• 採用担当者が読み飛ばす自己PR 「私には『○○力』があります!」

    採用シーズンになると、会社に何千枚ものエントリーシートが届きます。その中で、非常に多いのが、「私には『〇〇力』があります」という表現です。しかし私たちは、その部分をあっさりと読み飛ばしています。

    みなさんも想像してみてください。会ったこともない人から「私には能力があります!」という売り込みの手紙が来るのです。相手に好印象を持てますか? その人に会ってみたいと思いますか?(河合浩司)

    「周囲が自然と感じるもの」を自慢するな

    しかし残念ながら、一般的な就活の指導は、この類のものが非常に多いのが現状です。巷の就活ノウハウ本の著者や、資格だけのキャリアコンサルタントなどといった就活ビジネスに関わる人物、またそれらを鵜呑みにする大学のキャリア課職員に大きな責任があります。

    「分かりやすい文章にするために結論から書くこと」という指導は正しいのですが、「○○力がある」は結論になっていません。

    彼らから間違った指導を受けたことで、就活生が残念な表現をしてしまっている事情を採用担当者も理解しています。ですから、「○○力がある」という表現だけで落とすことは少ないでしょう。とはいえ、高い評価につながらないことは同じです。

    そもそも「私には〇〇力があります」というこの表現、おかしいと思いませんか? 自分で自分のことを「能力がある」という人間が信用されるでしょうか。

    例えば、みなさんの周りに「あいつは行動力があるなぁ」というお友達はいませんか? さて、その人は自分のことを「俺って、行動力があるからさ」といつも言っているから、あなたはそう思うのでしょうか。そうではなく、その人の日頃の行動を見て、「あなたが自然と感じている」のではないでしょうか。

    自称「就活カリスマ講師」なんてロクでもない

    本来「○○力がある」というのは、周りの人が自然と言い出すものです。自分で自分のことを表現するために、使う言葉ではありません。これは就活でも同じことが言えます。

    採用担当者は「私には○○力があります」という箇所を読み飛ばします。そして、「この学生は具体的に何をしたのか?」という事実の部分を探します。

    就活生のエピソードから、どんな特徴を持った人なのかを知ろうとします。みなさん自身が実際にしてきたことを具体的に書いてくれたら、その人の特徴や能力、人柄は自然と伝わるものです。

    「私には、粘り強く取り組み続ける継続力があります」ではなく、実際に何を続けてきたのかを書いてください。「好奇心旺盛な行動力が強みです」ではなく、何に興味を持って、どんなことをしてきたのかを書いてください。

    自分で「自分には能力がある」と言い出すような大人にはならないでください。そして、自分で自分のことを「就活カリスマ講師」や「人気就職コンサルタント」という肩書をつける大人にもご注意ください。

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    【プロフィール】河合 浩司(かわい・こうじ)
    上場企業のメーカーで人事課長を務める、採用業務15年超のベテラン。学生たちの不安を煽って金を儲ける最近の就活ビジネスを批判し、ペンネームでのツイッター(@k_kouzi7)やウェブコラムを通じて「自然体の就活」を回復するよう呼びかけている。

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