• 「あたし、セキュリティソフト3つも入れてるのよ!」と叫んだ女社長の話

    2014年4月9日、ついにWindows XPのサポートが終了しました。その関係で、ここのところ「今後どうしたらいいんだ」という問い合わせと対応に追われておりました。

    「別にXPのままでもいいだろ。ウィルスなんかに感染しないし」と言い張る方もおられます。私の個人ブログのアクセス解析を覗くと、約8年前にサポートが終了したWindows 98をいまだに使っている方もいるようです。

    しかし、古いOSでネットに接続すると非常に危険です。パソコンがウィルス感染すると、個人情報が流出したり、犯罪の踏み台にされたりするなど色々と問題が発生します。仕事用のパソコンなら尚更。ウィルス感染で、信用問題に発展するおそれもあるのです。(ライター:光明隠歌)

    起動後、怪しげなウィンドウが次々と…

    これは非常にまずい状態 これは非常にまずい状態

    このような危険を避けるためには、ソフトメーカーがサポートしている新しいOSのパソコンに買い換えた上、適切な「セキュリティソフト」を使用する必要があります。

    ここで気をつけなければならないのは、ネットで怪しげな無料セキュリティソフトをダウンロードして対応したつもりになっていると、大事故につながるということです。

    今回、「パソコンの動きが遅い」というトラブルでお伺いした女社長様。8年ほど前に買ったWindows XP機を買い換えたい。しかしパソコンがなかなか起動しないので、データのバックアップが取れずに困っているということでした。

    電源を入れて待つこと数分。デスクトップ画面が表示されると、怪しげなウィンドウが次々と立ち上がり始めました。

    「それ、最近勝手に立ち上がるのよね。セキュリティソフトだからしょうがないけど、結構邪魔なのよね。毎回×ボタンで消しちゃうけど」

    社長は意に介しませんが、これは非常にまずい状態です。LAN線も無線LAN機能もオフになっていることを確認し、USBメモリからウィルスチェックソフトを起動させた上で、私はこう告げました。

    「お客様、このパソコンはコンピュータウィルスに感染しております」

    正規ソフトは1つだけ。あとはすべて「偽造」

    案の定、パソコンはウィルスに感染していました。それもいろいろなものに。しかし社長は目をむき出して、「なんでウィルス感染するの? あたし、セキュリティソフト3つも入れてるのよ! 感染するわけないじゃない!」と叫びました。

    あまりの剣幕に一瞬ひるんでしまいましたが、それでも事実を告げなければなりません。

    「お客様のパソコンに入っている正規のセキュリティソフトは、1つだけです。あとはセキュリティソフトのふりをしてお金を取る、偽造セキュリティソフトです」
    「え。これは?」「偽造ソフトです」
    「これは?」「これも……」

    そもそも最近のセキュリティソフトは、2つ以上インストールできない仕組みになっているものが多いのです。競合を起こして不具合が起きるため、大抵のソフトではインストール時にチェックがかかり「別のソフトを消してね♪」と言われます。

    「じゃあ、これは? 有名なソフトでしょ?」。それは確かに偽造ではありませんが、インストールから数年経っているので「期限切れ」と表示されています。最近のウィルスには対応できていません。

    「え、これ意味ないの? じゃあなんで入ってるの?」 「多分、パソコン買った時についていたものかと……」

    結局、新しいパソコンを即注文した社長様。新しいパソコンには「3年間有効」の大手セキュリティソフトをインストールしました。

    もはや「日本語表記」では判断できない

    「これで3年間は、他のを入れなくても大丈夫なのね?」

    ええ、まあ、3年間は自動でアップデートしますが、3年後には追加でお金を払うか、新しいソフトを買いなおす必要があるのです。でも、今言ったところで3年後に覚えているかどうか……。なんとなく理解していないような気がしたのですが、とりあえず「はい」と答えた私でした。

    ちなみに偽造ウィルスソフトは、画面構成が正規の「ウイルスバスター」や「ノートンユーティリティ」などにそっくりで、名前も「セキュリティツール」とか「セキュリティスイート」とかという、それっぽいものなのです。

    物によっては、正規ソフトの名称をそのまま使っている偽ソフトもあるほど。企業名も偽造してある上に、名前もコロコロ変わります。大抵は無意識に誘導されダウンロードされてしまうタイプなので、会社名やダウンロード先などは分からないことが多いです。

    なお、昔の偽造ソフトは日本語表記が怪しくて、多分中国製か韓国製かな、と一目でわかりました。しかし最近は、そういう点でのチェックができないほど、日本語表記が正しいものも多くあります。みなさんもお気をつけ下さいね。

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    【プロフィール】光明隠歌
    PCサポート一筋の30代元OL。IT企業を12年間渡り歩き、一般家庭や中小企業を対象に、パソコン・周辺機器の「出張設定」「修理」「電話・メールのサポート」「インストラクター」などを経験。月平均80件、多いときには月150件の出張設定をこなしたことも。現在は北陸地方でフリーのPCサポート業を営む。ツイッター(@koumyonakakureg

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