マニラの通勤は「危険」がいっぱい! マナーは悪いし強盗も出る 2014年4月14日 意識が高くない「フィリピン生活」 ツイート フィリピン在住の、のりじぃです。長い乗車時間、激しい混雑と、日々の通勤に悩まされている人も多いのではないでしょうか。今回は、そんな日本を上回るフィリピンの通勤事情の厳しさについてご紹介します。 日本から駐在員としてやって来た人や、一部の日系企業で働く人には、通勤ラッシュは無縁です。彼らはマニラの右も左も分からないので、会社が便宜を図って「運転手付きの通勤専用車」を提供しているからです。 先進国の廃車バスを再利用。整備不良が続出 マニラの夜 一方、フィリピンでの一般企業では、通勤費は自腹なのが普通です。したがってローカル企業に勤務している日本人で、特に単身者の場合は、オフィスに近いマカティと呼ばれるエリアに「外国人向けのコンドミニアム」を借りている人が多いようです。 マカティからマニラのオフィス街までは、徒歩で行ける場合もありますし、タクシーに乗ったとしても200円程度の出費で済みます(ただし現地の安月給の人にとって、200円の出費は小さくありません)。 その代わり、コンドミニアムの家賃は、オフィスに近い分、やや高くなっています。家具付きの「スタジオタイプ」と呼ばれるワンルームタイプの家賃が、日本円で最低でも6万円程度かかります。 家族のいる日本人は、ローカル企業の安月給では、外国人向けのコンドミニアムには住むことが難しいです。そのため、ローカル向けの安いコンドミニアムを借りたり、郊外に住んだりしています。 特に通勤に悩まされているのは、こういった郊外に住む人々です。代表的な通勤手段としては、バスや「ジープニー」と呼ばれる、いすずの中古ディーゼルエンジンを載せた乗合いのバスがあります。 車両は日本や韓国、アメリカからの廃車バスを引き取り、乗客数を増やすために椅子を狭くて小さいものに交換しています。先進国で廃車となっているバスですから、整備不良による交通事故が後をたたず、それだけに危険が伴います。 「降りる客が先」という常識がなくて困る バス停はありますが、乗客を確保したいバスの運転手は、手を挙げればどこでもバスを停めて乗客を乗せます。これが交通渋滞や、乗客を確保したいバス同士の争いの原因となります。 銃やナイフなどによるバス強盗も、年に何度も報告されています。そんなこともあって、安心してバスに乗ることができないのが現実です。 バス以外の公共交通機関としては、LRT(Light Railway Transit)やMRT(Metro Railway Transit)という鉄道もあります。車両は日本からのODA(政府開発援助)で供与されたものが使われており、日本の列車よりもやや小さなコンパクトサイズです。 バスに劣らず、鉄道の通勤ラッシュもひどいものがあります。フィリピンの人たちは、先に客が全部降りてから乗り込む、という基本的なマナーがありません。開くドアの前に乗客が突っ立っているので、人をかき分けてやっと電車から降りられるというのがごく普通の情景です。 バスにはバス強盗がいますが、電車には「ポケットピッカー」と呼ばれるスリがたくさん乗っており、電車から降りてからポケットに入れているサイフや現金がすられていたことに気がつく、ということがあります。 筆者も一度、ジーンズの前ポケットに入れていた現金がなくなっていたことがありました。車内が異常に混んでいることから気が付かないのです。 雨季には道路が寸断され身動き取れない また、やっかいなのが雨季の大雨です。7月から11月までの雨季、年に2回から3回程度、大人のヒザ近くまで雨水が溜まってしまうことがあります。排水溝の整備が不十分なため、2日も3日も雨水が抜けず、道路が寸断され身動きが取れなくなるのです。 出勤中にこのような状況になると、帰宅難民となり自宅まで帰るのに数時間もかかったり、中には帰れずに、近くのホテルに泊まったりするケースもあります。 普段でも交通渋滞がひどいマニラ、いつも身の危険を感じながらの通勤。安月給で通勤費補助なしの中で、頑張っている日本人がたくさんいる――。そんなことを知っていただければと思います。 あわせてよみたい:捨てたものではない「フィリピン就職」 【プロフィール】のりじぃマニラ在住、40代後半の独身男性。大学卒業後、大手有名電機メーカーに就職し、入社11年目にフィリピン駐在を命じられる。在籍中に計6年のフィリピン生活を経て退職し、フィリピンの現地メーカーに3年勤務。会社のマレーシア移転に伴いリストラ対象となり、現在は気ままなフリーランス生活中。
