• 夢のタワマン購入、翌年に転勤 → 部屋を借り上げ社宅にされて「トイレを他人に使われている」ことに耐えられない男性

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    ようやく手に入れたマイホーム、でも住んでいるのは他人――。現在、北海道で暮らす会社員の男性は、複雑な心境を吐露する。中古で購入した都内のタワーマンションに引っ越して1年後、転勤により自宅は会社に社宅として借り上げられてしまったのだ……。(取材・文:昼間たかし)

    「家まで奪われるのか」途端に般若の顔になった妻

    40代になったばかりの男性は、子どもが生まれたのを機にローンを組み、中古でタワマンの一部屋を手に入れた。

    「憧れの湾岸というわけにはいきませんでしたが、曲がりなりにも23区。低層階とは言え、共用設備が充実しているのでいい買い物だったなと満足していました」

    ところが、男性の会社には奇妙なジンクスが伝えられていた。マイホームを手に入れると転勤を命ぜられるというものだ。

    「全国に支社があるので転勤は覚悟していました。20代は地方の営業所で過ごしていましたしね。ただ、子どもが生まれたばかりというのはタイミングが悪すぎました」

    単身赴任も考えた男性だが、夫婦共に地方出身で実家は新幹線の距離である。妻がワンオペ育児をすることは困難だった。

    「どうしようもない地方都市ならともかく、転勤先は札幌だったので、ならば子育てにはちょうどいい環境かなと思って家族で行くことにしたんです」

    ところが、男性は会社から予期していなかったことを命じられた。空き家になる自宅を会社が借り上げて社宅にしたいと申し出てきたのだ。

    「最初はラッキーだと思いました。会社の先輩でも転勤の間、自宅を社宅にしていた人がいました。その間は給料とは別に家賃が貰えるわけですから、実質ローンを肩代わりしてもらっているようなものじゃないですか」

    ニコニコ顔で帰宅し、そのことを妻に告げた男性だが、妻は途端に般若の顔になったという。

    「あんなに怒った妻は、見たことがありません。『転勤に帯同するから、職場復帰も断って退職することになったに、家まで奪われるのか』と言うんです」

    「汚されている」と思うと気が気でない

    最初は、家賃も払って貰えてしばらくは返済も楽になるのになぜ怒るのか理解できなかった男性だが、妻の話を聞いているうちに次第に気づいたという。

    「妻は『同じ会社の人間とは言え、他人がトイレを使ったり、湯船につかるのか』と言うんです。それでようやく気づきました」

    入居する際、少ない費用の中で夫婦でこだわったのが水回りである。台所はもちろん、風呂やトイレは毎日使うものだと考えてスペックの高いものにリニューアルしていた。

    「特にトイレはTOTOのめちゃくちゃハイスペックなやつを購入したんです。当時のカタログの表紙に掲載されていたようなものです。まだ1年くらいしか使ってないのに、そこで同じ社員と言っても他人が毎日トイレを使っていると思うと、急に気持ち悪くなりました」

    もともと「よその家の風呂で湯船につかれない」というタイプの男性は、考えるほどに気持ち悪くなったという。

    「とは言え、その場で快諾してしまったので断ることもできず……結局、泣く泣く自宅は貸し出すことになりました」

    これが、2023年の春頃のこと。だいたい転勤は3年ほどが一般的だ。早く自宅に戻りたいと話す男性だが、不安ばかりが募っているという。

    「人が住んでいれば、どんなに丁寧に使っても家は傷むでしょう。自分の家は他人に蹂躙されている、汚されていると思うと気が気ではありません」

    自宅に戻る時は徹底的にリフォームをしようと、男性は必死に節約をしている。

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