「資格」で就活は有利になるか? 「教員免許」は不利になるのか? 2014年5月23日 採用担当者が斬る「シューカツの迷信」 ツイート 「就活に向けて、取っておいた方がいい資格はありますか?」 就活の相談を受けていると、毎年何度か聞かれる質問です。結論から言うと、「就活のために取る資格」が有利に働くことはありません。 MOS試験、色彩検定や世界遺産検定、秘書検定などを取得している就活生に会うことがありますが、「この資格を取ろうと思ったのは、何かきっかけがあるんですか?」と聞くと、「就活に備えようと思って…」と言葉を濁す方が意外に多くおられます。(河合浩司) むしろ「かわいそう」「浅はか」と思われるだけ 就活のために取得する資格に、全く意味はありません。むしろ「資格学校の戦略にうまく乗せられているなぁ」と、かわいそうに思われるだけです。 採用担当者によっては、「浅はかな思考の人間だ」とすら思うようです。私はそこまでは思いませんが、気持ちはわからないでもありません。資格に限らず「就活を有利にするために」と考えて判断しそうになっている時は、一度疑ってみていいと思います。 しかし就活とは関係なく、取得した資格が面接で話題になることはあります。 実際にお会いした学生では、書道師範代という資格を持っている人がいました。話を聞いてみると、趣味でずっと書道を続けてきたそうです。書道の魅力を聞くと、とても楽しそうに話してくれました。 他には、利き酒師の資格を持っている学生もいました。酒好きの社会人も多いので、面接の話題として盛り上がることが多いようです。話を聞いてみると、 「その資格について、面接でよく質問をもらえるのが嬉しいです。単に個人的な趣味で取ったんですけどね」 と笑いながら話してくれました。学生さんも自分が好きなことについて聞いてもらえるわけですから、気持ちよく話をすることができます。 とはいえ、これらの資格も選考で有利になるわけではなく、あくまで面接の話題ができる程度です。「就活に資格が有効だ!」と思っているのは、資格学校(仕事だから割り切っているだけ?)と、学校の就職課(他にアドバイスすることがない?)の方々くらいです。 「良い人材だけど内定は出さない」とは考えない 資格に関連して、よく受ける質問が他にもあります。「教員免許や保育士免許を持っている場合、採用で不利になりませんか?」というものです。 面接で採用担当者から、「免許を持っているみたいですが、なぜ教師(または保育士)にはならないのですか?」と聞かれることがあるので、就活生が思い悩んでしまうのでしょう。これに関して、 「不利になるから、教員・保育士免許などは履歴書に書かない方がいい」 などという指導をしている人もおられますが、これは明らかに間違いです。先の質問は、純粋に知りたくて聞いているだけです。 教員志望であっても保育士志望であっても、「採用したい」と思えば内定を出します。企業は内定辞退があることを想定して、内定を出しますので、採用人数よりも多く内定を出しているものです。だから、採用したい人材に内定を出すのは当然なのです。 「教員や保育士になりそうだから、良い人材だけど内定は出さないでおこう」などとは考えません。せっかく今までがんばって資格取得に努めたのですから、気にせず履歴書に書いてください。なぜ取得免許に関する仕事に就かないのか質問をされた時も、現時点の素直な気持ちを話してくれたら大丈夫です。 あわせてよみたい:採用担当者が斬る「シューカツの迷信」バックナンバー 【プロフィール】河合 浩司(かわい・こうじ)上場企業のメーカーで人事課長を務める、採用業務15年超のベテラン。学生たちの不安を煽って金を儲ける最近の就活ビジネスを批判し、ペンネームでのツイッター(@k_kouzi7)やウェブコラムを通じて「自然体の就活」を回復するよう呼びかけている。
「資格」で就活は有利になるか? 「教員免許」は不利になるのか?
就活の相談を受けていると、毎年何度か聞かれる質問です。結論から言うと、「就活のために取る資格」が有利に働くことはありません。
MOS試験、色彩検定や世界遺産検定、秘書検定などを取得している就活生に会うことがありますが、「この資格を取ろうと思ったのは、何かきっかけがあるんですか?」と聞くと、「就活に備えようと思って…」と言葉を濁す方が意外に多くおられます。(河合浩司)
むしろ「かわいそう」「浅はか」と思われるだけ
就活のために取得する資格に、全く意味はありません。むしろ「資格学校の戦略にうまく乗せられているなぁ」と、かわいそうに思われるだけです。
採用担当者によっては、「浅はかな思考の人間だ」とすら思うようです。私はそこまでは思いませんが、気持ちはわからないでもありません。資格に限らず「就活を有利にするために」と考えて判断しそうになっている時は、一度疑ってみていいと思います。
しかし就活とは関係なく、取得した資格が面接で話題になることはあります。
実際にお会いした学生では、書道師範代という資格を持っている人がいました。話を聞いてみると、趣味でずっと書道を続けてきたそうです。書道の魅力を聞くと、とても楽しそうに話してくれました。
他には、利き酒師の資格を持っている学生もいました。酒好きの社会人も多いので、面接の話題として盛り上がることが多いようです。話を聞いてみると、
と笑いながら話してくれました。学生さんも自分が好きなことについて聞いてもらえるわけですから、気持ちよく話をすることができます。
とはいえ、これらの資格も選考で有利になるわけではなく、あくまで面接の話題ができる程度です。「就活に資格が有効だ!」と思っているのは、資格学校(仕事だから割り切っているだけ?)と、学校の就職課(他にアドバイスすることがない?)の方々くらいです。
「良い人材だけど内定は出さない」とは考えない
資格に関連して、よく受ける質問が他にもあります。「教員免許や保育士免許を持っている場合、採用で不利になりませんか?」というものです。
面接で採用担当者から、「免許を持っているみたいですが、なぜ教師(または保育士)にはならないのですか?」と聞かれることがあるので、就活生が思い悩んでしまうのでしょう。これに関して、
などという指導をしている人もおられますが、これは明らかに間違いです。先の質問は、純粋に知りたくて聞いているだけです。
教員志望であっても保育士志望であっても、「採用したい」と思えば内定を出します。企業は内定辞退があることを想定して、内定を出しますので、採用人数よりも多く内定を出しているものです。だから、採用したい人材に内定を出すのは当然なのです。
「教員や保育士になりそうだから、良い人材だけど内定は出さないでおこう」などとは考えません。せっかく今までがんばって資格取得に努めたのですから、気にせず履歴書に書いてください。なぜ取得免許に関する仕事に就かないのか質問をされた時も、現時点の素直な気持ちを話してくれたら大丈夫です。
あわせてよみたい:採用担当者が斬る「シューカツの迷信」バックナンバー
【プロフィール】河合 浩司(かわい・こうじ)
上場企業のメーカーで人事課長を務める、採用業務15年超のベテラン。学生たちの不安を煽って金を儲ける最近の就活ビジネスを批判し、ペンネームでのツイッター(@k_kouzi7)やウェブコラムを通じて「自然体の就活」を回復するよう呼びかけている。