• 退職時の誓約書「そのまま署名しなさい」と強制された男性 内容を全面修正して人事部長を黙らせる

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    目先の利益のみを優先し社員をないがしろにするような会社は、優秀な人ほど見切りをつけて辞めていくだろう。東京都の40代男性(年収1700万円)が以前に勤めていたのは、まさにそんな会社だった。

    「退職した会社の人事部長が許せない。死ぬまで忘れないでしょう」

    と語る男性は、退職までに起きた理不尽なできごとの一部始終を明かす。(文:福岡ちはや)

    「なぜ無期限で制約を負わなければならないのか」

    退職したのは2023年のことだった。その会社は人事評価制度に問題があり、責任と仕事量が増えても役職に就かなければ給料が上がらない仕組みだったという。問題点を

    「億の利益に貢献しても、貢献者には子どものお年玉程度の還元しかなかった」

    と厳しく指摘する。すんなり退職できればよかったのだが、退職の意志を示すと役員や上役が引き止めてきて、退職手続きの書類の着手に1か月半もかかったという。おまけに人事担当者が「これに署名してください」と持ってきたのは、退職者に不利な内容の「退職時誓約書」だった。

    「特筆すべきは無期限で、『この誓約の内容に違反した場合の法的な責任は自らが負担するものであることを確認し、これにより貴社が被った一切の損害を賠償すること』なぜ見捨てる会社に無期限で制約を負わなければならないのか、まったく理解できない。(中略)到底署名できるものではありませんでした」

    また、退職時誓約書には「戦略上重要な情報を漏洩しない」など曖昧な一文も含まれていたため、

    「『戦略』をどこにも定義していないので、あとからいくらでも『それは戦略上重要だ』と勝手に言える。(中略)いくらでも“後出しいちゃもん”を付けられる内容です」

    と呆れ返った。しかし「誓約書に署名しないと退職金の振り込みができなくなる」と嘘をつく所属長もいたためか、これまで誓約書への署名を拒否する退職者はいなかったようだ。

    「大丈夫だから、ちゃんと君もこれにそのまま署名しなさい。おかしいだろう」

    退職時誓約書は法的な提出義務がない書類だが、男性は「退職手続きしてくれる人事部員が困るだろう」と考え、温情のつもりで裁判所の判例や社労士の情報を参考に公正な内容に自ら修正し、署名して提出したという。

    これを上司、所属長、人事部員はその書類を受け取ったが、“上級執行役員人事部長”だけは「ほぼ全面改訂」された誓約書の内容に納得せず、

    「今までみんなこれに黙って署名しているんだ。今まで(会社にとって)問題になったことはない。大丈夫だから、ちゃんと君もこれにそのまま署名しなさい。おかしいだろう」

    と文句をつけてきた。男性は「問題あるなら撤回しますから返してください。再提出はしませんが」と言い返し、人事部長を黙らせたという。

    この人事部長は、男性が最終出勤日に菓子折りを持って挨拶に行ったときも

    「菓子なんていいから、会社の言ったとおりの書類に署名してちゃんとしろよ」

    と最後の最後まで文句を言ったそうだ。こうした対応に「会社辞める人間に『会社の言うとおりの書類に何の疑問も挟まずにただ署名しろ。それがちゃんとしている』ということ、頭おかしいです」と本音を語り、

    「人事評価制度がまともでないのは人事部におおいに問題があったんだな、と退職時によくわかりました。最後の最後に人としての挨拶よりも自分の建前を押し付けてきた人事部長、静かに一生許せないでしょう」

    と憤りをあらわにしていた。

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