外資系への転職 TOEIC900点でも落ちる人、750点でも採用される人 2021年7月26日 キャリコネNEWS ツイート 英語ができれば採用される? ビジネス英語トレーナーそのはたちえこです。ビジネスパーソンに英語習得法や外国人とのビジネス上のコミュニケーションのコツをお伝えする仕事をしています。 もともと私は、外資系の精密機器メーカーでマーケティングやセールスの管理職として働いていました。外資系在籍16年のうち、10年以上にわたって累計で数百人を書類選考し、そのうち100人以上を面接してきました。 ここでは「採用する側」が、英語力が必須のポジションにおいて、求職者にどんな英語力を求めているのか、実際に応募書類のどこ見ているのかをお伝えします。(文:そのはた ちえこ) 「英語力だけ」で採用されることはまずない 私のところに相談に来られる方たちの中にも、「TOEICって、何点取ったら転職に有利ですか?」「英語を使う仕事に就きたいですが、どうしたらいいですか?」という質問をされる方が多くいます。 外資系企業や、海外と取引のある日本企業に転職する場合であっても、大前提として「英語力だけ」で採用されることはまずありません。ポジションにもよりますが、仕事を進めるうえで必要なスキル、専門性、実績や経験を備えているかをまずチェックされます。 20代の若手であれば、転職後の「伸び代、ポテンシャル」も評価の対象になるかもしれません。そこをクリアした上で、英語力も問われるということです。 私が当時担当していたのは、主に「アメリカ本社や、世界各地の工場にいるプロダクトマネージャーやマーケティング担当者と直接やり取りすることが多いポジション」でした。つまり、メール、電話会議、海外出張などで英語を使って日常的にコミュニケーションをとることが必須のポジションです。ですので、応募の条件はそれらの目安となる「TOEIC730以上」としていました。 TOEICも点数だけを見ているわけではない 1人の募集枠に対して、多いときは数十人の応募が来ることもありました。書類選考時には、業務を遂行する上で必要な経験や知識があるか等を見た上で、そのポジションに必要な英語力があるかを見ます。 その際に採用する側が見てわかりやすいのは、やはりTOEICのスコアや英検などの客観的な指標です。または留学など、実際に英語を使っていた経験があるかも見ます。それらが書かれていないと、採用する側としても判断ができません。 英語を使うポジションにつきたい、でも、英語力を証明するものを何も提出できない、となると採用する側としては「この人は大丈夫なのだろうか?英語以外のことも、準備ができない人、データを用意できない人なのでは?」と思ってしまうわけです。 つまり、「TOEICは何点なのか」だけではなく、「転職にあたってどのくらい準備ができているか、それをデータで示すことができるか」ということも見ているのです。 実際に外国人スタッフと話をしてもらうことも 採用するのはもちろん、「スコアや資格があり、仕事で実際に英語を使っていた人」がベストではあります。しかし、「英語力必須のポジション」に応募してくる人は大体の場合、「スコアや資格はあるが、仕事であまり使ったことはない人」か、「スコアはそれほど高くないが、これまで実務で英語を使ってきた人」に分けられます。 そのため面接時には、「電話会議やミーティングでリアルタイムなコミュニケーションがとれるだけの力があるか?」を確認します。実際に、社内の外国人スタッフと話をしてもらったり、海外の担当マネージャと電話で話してもらったりして、その様子を見ることもありました。 たとえTOEICがハイスコアの人でも、話す態度がおどおどしていたり、英語でのコミュニケーションに不慣れな様子だったりすると、実務を任せることが難しいかもしれないと判断します。逆に、TOEICスコアがそれほど高くなく、英語が多少つたなかったとしても、態度が堂々としている、相手の目を見て話ができる、わからないことを聞き返すことができるなど、コミュニケーション力が高い方であれば、あえて採用にしたということもありました。 文法が多少間違っていても実務で必要な英語力があれば問題ない 結局のところ、採用する側は、「仕事上、英語力でつまずかない人、英語の手助けが必要ない人」が欲しいのです。上司の立場からみたら、自分が同席しなくても安心して英語の業務を任せられる人です。決してネイティブ並みの流暢さは必要ありません。 スコアや級が高いに越したことはありませんが、そのポジションに必要な英語力があることが証明できれば、日本語発音の英語でも、文法や単語が多少間違っていても構いません。むしろ、外国人としっかりコミュニケーションを取れることを示すことができれば、そのほうがよほど「実務で役立つ英語力」であると言えます。 また、応募書類に書けることは限られていますが、英語力をアピールする際には、単にテストのスコアや級だけでなく、「日常的にメールの読み書きや電話会議での発言など、X年の実務経験があります」などと書き添えると、採用側はあなたの英語力を判断しやすくなり、書類選考も通りやすくなるでしょう。 そのはた ちえこ 【プロフィール】 そのはたちえこ ビジネス英語トレーナー。外資系企業でのマネジメント経験を活かした、現場目線でのビジネス英語講座が好評。モットーは、「ビジネス英語は、”中学英語+αで十分!”」。2021年より株式会社マーケティングフルサポートにて「オンライン英語コーチの学校」の講師を担当。