マニラの通勤は「危険」がいっぱい! マナーは悪いし強盗も出る
フィリピン在住の、のりじぃです。長い乗車時間、激しい混雑と、日々の通勤に悩まされている人も多いのではないでしょうか。今回は、そんな日本を上回るフィリピンの通勤事情の厳しさについてご紹介します。
日本から駐在員としてやって来た人や、一部の日系企業で働く人には、通勤ラッシュは無縁です。彼らはマニラの右も左も分からないので、会社が便宜を図って「運転手付きの通勤専用車」を提供しているからです。
先進国の廃車バスを再利用。整備不良が続出
一方、フィリピンでの一般企業では、通勤費は自腹なのが普通です。したがってローカル企業に勤務している日本人で、特に単身者の場合は、オフィスに近いマカティと呼ばれるエリアに「外国人向けのコンドミニアム」を借りている人が多いようです。
マカティからマニラのオフィス街までは、徒歩で行ける場合もありますし、タクシーに乗ったとしても200円程度の出費で済みます(ただし現地の安月給の人にとって、200円の出費は小さくありません)。
その代わり、コンドミニアムの家賃は、オフィスに近い分、やや高くなっています。家具付きの「スタジオタイプ」と呼ばれるワンルームタイプの家賃が、日本円で最低でも6万円程度かかります。
家族のいる日本人は、ローカル企業の安月給では、外国人向けのコンドミニアムには住むことが難しいです。そのため、ローカル向けの安いコンドミニアムを借りたり、郊外に住んだりしています。
特に通勤に悩まされているのは、こういった郊外に住む人々です。代表的な通勤手段としては、バスや「ジープニー」と呼ばれる、いすずの中古ディーゼルエンジンを載せた乗合いのバスがあります。
車両は日本や韓国、アメリカからの廃車バスを引き取り、乗客数を増やすために椅子を狭くて小さいものに交換しています。先進国で廃車となっているバスですから、整備不良による交通事故が後をたたず、それだけに危険が伴います。
「降りる客が先」という常識がなくて困る
バス停はありますが、乗客を確保したいバスの運転手は、手を挙げればどこでもバスを停めて乗客を乗せます。これが交通渋滞や、乗客を確保したいバス同士の争いの原因となります。
銃やナイフなどによるバス強盗も、年に何度も報告されています。そんなこともあって、安心してバスに乗ることができないのが現実です。
バス以外の公共交通機関としては、LRT(Light Railway Transit)やMRT(Metro Railway Transit)という鉄道もあります。車両は日本からのODA(政府開発援助)で供与されたものが使われており、日本の列車よりもやや小さなコンパクトサイズです。
バスに劣らず、鉄道の通勤ラッシュもひどいものがあります。フィリピンの人たちは、先に客が全部降りてから乗り込む、という基本的なマナーがありません。開くドアの前に乗客が突っ立っているので、人をかき分けてやっと電車から降りられるというのがごく普通の情景です。
バスにはバス強盗がいますが、電車には「ポケットピッカー」と呼ばれるスリがたくさん乗っており、電車から降りてからポケットに入れているサイフや現金がすられていたことに気がつく、ということがあります。
筆者も一度、ジーンズの前ポケットに入れていた現金がなくなっていたことがありました。車内が異常に混んでいることから気が付かないのです。
雨季には道路が寸断され身動き取れない
また、やっかいなのが雨季の大雨です。7月から11月までの雨季、年に2回から3回程度、大人のヒザ近くまで雨水が溜まってしまうことがあります。排水溝の整備が不十分なため、2日も3日も雨水が抜けず、道路が寸断され身動きが取れなくなるのです。
出勤中にこのような状況になると、帰宅難民となり自宅まで帰るのに数時間もかかったり、中には帰れずに、近くのホテルに泊まったりするケースもあります。
普段でも交通渋滞がひどいマニラ、いつも身の危険を感じながらの通勤。安月給で通勤費補助なしの中で、頑張っている日本人がたくさんいる――。そんなことを知っていただければと思います。
あわせてよみたい:捨てたものではない「フィリピン就職」
【プロフィール】のりじぃ
マニラ在住、40代後半の独身男性。大学卒業後、大手有名電機メーカーに就職し、入社11年目にフィリピン駐在を命じられる。在籍中に計6年のフィリピン生活を経て退職し、フィリピンの現地メーカーに3年勤務。会社のマレーシア移転に伴いリストラ対象となり、現在は気ままなフリーランス生活中。