットワーク」だ。就活を終えた4年生の「ジュニアアドバイザー(以下、JA)」が取り組みの中心になる。 内定獲得済みの学生らが、自身の経験をもとに「業界研究」「相談会」「面接指導」などを企画し、就活生である3年生にリアルな就活体験談を伝えたり、悩み相談に乗ったりする。さらに、就活生の悩み解決に繋がりそうな別の内定者や、約3000人のOBOGから構成される「キャリアアドバイザー」を紹介することもあるという。 4年生や卒業生が自身のキャリアを再確認するきっかけにもなる 五十嵐さん「プレイヤーではなくマネージャーとして生きていきたい」 そんな「JA」たちはどのようにキャリア観を形成し、就職活動に当たっていったのだろう。この日は4人のJAが登場したが、全員が「在学中の経験から生まれた『軸』を大切に就活した」と話していた。 例えば、法学部4年生の五十嵐大輔さんは、法学部学生委員会に所属し3000人の学部生をまとめた。ほかに、全盲ランナーの伴走活動も行っていた。それらの経験から「自分は何に興味関心があるのか?」「何をどう生かしていくのか?」と考えたとき、「人の挑戦を支える仕事に就きたい」と思うようになったという。就職活動はその「軸」を大切にして挑み、晴れて大手金融系コンサル業の内定を手にすることができた。 「JAでも、就活生が何の軸を大切にすればいいかを考え、一人ひとりに寄り添ってアドバイスをしています。同じ大学だからこその視点もあると思うので」 五十嵐さんは、スチューデントネットワークの活動を通して「サポート業界へのやりがいも深まったし、社会人ゼロ年生としての意識も育まれた」とも話す。スチューデントネットワークでJAが企画・立案したものは、すべてキャリアセンターが目を通し、フィードバックするという。 社会人の先輩であるキャリアセンター職員から「今後はこういう風にやっていけばいいよ」とアドバイスが得られるため、社会人になる前のいい準備になったと感じているようだ。また、総合商社に内定した文学部の中道彩さんは「JAの活動を通して、自分の就活を振り返り、再度自分の原点を確認することもできた」と言う。 「スチューデントネットワーク」は、必ずしも就活生が同じ大学の先輩からアドバイスをもらうためだけのシステムではない。JAにとっては自らの就活を振り返ることで成長と課題を再確認するきっかけにもなり、学生の訪問を受けるキャリアアドバイザーにとっても「あのとき何を考えていたか」を思い出し、自らの社会人生活を振り返る機会にもなっているという。 同キャリアセンターが2012年、社会人歴約10年の卒業生を対象に行った調査では、「卒業時に仕事を通じて『実現したいこと』が明確だった」と回答した人は、現在の仕事にもとてもやりがいを感じているという。「就職」だけがすべてではない。いかに「軸」を育み、ライプランニングに生かせるかが、今後のキャリア教育の鍵かもしれない。
「就職の先」を見据えた立命館大学 大学・学生・卒業生一丸となったキャリアサポートが人生設計にも生かされる
少子化の影響は大学にも及んでいる。入学志願者が減少する中、「就職サポート」に力を入れ、新たな魅力として打ち出している大学も少なくはない。
そんな中、学校側・学生・OBOGが一丸となって、生涯のキャリア形成も視野にいれたサポートを行っている大学がある。関西トップクラスの私大「関関同立」に名を連ねる、立命館大学だ。同大が2月24日、丸の内にある東京キャンパスで、キャリア支援の取り組みや独自の「スチューデントネットワーク」などの事例を紹介するプレスセミナーを開催した。
充実した学生生活が、満足のできる進路につながる
立命館大学は、1999年に日本で初めて「キャリアセンター」を設置した大学だ。就職サポートはもちろん、1年次から自身のキャリア形成を考える機会を提供し、学生ひとりひとりの希望する進路を実現させることを目標に活動している。
1年生のうちから自分自身を分析し、どう将来設計を立てるか考えることで自分に合う企業・業界を選びやすくなるという。また、学部ごとの特色を生かしたキャリア教育もあり、自分の学びがどのように社会の中で役立つか実感できる講義も行われている。
同大キャリアセンターの石原一彦部長(政策科学部・教授)は「多様な活動に参加し、社会との関わりの中で自己のキャリア観を形成することが大切」と話す。現に2016年3月に卒業した学生を対象に行った調査では「学生生活が充実している学生は進路・就職に対する納得度が高い」という結果が出ているという。
その学生を中心とした、特徴的な進路・就職支援が「スチューデントネットワーク」だ。就活を終えた4年生の「ジュニアアドバイザー(以下、JA)」が取り組みの中心になる。
内定獲得済みの学生らが、自身の経験をもとに「業界研究」「相談会」「面接指導」などを企画し、就活生である3年生にリアルな就活体験談を伝えたり、悩み相談に乗ったりする。さらに、就活生の悩み解決に繋がりそうな別の内定者や、約3000人のOBOGから構成される「キャリアアドバイザー」を紹介することもあるという。
4年生や卒業生が自身のキャリアを再確認するきっかけにもなる
そんな「JA」たちはどのようにキャリア観を形成し、就職活動に当たっていったのだろう。この日は4人のJAが登場したが、全員が「在学中の経験から生まれた『軸』を大切に就活した」と話していた。
例えば、法学部4年生の五十嵐大輔さんは、法学部学生委員会に所属し3000人の学部生をまとめた。ほかに、全盲ランナーの伴走活動も行っていた。それらの経験から「自分は何に興味関心があるのか?」「何をどう生かしていくのか?」と考えたとき、「人の挑戦を支える仕事に就きたい」と思うようになったという。就職活動はその「軸」を大切にして挑み、晴れて大手金融系コンサル業の内定を手にすることができた。
五十嵐さんは、スチューデントネットワークの活動を通して「サポート業界へのやりがいも深まったし、社会人ゼロ年生としての意識も育まれた」とも話す。スチューデントネットワークでJAが企画・立案したものは、すべてキャリアセンターが目を通し、フィードバックするという。
社会人の先輩であるキャリアセンター職員から「今後はこういう風にやっていけばいいよ」とアドバイスが得られるため、社会人になる前のいい準備になったと感じているようだ。また、総合商社に内定した文学部の中道彩さんは「JAの活動を通して、自分の就活を振り返り、再度自分の原点を確認することもできた」と言う。
「スチューデントネットワーク」は、必ずしも就活生が同じ大学の先輩からアドバイスをもらうためだけのシステムではない。JAにとっては自らの就活を振り返ることで成長と課題を再確認するきっかけにもなり、学生の訪問を受けるキャリアアドバイザーにとっても「あのとき何を考えていたか」を思い出し、自らの社会人生活を振り返る機会にもなっているという。
同キャリアセンターが2012年、社会人歴約10年の卒業生を対象に行った調査では、「卒業時に仕事を通じて『実現したいこと』が明確だった」と回答した人は、現在の仕事にもとてもやりがいを感じているという。「就職」だけがすべてではない。いかに「軸」を育み、ライプランニングに生かせるかが、今後のキャリア教育の鍵かもしれない。