まだ「ファイル共有ソフト」使ってるの? 知らずに個人情報が漏えいすることも 2014年7月23日 おんなPCサポーターが行く! ツイート ある男が顧客企業の個人データを勝手にコピーし、名簿屋に転売し金儲けをしていた事件が世間を騒がせています。悪いことであると分かっていても、目の前にカネになるものがあって、しかも自分にカネがない状態になると悪いことをやってしまう人というのは、どうしてもいるものです。 「個人情報漏洩」というと、このような名簿データを入手して転売していた人は昔からいたと思うのですが、少し前はいわゆる「ファイル共有ソフト」を入れて漏洩してしまったというケースが話題となっていました。(ライター:光明隠歌) 「ウィニーは危ないからカボスで!」の恐怖 もう知らないですよ! この共有ソフト、種類がものすごく多かったせいか「これはダメだけどこれは安全」というよくわからない理屈による噂が曲がり通っていたこともあり、パソコンサポートで出張に行くと結構な確率でインストール済みだったりしていた時期がありました。 ある個人のお客様を訪問したときのこと。「セキュリティ対策ソフト、何も入ってませんね」という私の言葉に、依頼主の女性はこう言いました。 「じゃあ、Cabos(カボス)で探すね~。友だちが教えてくれたよ! Winny(ウィニー)はウィルスに感染してるソフトばっかだけど、Cabosを使えば感染してないソフトが無料でダウンロードできるって!」 思わず絶句してしまいました。CabosもWinnyもファイル共有ソフト。そしてどちらも、セキュリティの知識のない人が安易に使えば、あっという間に個人のデータが勝手に漏洩したり、ウィルスに感染したソフトをダウンロードしてしまったりするものなのです。 場合によっては、会社の重要書類がそういったソフトを介して全世界にばらまかれてしまうことになってしまう――。とりあえずそんな説明をして、近くのパソコン取扱家電店で正規のセキュリティ対策ソフトを買ってインストールすることをお願いしました。 インストール作業はお客様自身で出来るということでしたので、私はウィルス感染ファイルの駆除のみを行ったのですが、それでも「じゃあ、セキュリティソフト入れたらCabos使っても大丈夫なのね!」なんて言われてしまったものですから、私は脱力しつつ、 「入れっぱなしにしておくと、あなたの恥ずかしい写真とかが流出しますよ……」 というしかありませんでした。 家庭で共有するパソコン使い「息子が勝手に…」 「インターネットが遅いんだよね」と連絡を受けて訪問した別のお客様のパソコンにも、「LimeWire」というファイル共有ソフトが入っていました。変な設定をしたためにパソコンの動きが重たくなっているようです。お客様の許可が貰えれば、ソフトを削除できると伝えたところ、 「それ、息子が入れたんだよね。息子がそれ入れてからパソコンの調子が悪くなったんで。勝手に消すと息子が怒りだすし」 とのこと。どうやらパソコンは家族全員で1台を共有しているようです。そこでLimeWireは共有ソフトで、会社のデータをこのパソコンに入れたらそのまま情報漏洩してしまうかもしれないことを伝えると、お客様は真っ青な顔をしておっしゃいました。 「すぐ消してくれ!『ファイル共有ソフトは、個人パソコンでも入っていることが判明したら解雇する』って会社から通知が、この間来たばかりなんだ!」 「あの、息子さんの許可は……」 「いい! クビになったら路頭に迷う! 息子が怒ったら殴って説得する!」 他人の家庭ながら、殴ったりするのは教育上よくないんじゃないかなあと思いつつ、依頼主の許可をいただけたのでソフトを削除し、ウィルスチェックで問題がないことを確認して作業は終了となりました。 なお、これらファイル共有ソフトに使われている技術自体は、決して悪ではありませんし、ソフトも正しく設定すれば、データが流出したりすることもありません。 ただし、市販のソフトをダウンロードする行為は違法ですし、その大半はウィルスに感染していたりしています。こういったファイル共有ソフトは今でも入手できますが、甘い言葉に騙されることなく、手を出さないことをおすすめしつつ……(ろうそくがまた1本消えました)。 あわせて読みたい: おんなPCサポーターが行く! 【プロフィール】光明隠歌PCサポート一筋の30代元OL。IT企業を12年間渡り歩き、一般家庭や中小企業を対象に、パソコン・周辺機器の「出張設定」「修理」「電話・メールのサポート」「インストラクター」などを経験。月平均80件、多いときには月150件の出張設定をこなしたことも。現在は北陸地方でフリーのPCサポート業を営む。ツイッター(@koumyonakakureg)
