今夏のインターンシップは、もはや「就業体験」ではありませんぞ! 2014年7月24日 採用担当者が斬る「シューカツの迷信」 ツイート 今やすっかり定番となった「インターンシップ」。本来の目的は、社会経験がない学生さんたちが就業体験を得ることです。このことから、政府から「青田買い」につなげないようにと指針が出ていますが、すでに企業の採用活動の場となっているのが実情です。 純粋に「就業体験をしてもらおう」などと考えている企業は、いまや極めて稀な存在でしょう。少なくとも私は会ったことがありません。ですから、夏休みなどにインターンシップに参加する学生さんたちは、「就業体験ではなく採用選考だ」と思っておいてください。(河合浩司) 「就活サイトの営業マンに煽られ」参加企業が続々 長期のグループディスカッション この傾向は、2016卒採用につながる今年のインターンシップでは、より顕著になることでしょう。大手就活サイトが「インターンシップ募集」のプレサイトの公開時期を例年よりも前倒ししたことも、この傾向を後押ししている大きな要因です。 採用が今年より4か月も後ろ倒しされるので、就活サイトからすれば広告を売れる時期が短くなってしまいます。その対策として、今の売り方をせざるをえないのでしょう。この動きに煽られて、今年から初めてインターンシップを実施する企業がいくつもあります。 私が直接知っているだけでも、10社近い企業が今夏から始めますが、一番の理由は「就活サイトの営業マンに言われたから…」というものです。おそらく私が直接知らない企業でも似たようなものでしょう。 「選考時期の変更による採用不安」に加え、昨今の「人手不足だと言われる風潮」にも煽られて、企業側は必死で採用の方法を模索しています。その一つがインターンシップなのです。 企業はこのような切羽詰まった状況で、インターンシップを実施します。目的は明らかに採用ですから、学生さんたちは「就業体験」だという意識を捨てて参加企業を入念に選び、真剣に参加する必要があります。 わざとらしい「有能さ」「やる気」アピールは禁物 私たち採用担当者は、選考材料だと思ってインターンシップ中の学生さんを見ています。確かにその場で合否を出すわけではありませんから、口では「選考には一切関係ありません」と言います。 しかし、縁あって出会うことができた学生さんが抜群に良い人材なら、そのまま放置するわけがありません。自社の志望度が高まるように、手を尽くします。 とはいえ、インターンシップで「自分の有能さややる気を採用担当者に見せつけよう」と考えることは禁物です。面接と同じで、「自分で自分のことを売り込んでくる人」に好感触を持つ人はまずいません。 インターンシップ中は、一緒に取り組む仲間たちや、お世話をしてくれる社会人の方々のために、自分にできることを精一杯してみてください。その姿勢が結果的に、熱意や姿勢を伝えてくれます。大事なことは、以前書いた「グループディスカッション対策」に非常によく似ています。 今のインターンシップは「就業体験」ではなく、「長期のグループディスカッション」という表現の方が事実に即したものと言えるかもしれません。 あわせてよみたい:採用担当者が斬る「シューカツの迷信」バックナンバー 【プロフィール】河合 浩司(かわい・こうじ)上場企業のメーカーで人事課長を務める、採用業務15年超のベテラン。学生たちの不安を煽って金を儲ける最近の就活ビジネスを批判し、ペンネームでのツイッター(@k_kouzi7)やウェブコラムを通じて「自然体の就活」を回復するよう呼びかけている。
今夏のインターンシップは、もはや「就業体験」ではありませんぞ!
今やすっかり定番となった「インターンシップ」。本来の目的は、社会経験がない学生さんたちが就業体験を得ることです。このことから、政府から「青田買い」につなげないようにと指針が出ていますが、すでに企業の採用活動の場となっているのが実情です。
純粋に「就業体験をしてもらおう」などと考えている企業は、いまや極めて稀な存在でしょう。少なくとも私は会ったことがありません。ですから、夏休みなどにインターンシップに参加する学生さんたちは、「就業体験ではなく採用選考だ」と思っておいてください。(河合浩司)
「就活サイトの営業マンに煽られ」参加企業が続々
この傾向は、2016卒採用につながる今年のインターンシップでは、より顕著になることでしょう。大手就活サイトが「インターンシップ募集」のプレサイトの公開時期を例年よりも前倒ししたことも、この傾向を後押ししている大きな要因です。
採用が今年より4か月も後ろ倒しされるので、就活サイトからすれば広告を売れる時期が短くなってしまいます。その対策として、今の売り方をせざるをえないのでしょう。この動きに煽られて、今年から初めてインターンシップを実施する企業がいくつもあります。
私が直接知っているだけでも、10社近い企業が今夏から始めますが、一番の理由は「就活サイトの営業マンに言われたから…」というものです。おそらく私が直接知らない企業でも似たようなものでしょう。
「選考時期の変更による採用不安」に加え、昨今の「人手不足だと言われる風潮」にも煽られて、企業側は必死で採用の方法を模索しています。その一つがインターンシップなのです。
企業はこのような切羽詰まった状況で、インターンシップを実施します。目的は明らかに採用ですから、学生さんたちは「就業体験」だという意識を捨てて参加企業を入念に選び、真剣に参加する必要があります。
わざとらしい「有能さ」「やる気」アピールは禁物
私たち採用担当者は、選考材料だと思ってインターンシップ中の学生さんを見ています。確かにその場で合否を出すわけではありませんから、口では「選考には一切関係ありません」と言います。
しかし、縁あって出会うことができた学生さんが抜群に良い人材なら、そのまま放置するわけがありません。自社の志望度が高まるように、手を尽くします。
とはいえ、インターンシップで「自分の有能さややる気を採用担当者に見せつけよう」と考えることは禁物です。面接と同じで、「自分で自分のことを売り込んでくる人」に好感触を持つ人はまずいません。
インターンシップ中は、一緒に取り組む仲間たちや、お世話をしてくれる社会人の方々のために、自分にできることを精一杯してみてください。その姿勢が結果的に、熱意や姿勢を伝えてくれます。大事なことは、以前書いた「グループディスカッション対策」に非常によく似ています。
今のインターンシップは「就業体験」ではなく、「長期のグループディスカッション」という表現の方が事実に即したものと言えるかもしれません。
あわせてよみたい:採用担当者が斬る「シューカツの迷信」バックナンバー
【プロフィール】河合 浩司(かわい・こうじ)
上場企業のメーカーで人事課長を務める、採用業務15年超のベテラン。学生たちの不安を煽って金を儲ける最近の就活ビジネスを批判し、ペンネームでのツイッター(@k_kouzi7)やウェブコラムを通じて「自然体の就活」を回復するよう呼びかけている。