企業の採用担当者いわく「就活の勉強をしても、内定には近づかない」 2014年4月4日 採用担当者が斬る「シューカツの迷信」 ツイート 驚かれる人もいるかもしれませんが、長年採用を担当してきた現場の人間の本音です。就活のための勉強は、就活の成功につながることはありません。 「効果的な自己PR方法」 「自己分析の進め方」 「読まれるエントリーシートの書き方」 このような「就活のため」という類のものは、希望する会社の内定につながらないと考えていいでしょう。理由は、それらが全て「内定がゴール」になっているからです。 内定に囚われる限り、苦戦し続けるジレンマ 私たち採用担当者は「一緒に仕事をしたい人」を探しています。仕事に対する興味関心よりも、とりあえず「内定をもらうこと」「社員になること」が目的となっている人と会いたいわけではありません。 内定のために必死になる気持ちはわかりますが、そこに囚われている限り、苦戦し続けます。そうならないために、就活生のみなさんにぜひとも学んでほしいことがあります。それは「仕事」についての勉強です。 内定をゴールにするから、面接でのアピールが小手先のテクニックを弄するようになってしまい、それが相手に伝わり逆効果になるのです。とはいっても、自分が何をしたいのか分からない、という人もいるでしょう。 少ない情報しかない状態では、自分が何をしたいのかなど思いつくわけがありません。まずは会社と仕事に関する「情報収集」を行い、その中から自分の興味のあったものを「選択」することを目指しましょう。 何も知らない状態で何かを選ぼうとしても、選べないのは当然です。海外で初めて入ったお店で、メニューも見ずに注文しようとするでしょうか。それでは自分が食べたい料理を食べられません。まずは、メニューの全容を見ることから始めるべきです。 「その会社のお客様は誰か」くらいは考えよう まずは、世の中にどういった会社が存在しているのかを知ることから始めてください。書店に行って、たとえば各社から出ている「業界地図」(1000円くらい)を手に取り、世の中にどんな業界や、どんな会社があるのか眺めてみましょう。 その中で、自分が興味を持てる業界や会社があったら、さらにそこで行われている「仕事」を掘り下げるような本や雑誌を読んでみましょう。ウェブでもテレビ番組でもいいです。情報収集を進めていくと、こんなことが気になってきます。 「世の中には、どんな仕事があるのだろうか?」 「その業界は、どんな商いの仕組みなのだろうか?」 「その会社のお客様は、誰なのか?」 「それぞれの会社が、どんなお困りごとを解決しているのか?」 「社員や経営者が、どんな思いで仕事に励んでいるのか?」 そこまでやって、初めて「自分はどんな仕事がしたいのか」「そのためには、自分はどんな会社を志望するのか」といった考えが出てきます。 教科書にはもっともらしいことが書いてありますが、そのようなベースなしに、純粋なテクニックとしての「就活」があるわけではないのです。 社会人経験がない就活生が仕事について知らないのは、仕方のないことです。未経験のことを学ぶのは簡単ではありませんが、調べる手段は増えています。社会人の先輩に聞いてみることもいいでしょうし、「スーパーの女」「おくりびと」「有頂天ホテル」といった映画からもヒントがつかめるかもしれません。 情報を集め、経験を通じて「世の中のしくみ」を知り、問題の解決にどう関わるかを考えることは、社会人になってからもビジネスの原動力となります。学生にとっても、このようなことが結果的に内定の近道になります。 あわせてよみたい:面接は「自分を売り込む場」ではない 【プロフィール】河合 浩司(かわい・こうじ)上場企業のメーカーで人事課長を務める、採用業務15年超のベテラン。学生たちの不安を煽って金を儲ける最近の就活ビジネスを批判し、ペンネームでのツイッター(@k_kouzi7)やウェブコラムを通じて「自然体の就活」を回復するよう呼びかけている。
企業の採用担当者いわく「就活の勉強をしても、内定には近づかない」
驚かれる人もいるかもしれませんが、長年採用を担当してきた現場の人間の本音です。就活のための勉強は、就活の成功につながることはありません。
このような「就活のため」という類のものは、希望する会社の内定につながらないと考えていいでしょう。理由は、それらが全て「内定がゴール」になっているからです。
内定に囚われる限り、苦戦し続けるジレンマ
私たち採用担当者は「一緒に仕事をしたい人」を探しています。仕事に対する興味関心よりも、とりあえず「内定をもらうこと」「社員になること」が目的となっている人と会いたいわけではありません。
内定のために必死になる気持ちはわかりますが、そこに囚われている限り、苦戦し続けます。そうならないために、就活生のみなさんにぜひとも学んでほしいことがあります。それは「仕事」についての勉強です。
内定をゴールにするから、面接でのアピールが小手先のテクニックを弄するようになってしまい、それが相手に伝わり逆効果になるのです。とはいっても、自分が何をしたいのか分からない、という人もいるでしょう。
少ない情報しかない状態では、自分が何をしたいのかなど思いつくわけがありません。まずは会社と仕事に関する「情報収集」を行い、その中から自分の興味のあったものを「選択」することを目指しましょう。
何も知らない状態で何かを選ぼうとしても、選べないのは当然です。海外で初めて入ったお店で、メニューも見ずに注文しようとするでしょうか。それでは自分が食べたい料理を食べられません。まずは、メニューの全容を見ることから始めるべきです。
「その会社のお客様は誰か」くらいは考えよう
まずは、世の中にどういった会社が存在しているのかを知ることから始めてください。書店に行って、たとえば各社から出ている「業界地図」(1000円くらい)を手に取り、世の中にどんな業界や、どんな会社があるのか眺めてみましょう。
その中で、自分が興味を持てる業界や会社があったら、さらにそこで行われている「仕事」を掘り下げるような本や雑誌を読んでみましょう。ウェブでもテレビ番組でもいいです。情報収集を進めていくと、こんなことが気になってきます。
そこまでやって、初めて「自分はどんな仕事がしたいのか」「そのためには、自分はどんな会社を志望するのか」といった考えが出てきます。
教科書にはもっともらしいことが書いてありますが、そのようなベースなしに、純粋なテクニックとしての「就活」があるわけではないのです。
社会人経験がない就活生が仕事について知らないのは、仕方のないことです。未経験のことを学ぶのは簡単ではありませんが、調べる手段は増えています。社会人の先輩に聞いてみることもいいでしょうし、「スーパーの女」「おくりびと」「有頂天ホテル」といった映画からもヒントがつかめるかもしれません。
情報を集め、経験を通じて「世の中のしくみ」を知り、問題の解決にどう関わるかを考えることは、社会人になってからもビジネスの原動力となります。学生にとっても、このようなことが結果的に内定の近道になります。
あわせてよみたい:面接は「自分を売り込む場」ではない
【プロフィール】河合 浩司(かわい・こうじ)
上場企業のメーカーで人事課長を務める、採用業務15年超のベテラン。学生たちの不安を煽って金を儲ける最近の就活ビジネスを批判し、ペンネームでのツイッター(@k_kouzi7)やウェブコラムを通じて「自然体の就活」を回復するよう呼びかけている。