• 電子書籍でアマゾンに対抗! 「ジャパゾン」に盛大な“出オチ感”

    もはやアマゾンの独走状態となっている電子書籍業界。そんな中で、国内の大手書店や取次会社などが、合同で電子書籍販売事業をスタートすることが報じられた。だが、「リアル書店」で「電子書籍を販売する」という手法に対し、各所から疑問の声が出ている。

    報道によると、紀伊國屋書店などの大手書店や、楽天、ソニーなどの電子書店、トーハン、日販などの取次会社など計13社が「電子書籍販売推進コンソーシアム」を11月末に設立した。

    「電子書籍のメリットがひとつもない」

    仕組みとしてはまず、従来の「リアル書店」の店頭に、電子書籍の作品カードが並べられる。購入者はその場で決済し、作品カードに書いてある番号をもとにネットから電子書籍をダウンロードする。

    紀伊國屋書店や、三省堂書店などで、来春から実証実験をする予定だとしている。

    さらに、人気作家の作品をネットよりも早く、書店で電子書籍として発売する計画もあるという。書店で電子書籍を買うスタイルを定着させて、リアル書店を守りながら電子書籍市場を開拓する、という考えのようだ。

    12月22日付けの朝日新聞記事では、アマゾンに対抗する連合体「ジャパゾン」を目指す、などと書かれている。

    だがそもそも「わざわざ書店に出向く必要がない」、というのが電子書籍の重要な利点の一つだ。「コンソーシアム」のやろうとしているサービスはその利点を削いでしまい、利用者にとっては面倒だろう。

    ネット上では、「ジャパゾン」という微妙なネーミングも相まって、

    「電子書籍購入時のメリットがひとつもない」
    「パソコンを使ったことがない人のアイデアだな」
    「書店が本当に生き残りたいなら、別のニッチな方向を模索すべき」

    といった声が挙がった。

    アマゾンCEO「競合を見るな、顧客を見ろ」

    国内の電子書籍市場は、品揃えの豊富さ、対応端末の多さ、サイトの利便性などで、アマゾンの「Kindleストア」の独走状態だ。

    インプレスR&Dが今年12月に発表した電子書籍ストアの利用率に関する調査結果でも、回答者の半数を超える55.2%がKindleストアを利用していると回答。次に人気なのがアップルの「iBookストア」で17.5%。国内企業では、紀伊國屋書店の「Kinoppy」(13.5%)やソニーの「Readerストア」(11.9%)と、アマゾンにはまだまだ及ばない、という感じだ。

    それがここに来て「ジャパゾン」なのだから、「日本企業には革新的なことができないことが分かった」と言われてしまうのも無理もないことだろう。

    アマゾンで勤務経験があるというブロガーは、「ジャパゾン」とアマゾンでは

    「発想というか志の点で(米アマゾン創業者の)ジェフ・ベゾス氏との違いが決定的」

    と痛烈に指摘。ベゾス氏は、競合相手と自社を比較して「うちはここが優れている」といったようなことを言わない。従業員には常々、競合相手ではなく顧客のことを考えるように、と語っていたという。

    コンソーシアムからは「打倒アマゾン」という考えばかりが見える。さらにリアル書店を守らなくては、という極めて内向きの動機がユーザーに見透かされている。これでは「顧客のことが置き去りになっている」と言われてしまうのも当然だろう。

    スタート前から「ジャパゾン」という微妙な名前で報じられた「電子書籍販売推進コンソーシアム」。この一大プロジェクト、果たして上手くいくのだろうか。

    あわせてよみたい:アマゾン社員、ベゾスの「?」メールに戦々恐々 

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