「あたし、セキュリティソフト3つも入れてるのよ!」と叫んだ女社長の話 2014年4月16日 おんなPCサポーターが行く! ツイート 2014年4月9日、ついにWindows XPのサポートが終了しました。その関係で、ここのところ「今後どうしたらいいんだ」という問い合わせと対応に追われておりました。 「別にXPのままでもいいだろ。ウィルスなんかに感染しないし」と言い張る方もおられます。私の個人ブログのアクセス解析を覗くと、約8年前にサポートが終了したWindows 98をいまだに使っている方もいるようです。 しかし、古いOSでネットに接続すると非常に危険です。パソコンがウィルス感染すると、個人情報が流出したり、犯罪の踏み台にされたりするなど色々と問題が発生します。仕事用のパソコンなら尚更。ウィルス感染で、信用問題に発展するおそれもあるのです。(ライター:光明隠歌) 起動後、怪しげなウィンドウが次々と… これは非常にまずい状態 このような危険を避けるためには、ソフトメーカーがサポートしている新しいOSのパソコンに買い換えた上、適切な「セキュリティソフト」を使用する必要があります。 ここで気をつけなければならないのは、ネットで怪しげな無料セキュリティソフトをダウンロードして対応したつもりになっていると、大事故につながるということです。 今回、「パソコンの動きが遅い」というトラブルでお伺いした女社長様。8年ほど前に買ったWindows XP機を買い換えたい。しかしパソコンがなかなか起動しないので、データのバックアップが取れずに困っているということでした。 電源を入れて待つこと数分。デスクトップ画面が表示されると、怪しげなウィンドウが次々と立ち上がり始めました。 「それ、最近勝手に立ち上がるのよね。セキュリティソフトだからしょうがないけど、結構邪魔なのよね。毎回×ボタンで消しちゃうけど」 社長は意に介しませんが、これは非常にまずい状態です。LAN線も無線LAN機能もオフになっていることを確認し、USBメモリからウィルスチェックソフトを起動させた上で、私はこう告げました。 「お客様、このパソコンはコンピュータウィルスに感染しております」 正規ソフトは1つだけ。あとはすべて「偽造」 案の定、パソコンはウィルスに感染していました。それもいろいろなものに。しかし社長は目をむき出して、「なんでウィルス感染するの? あたし、セキュリティソフト3つも入れてるのよ! 感染するわけないじゃない!」と叫びました。 あまりの剣幕に一瞬ひるんでしまいましたが、それでも事実を告げなければなりません。 「お客様のパソコンに入っている正規のセキュリティソフトは、1つだけです。あとはセキュリティソフトのふりをしてお金を取る、偽造セキュリティソフトです」 「え。これは?」「偽造ソフトです」 「これは?」「これも……」 そもそも最近のセキュリティソフトは、2つ以上インストールできない仕組みになっているものが多いのです。競合を起こして不具合が起きるため、大抵のソフトではインストール時にチェックがかかり「別のソフトを消してね♪」と言われます。 「じゃあ、これは? 有名なソフトでしょ?」。それは確かに偽造ではありませんが、インストールから数年経っているので「期限切れ」と表示されています。最近のウィルスには対応できていません。 「え、これ意味ないの? じゃあなんで入ってるの?」 「多分、パソコン買った時についていたものかと……」 結局、新しいパソコンを即注文した社長様。新しいパソコンには「3年間有効」の大手セキュリティソフトをインストールしました。 もはや「日本語表記」では判断できない 「これで3年間は、他のを入れなくても大丈夫なのね?」 ええ、まあ、3年間は自動でアップデートしますが、3年後には追加でお金を払うか、新しいソフトを買いなおす必要があるのです。でも、今言ったところで3年後に覚えているかどうか……。なんとなく理解していないような気がしたのですが、とりあえず「はい」と答えた私でした。 ちなみに偽造ウィルスソフトは、画面構成が正規の「ウイルスバスター」や「ノートンユーティリティ」などにそっくりで、名前も「セキュリティツール」とか「セキュリティスイート」とかという、それっぽいものなのです。 物によっては、正規ソフトの名称をそのまま使っている偽ソフトもあるほど。企業名も偽造してある上に、名前もコロコロ変わります。大抵は無意識に誘導されダウンロードされてしまうタイプなので、会社名やダウンロード先などは分からないことが多いです。 なお、昔の偽造ソフトは日本語表記が怪しくて、多分中国製か韓国製かな、と一目でわかりました。しかし最近は、そういう点でのチェックができないほど、日本語表記が正しいものも多くあります。みなさんもお気をつけ下さいね。 あわせてよみたい:おんなPCサポーターが行く!バックナンバー 【プロフィール】光明隠歌PCサポート一筋の30代元OL。IT企業を12年間渡り歩き、一般家庭や中小企業を対象に、パソコン・周辺機器の「出張設定」「修理」「電話・メールのサポート」「インストラクター」などを経験。月平均80件、多いときには月150件の出張設定をこなしたことも。現在は北陸地方でフリーのPCサポート業を営む。ツイッター(@koumyonakakureg)
