「意識の高い学生」こそ、銀行で働くことを目指すべき 2013年1月18日 企業徹底研究 ツイート 最近の大学生の中に、NPO(非営利組織)で働きたい人が増えている。厳しい就職活動に揉まれて傷ついたり、古い体質の日本企業で嫌な思いをするくらいなら、はじめから「国際貢献」などの仕事をしたいと考えているそうだ。 この手の学生に最も不人気なのが“銀行”だ。金融機関が世の中の「事業」と「カネの流れ」に大きく関わり、社会的なイノベーションの創出に欠かせない役割を果たしていることを、ほとんど知らないからだろう。 社会人からすると、NPOとは大企業に「社会的責任」を押し付けて寄付を募るという、たかりのように映るときもある。逆に「意識の高い若者」にとって、その程度は「欧米では当然のこと」であり、それを理解しない企業は「意識が低い」のだという。 しかし、そんな世間知らずの若者が、いくら「世界を変えたい」などと言って、大風呂敷を広げても誰も協力したいと思わないだろう。そして、カネがなければ困っている人たちを救うこともできない。 ◇ 「世の中の仕組み」を知ることで「カネ」も動かせる カネを動かせるようになるためには、世の中の仕組みを知ることが必要だ。彼らの夢の実現に必要なスキルを身につけるには、彼らが毛嫌いする銀行で働くのが、実は近道だ。 東京三菱UFJ銀行で法人営業に携わる20代後半の男性行員は、銀行勤務のメリットを、まさに「世の中の仕組みをよく知ることができる」という言葉で評価している。 「金にまつわる知識がつくのはもとより、社会経済のしくみを知る機会が多く、その情報源も社内に豊富にある。また経営者の話はとても勉強になる。ネームバリューがあるからこそ、経営者と直接話ができるわけで、この肩書がなかったら会えない人たちに容易に会うことができる」 「信頼」「人脈」「カネの動かし方」。社会の最前線で価値を産みだす社内外のパワフルな人材と知り合うことで、世の中を動かすために何が必要なのか、学習することができるのだろう。 また、休みを十分取り、海外旅行をする余裕もあるという。同じく、三菱東京UFJ銀行で働く20代女性行員は、「全体で休みを積極的に取得しようという運動」が行内であると言う。 「年間13日以上は必ず休みを取ろうとなっています。昨年度から、誕生日休暇というものが導入され、家族や自分の誕生日月に休めるようになりました。また、残業に関して、上司が早く帰るので、全体として早く帰りやすい雰囲気ができている」 財務部門で働く40代の女性行員もこう言う。 「元々は5連休はなかったのですが、不正がないかの確認(職場調査)のため取らされます。有休と祝日、土日も利用して10連休でヨーロッパに旅行に行きました」 これは他の業種では考えられない手厚さだ。 ◇ 女性が働きやすい環境も整っている 同じく、三菱東京UFJ銀行でカウンターセールスの30代女性行員は、妊娠を理由に退職を申し出たところ、上司が「産前休暇」を提案してくれたと言う。 これは無給なのだそうだが、「妊娠=退職」の会社が多いことを考えれば、女性にとってかなり恵まれた環境といえるだろう。この女性の話が続く。 「快く産休も取らせてもらえたうえ、復職の際に主人が転勤になったため、再度退職を申し入れたところ、関西の支店から関東の支店に異動までさせてもらいました。その後も、時間短縮勤務をさせてもらいました」 ルートセールスの20代女性も、育児休暇はかなり取りやすいと言う。 「社内全体で2011年現在合計700人くらいが育児休暇取得中。育児休暇から復帰後も、子どもが小学3年生までは時間短縮勤務が可能。最大1時間半。福利厚生の面では、保育園などに子どもを預けた場合、最大2万円まで支給される」 「オンナだから…」といった雰囲気も、他の職場に比べると薄い。30代前半の女性社員によると、数年前に「女性活躍推進委員会」が立ち上がり、今後、女性の役付き者を増やす目標が掲げられたと言う。 「銀行は安定志向の学生が集まる職場」といわれがちだ。しかし、銀行で身につけたスキルを他の業界で広く活用できる人材は、今後より求められることになるだろう。
「意識の高い学生」こそ、銀行で働くことを目指すべき