外資系への転職 TOEIC900点でも落ちる人、750点でも採用される人
ビジネス英語トレーナーそのはたちえこです。ビジネスパーソンに英語習得法や外国人とのビジネス上のコミュニケーションのコツをお伝えする仕事をしています。
もともと私は、外資系の精密機器メーカーでマーケティングやセールスの管理職として働いていました。外資系在籍16年のうち、10年以上にわたって累計で数百人を書類選考し、そのうち100人以上を面接してきました。
ここでは「採用する側」が、英語力が必須のポジションにおいて、求職者にどんな英語力を求めているのか、実際に応募書類のどこ見ているのかをお伝えします。(文:そのはた ちえこ)
「英語力だけ」で採用されることはまずない
私のところに相談に来られる方たちの中にも、「TOEICって、何点取ったら転職に有利ですか?」「英語を使う仕事に就きたいですが、どうしたらいいですか?」という質問をされる方が多くいます。
外資系企業や、海外と取引のある日本企業に転職する場合であっても、大前提として「英語力だけ」で採用されることはまずありません。ポジションにもよりますが、仕事を進めるうえで必要なスキル、専門性、実績や経験を備えているかをまずチェックされます。
20代の若手であれば、転職後の「伸び代、ポテンシャル」も評価の対象になるかもしれません。そこをクリアした上で、英語力も問われるということです。
私が当時担当していたのは、主に「アメリカ本社や、世界各地の工場にいるプロダクトマネージャーやマーケティング担当者と直接やり取りすることが多いポジション」でした。つまり、メール、電話会議、海外出張などで英語を使って日常的にコミュニケーションをとることが必須のポジションです。ですので、応募の条件はそれらの目安となる「TOEIC730以上」としていました。
TOEICも点数だけを見ているわけではない
1人の募集枠に対して、多いときは数十人の応募が来ることもありました。書類選考時には、業務を遂行する上で必要な経験や知識があるか等を見た上で、そのポジションに必要な英語力があるかを見ます。
その際に採用する側が見てわかりやすいのは、やはりTOEICのスコアや英検などの客観的な指標です。または留学など、実際に英語を使っていた経験があるかも見ます。それらが書かれていないと、採用する側としても判断ができません。
英語を使うポジションにつきたい、でも、英語力を証明するものを何も提出できない、となると採用する側としては「この人は大丈夫なのだろうか?英語以外のことも、準備ができない人、データを用意できない人なのでは?」と思ってしまうわけです。
つまり、「TOEICは何点なのか」だけではなく、「転職にあたってどのくらい準備ができているか、それをデータで示すことができるか」ということも見ているのです。
実際に外国人スタッフと話をしてもらうことも
採用するのはもちろん、「スコアや資格があり、仕事で実際に英語を使っていた人」がベストではあります。しかし、「英語力必須のポジション」に応募してくる人は大体の場合、「スコアや資格はあるが、仕事であまり使ったことはない人」か、「スコアはそれほど高くないが、これまで実務で英語を使ってきた人」に分けられます。
そのため面接時には、「電話会議やミーティングでリアルタイムなコミュニケーションがとれるだけの力があるか?」を確認します。実際に、社内の外国人スタッフと話をしてもらったり、海外の担当マネージャと電話で話してもらったりして、その様子を見ることもありました。
たとえTOEICがハイスコアの人でも、話す態度がおどおどしていたり、英語でのコミュニケーションに不慣れな様子だったりすると、実務を任せることが難しいかもしれないと判断します。逆に、TOEICスコアがそれほど高くなく、英語が多少つたなかったとしても、態度が堂々としている、相手の目を見て話ができる、わからないことを聞き返すことができるなど、コミュニケーション力が高い方であれば、あえて採用にしたということもありました。
文法が多少間違っていても実務で必要な英語力があれば問題ない
結局のところ、採用する側は、「仕事上、英語力でつまずかない人、英語の手助けが必要ない人」が欲しいのです。上司の立場からみたら、自分が同席しなくても安心して英語の業務を任せられる人です。決してネイティブ並みの流暢さは必要ありません。
スコアや級が高いに越したことはありませんが、そのポジションに必要な英語力があることが証明できれば、日本語発音の英語でも、文法や単語が多少間違っていても構いません。むしろ、外国人としっかりコミュニケーションを取れることを示すことができれば、そのほうがよほど「実務で役立つ英語力」であると言えます。
また、応募書類に書けることは限られていますが、英語力をアピールする際には、単にテストのスコアや級だけでなく、「日常的にメールの読み書きや電話会議での発言など、X年の実務経験があります」などと書き添えると、採用側はあなたの英語力を判断しやすくなり、書類選考も通りやすくなるでしょう。
【プロフィール】
そのはたちえこ
ビジネス英語トレーナー。外資系企業でのマネジメント経験を活かした、現場目線でのビジネス英語講座が好評。モットーは、「ビジネス英語は、”中学英語+αで十分!”」。2021年より株式会社マーケティングフルサポートにて「オンライン英語コーチの学校」の講師を担当。