• 最長3か月も休めるヤフー 「制度使うには勇気がいる」と社員の声

    ヤフーが勤続10年以上の社員を対象に、最長で3か月の休暇を取得できる制度の導入を開始した。一般の感覚からするとかなり羨ましい制度だが、現場の社員は複雑な心境のようだ。

    大学などに設けられている「サバティカル制度」は、勤続年数が一定に達したり優秀な成果を出したりした教員や研究者を対象に、学外での研究や執筆、または充電などのための長期の休暇を与えるというものだ。期間は1年の場合が多い。

    「休暇支援金」も出て、有給も併用可能

    欧米の企業では、社員の自己研鑚のために同様の制度を設けるところもある。しかし、1日2日の有給休暇の取得もままならない日本企業でこうした制度を設けることは異例だ。

    ヤフーの発表によると、今回の制度は勤続10年以上の社員を対象としており、最短で2か月、最長3か月の休暇を取ることができる。

    欧米ではサバティカル休暇中は無給のことが多いが、ヤフーでは「休暇支援金」として基準給与1か月分を支給する。有給休暇も併用できるので、休暇中もある程度の給与が支払われることになる。

    ヤフーは「一定のキャリアを積んだ社員が、自らのキャリアや経験、働き方を見つめなおし、考える機会をつくることで、本人のさらなる成長に繋げてもらうことを目的とした制度です」と趣旨を説明している。

    この制度はネット上でも話題になり、ツイッターなどには「いいなー」「こういう企業が増えるといい」といった制度を羨ましがるものが多い。もし休みを取れたら何をしようと「とらぬ狸の皮算用」をする人も。

    一方で、「帰ってきたら自分の席がなくなってそうで怖い」といった声も出ている。

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    現場は複雑「やりたい仕事ができなくなるかも」

    仕事を辞めずに長期の休暇をとれる制度ができたのだから、社員は手放しで喜んでいるのでは、と思うところだが、実際の現場は複雑な気持ちのようだ。ヤフーで勤続9年目になる30代の男性社員は

    「もうしばらくで勤続10年なので同僚と『休んで何しようか』なんて話していますが、実際に使うのは難しいんじゃないですかね」

    と語る。有給休暇が制度としてはあってもなかなか使いづらいように、サバティカル制度も使うのは「かなり勇気がいる」と話す。特に、最初に制度を使う人は、「相応の覚悟がいる」と及び腰だ。

    また、長期休暇の取得に及び腰なのはヤフーならではの事情があるという。

    「とにかく仕事のスピードが速いなんてもんじゃない。それこそ宮坂社長が言っているように『爆速』です。組織の変化も激しいので、2~3か月も休んでいたら自分の仕事がどうなってしまうか分からない。やりたいことが出来なくなってしまうかも知れない」

    たしかに、IT業界はどこも変化のスピードが激しい。サバティカル休暇は、もちろんプロジェクトが一段落してから取るのだろうが、それでも仕事から何か月も離れるのは不安だろう。果たして制度は上手く機能するのだろうか。

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