まだ「ファイル共有ソフト」使ってるの? 知らずに個人情報が漏えいすることも
ある男が顧客企業の個人データを勝手にコピーし、名簿屋に転売し金儲けをしていた事件が世間を騒がせています。悪いことであると分かっていても、目の前にカネになるものがあって、しかも自分にカネがない状態になると悪いことをやってしまう人というのは、どうしてもいるものです。
「個人情報漏洩」というと、このような名簿データを入手して転売していた人は昔からいたと思うのですが、少し前はいわゆる「ファイル共有ソフト」を入れて漏洩してしまったというケースが話題となっていました。(ライター:光明隠歌)
「ウィニーは危ないからカボスで!」の恐怖
この共有ソフト、種類がものすごく多かったせいか「これはダメだけどこれは安全」というよくわからない理屈による噂が曲がり通っていたこともあり、パソコンサポートで出張に行くと結構な確率でインストール済みだったりしていた時期がありました。
ある個人のお客様を訪問したときのこと。「セキュリティ対策ソフト、何も入ってませんね」という私の言葉に、依頼主の女性はこう言いました。
思わず絶句してしまいました。CabosもWinnyもファイル共有ソフト。そしてどちらも、セキュリティの知識のない人が安易に使えば、あっという間に個人のデータが勝手に漏洩したり、ウィルスに感染したソフトをダウンロードしてしまったりするものなのです。
場合によっては、会社の重要書類がそういったソフトを介して全世界にばらまかれてしまうことになってしまう――。とりあえずそんな説明をして、近くのパソコン取扱家電店で正規のセキュリティ対策ソフトを買ってインストールすることをお願いしました。
インストール作業はお客様自身で出来るということでしたので、私はウィルス感染ファイルの駆除のみを行ったのですが、それでも「じゃあ、セキュリティソフト入れたらCabos使っても大丈夫なのね!」なんて言われてしまったものですから、私は脱力しつつ、
というしかありませんでした。
家庭で共有するパソコン使い「息子が勝手に…」
「インターネットが遅いんだよね」と連絡を受けて訪問した別のお客様のパソコンにも、「LimeWire」というファイル共有ソフトが入っていました。変な設定をしたためにパソコンの動きが重たくなっているようです。お客様の許可が貰えれば、ソフトを削除できると伝えたところ、
とのこと。どうやらパソコンは家族全員で1台を共有しているようです。そこでLimeWireは共有ソフトで、会社のデータをこのパソコンに入れたらそのまま情報漏洩してしまうかもしれないことを伝えると、お客様は真っ青な顔をしておっしゃいました。
他人の家庭ながら、殴ったりするのは教育上よくないんじゃないかなあと思いつつ、依頼主の許可をいただけたのでソフトを削除し、ウィルスチェックで問題がないことを確認して作業は終了となりました。
なお、これらファイル共有ソフトに使われている技術自体は、決して悪ではありませんし、ソフトも正しく設定すれば、データが流出したりすることもありません。
ただし、市販のソフトをダウンロードする行為は違法ですし、その大半はウィルスに感染していたりしています。こういったファイル共有ソフトは今でも入手できますが、甘い言葉に騙されることなく、手を出さないことをおすすめしつつ……(ろうそくがまた1本消えました)。
あわせて読みたい: おんなPCサポーターが行く!
【プロフィール】光明隠歌
PCサポート一筋の30代元OL。IT企業を12年間渡り歩き、一般家庭や中小企業を対象に、パソコン・周辺機器の「出張設定」「修理」「電話・メールのサポート」「インストラクター」などを経験。月平均80件、多いときには月150件の出張設定をこなしたことも。現在は北陸地方でフリーのPCサポート業を営む。ツイッター(@koumyonakakureg)