「あたし、セキュリティソフト3つも入れてるのよ!」と叫んだ女社長の話
2014年4月9日、ついにWindows XPのサポートが終了しました。その関係で、ここのところ「今後どうしたらいいんだ」という問い合わせと対応に追われておりました。
「別にXPのままでもいいだろ。ウィルスなんかに感染しないし」と言い張る方もおられます。私の個人ブログのアクセス解析を覗くと、約8年前にサポートが終了したWindows 98をいまだに使っている方もいるようです。
しかし、古いOSでネットに接続すると非常に危険です。パソコンがウィルス感染すると、個人情報が流出したり、犯罪の踏み台にされたりするなど色々と問題が発生します。仕事用のパソコンなら尚更。ウィルス感染で、信用問題に発展するおそれもあるのです。(ライター:光明隠歌)
起動後、怪しげなウィンドウが次々と…
このような危険を避けるためには、ソフトメーカーがサポートしている新しいOSのパソコンに買い換えた上、適切な「セキュリティソフト」を使用する必要があります。
ここで気をつけなければならないのは、ネットで怪しげな無料セキュリティソフトをダウンロードして対応したつもりになっていると、大事故につながるということです。
今回、「パソコンの動きが遅い」というトラブルでお伺いした女社長様。8年ほど前に買ったWindows XP機を買い換えたい。しかしパソコンがなかなか起動しないので、データのバックアップが取れずに困っているということでした。
電源を入れて待つこと数分。デスクトップ画面が表示されると、怪しげなウィンドウが次々と立ち上がり始めました。
社長は意に介しませんが、これは非常にまずい状態です。LAN線も無線LAN機能もオフになっていることを確認し、USBメモリからウィルスチェックソフトを起動させた上で、私はこう告げました。
正規ソフトは1つだけ。あとはすべて「偽造」
案の定、パソコンはウィルスに感染していました。それもいろいろなものに。しかし社長は目をむき出して、「なんでウィルス感染するの? あたし、セキュリティソフト3つも入れてるのよ! 感染するわけないじゃない!」と叫びました。
あまりの剣幕に一瞬ひるんでしまいましたが、それでも事実を告げなければなりません。
そもそも最近のセキュリティソフトは、2つ以上インストールできない仕組みになっているものが多いのです。競合を起こして不具合が起きるため、大抵のソフトではインストール時にチェックがかかり「別のソフトを消してね♪」と言われます。
「じゃあ、これは? 有名なソフトでしょ?」。それは確かに偽造ではありませんが、インストールから数年経っているので「期限切れ」と表示されています。最近のウィルスには対応できていません。
結局、新しいパソコンを即注文した社長様。新しいパソコンには「3年間有効」の大手セキュリティソフトをインストールしました。
もはや「日本語表記」では判断できない
ええ、まあ、3年間は自動でアップデートしますが、3年後には追加でお金を払うか、新しいソフトを買いなおす必要があるのです。でも、今言ったところで3年後に覚えているかどうか……。なんとなく理解していないような気がしたのですが、とりあえず「はい」と答えた私でした。
ちなみに偽造ウィルスソフトは、画面構成が正規の「ウイルスバスター」や「ノートンユーティリティ」などにそっくりで、名前も「セキュリティツール」とか「セキュリティスイート」とかという、それっぽいものなのです。
物によっては、正規ソフトの名称をそのまま使っている偽ソフトもあるほど。企業名も偽造してある上に、名前もコロコロ変わります。大抵は無意識に誘導されダウンロードされてしまうタイプなので、会社名やダウンロード先などは分からないことが多いです。
なお、昔の偽造ソフトは日本語表記が怪しくて、多分中国製か韓国製かな、と一目でわかりました。しかし最近は、そういう点でのチェックができないほど、日本語表記が正しいものも多くあります。みなさんもお気をつけ下さいね。
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【プロフィール】光明隠歌
PCサポート一筋の30代元OL。IT企業を12年間渡り歩き、一般家庭や中小企業を対象に、パソコン・周辺機器の「出張設定」「修理」「電話・メールのサポート」「インストラクター」などを経験。月平均80件、多いときには月150件の出張設定をこなしたことも。現在は北陸地方でフリーのPCサポート業を営む。ツイッター(@koumyonakakureg)