最近の大学生の中に、NPO(非営利組織)で働きたい人が増えている。厳しい就職活動に揉まれて傷ついたり、古い体質の日本企業で嫌な思いをするくらいなら、はじめから「国際貢献」などの仕事をしたいと考えているそうだ。
この手の学生に最も不人気なのが“銀行”だ。金融機関が世の中の「事業」と「カネの流れ」に大きく関わり、社会的なイノベーションの創出に欠かせない役割を果たしていることを、ほとんど知らないからだろう。
社会人からすると、NPOとは大企業に「社会的責任」を押し付けて寄付を募るという、たかりのように映るときもある。逆に「意識の高い若者」にとって、その程度は「欧米では当然のこと」であり、それを理解しない企業は「意識が低い」のだという。
しかし、そんな世間知らずの若者が、いくら「世界を変えたい」などと言って、大風呂敷を広げても誰も協力したいと思わないだろう。そして、カネがなければ困っている人たちを救うこともできない。
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「世の中の仕組み」を知ることで「カネ」も動かせる
カネを動かせるようになるためには、世の中の仕組みを知ることが必要だ。彼らの夢の実現に必要なスキルを身につけるには、彼らが毛嫌いする銀行で働くのが、実は近道だ。
東京三菱UFJ銀行で法人営業に携わる20代後半の男性行員は、銀行勤務のメリットを、まさに「世の中の仕組みをよく知ることができる」という言葉で評価している。
「金にまつわる知識がつくのはもとより、社会経済のしくみを知る機会が多く、その情報源も社内に豊富にある。また経営者の話はとても勉強になる。ネームバリューがあるからこそ、経営者と直接話ができるわけで、この肩書がなかったら会えない人たちに容易に会うことができる」
「信頼」「人脈」「カネの動かし方」。社会の最前線で価値を産みだす社内外のパワフルな人材と知り合うことで、世の中を動かすために何が必要なのか、学習することができるのだろう。
また、休みを十分取り、海外旅行をする余裕もあるという。同じく、三菱東京UFJ銀行で働く20代女性行員は、「全体で休みを積極的に取得しようという運動」が行内であると言う。
「年間13日以上は必ず休みを取ろうとなっています。昨年度から、誕生日休暇というものが導入され、家族や自分の誕生日月に休めるようになりました。また、残業に関して、上司が早く帰るので、全体として早く帰りやすい雰囲気ができている」
財務部門で働く40代の女性行員もこう言う。
「元々は5連休はなかったのですが、不正がないかの確認(職場調査)のため取らされます。有休と祝日、土日も利用して10連休でヨーロッパに旅行に行きました」
これは他の業種では考えられない手厚さだ。
◇
女性が働きやすい環境も整っている
同じく、三菱東京UFJ銀行でカウンターセールスの30代女性行員は、妊娠を理由に退職を申し出たところ、上司が「産前休暇」を提案してくれたと言う。
これは無給なのだそうだが、「妊娠=退職」の会社が多いことを考えれば、女性にとってかなり恵まれた環境といえるだろう。この女性の話が続く。
「快く産休も取らせてもらえたうえ、復職の際に主人が転勤になったため、再度退職を申し入れたところ、関西の支店から関東の支店に異動までさせてもらいました。その後も、時間短縮勤務をさせてもらいました」
ルートセールスの20代女性も、育児休暇はかなり取りやすいと言う。
「社内全体で2011年現在合計700人くらいが育児休暇取得中。育児休暇から復帰後も、子どもが小学3年生までは時間短縮勤務が可能。最大1時間半。福利厚生の面では、保育園などに子どもを預けた場合、最大2万円まで支給される」
「オンナだから…」といった雰囲気も、他の職場に比べると薄い。30代前半の女性社員によると、数年前に「女性活躍推進委員会」が立ち上がり、今後、女性の役付き者を増やす目標が掲げられたと言う。
「銀行は安定志向の学生が集まる職場」といわれがちだ。しかし、銀行で身につけたスキルを他の業界で広く活用できる人材は、今後より求められることになるだろう。