電子書籍でアマゾンに対抗! 「ジャパゾン」に盛大な“出オチ感” 2013年12月24日 企業徹底研究 ツイート もはやアマゾンの独走状態となっている電子書籍業界。そんな中で、国内の大手書店や取次会社などが、合同で電子書籍販売事業をスタートすることが報じられた。だが、「リアル書店」で「電子書籍を販売する」という手法に対し、各所から疑問の声が出ている。 報道によると、紀伊國屋書店などの大手書店や、楽天、ソニーなどの電子書店、トーハン、日販などの取次会社など計13社が「電子書籍販売推進コンソーシアム」を11月末に設立した。 「電子書籍のメリットがひとつもない」 仕組みとしてはまず、従来の「リアル書店」の店頭に、電子書籍の作品カードが並べられる。購入者はその場で決済し、作品カードに書いてある番号をもとにネットから電子書籍をダウンロードする。 紀伊國屋書店や、三省堂書店などで、来春から実証実験をする予定だとしている。 さらに、人気作家の作品をネットよりも早く、書店で電子書籍として発売する計画もあるという。書店で電子書籍を買うスタイルを定着させて、リアル書店を守りながら電子書籍市場を開拓する、という考えのようだ。 12月22日付けの朝日新聞記事では、アマゾンに対抗する連合体「ジャパゾン」を目指す、などと書かれている。 だがそもそも「わざわざ書店に出向く必要がない」、というのが電子書籍の重要な利点の一つだ。「コンソーシアム」のやろうとしているサービスはその利点を削いでしまい、利用者にとっては面倒だろう。 ネット上では、「ジャパゾン」という微妙なネーミングも相まって、 「電子書籍購入時のメリットがひとつもない」 「パソコンを使ったことがない人のアイデアだな」 「書店が本当に生き残りたいなら、別のニッチな方向を模索すべき」 といった声が挙がった。 アマゾンCEO「競合を見るな、顧客を見ろ」 国内の電子書籍市場は、品揃えの豊富さ、対応端末の多さ、サイトの利便性などで、アマゾンの「Kindleストア」の独走状態だ。 インプレスR&Dが今年12月に発表した電子書籍ストアの利用率に関する調査結果でも、回答者の半数を超える55.2%がKindleストアを利用していると回答。次に人気なのがアップルの「iBookストア」で17.5%。国内企業では、紀伊國屋書店の「Kinoppy」(13.5%)やソニーの「Readerストア」(11.9%)と、アマゾンにはまだまだ及ばない、という感じだ。 それがここに来て「ジャパゾン」なのだから、「日本企業には革新的なことができないことが分かった」と言われてしまうのも無理もないことだろう。 アマゾンで勤務経験があるというブロガーは、「ジャパゾン」とアマゾンでは 「発想というか志の点で(米アマゾン創業者の)ジェフ・ベゾス氏との違いが決定的」 と痛烈に指摘。ベゾス氏は、競合相手と自社を比較して「うちはここが優れている」といったようなことを言わない。従業員には常々、競合相手ではなく顧客のことを考えるように、と語っていたという。 コンソーシアムからは「打倒アマゾン」という考えばかりが見える。さらにリアル書店を守らなくては、という極めて内向きの動機がユーザーに見透かされている。これでは「顧客のことが置き去りになっている」と言われてしまうのも当然だろう。 スタート前から「ジャパゾン」という微妙な名前で報じられた「電子書籍販売推進コンソーシアム」。この一大プロジェクト、果たして上手くいくのだろうか。 あわせてよみたい:アマゾン社員、ベゾスの「?」メールに戦々恐々
電子書籍でアマゾンに対抗! 「ジャパゾン」に盛大な“出オチ感”
もはやアマゾンの独走状態となっている電子書籍業界。そんな中で、国内の大手書店や取次会社などが、合同で電子書籍販売事業をスタートすることが報じられた。だが、「リアル書店」で「電子書籍を販売する」という手法に対し、各所から疑問の声が出ている。
報道によると、紀伊國屋書店などの大手書店や、楽天、ソニーなどの電子書店、トーハン、日販などの取次会社など計13社が「電子書籍販売推進コンソーシアム」を11月末に設立した。
「電子書籍のメリットがひとつもない」
仕組みとしてはまず、従来の「リアル書店」の店頭に、電子書籍の作品カードが並べられる。購入者はその場で決済し、作品カードに書いてある番号をもとにネットから電子書籍をダウンロードする。
紀伊國屋書店や、三省堂書店などで、来春から実証実験をする予定だとしている。
さらに、人気作家の作品をネットよりも早く、書店で電子書籍として発売する計画もあるという。書店で電子書籍を買うスタイルを定着させて、リアル書店を守りながら電子書籍市場を開拓する、という考えのようだ。
12月22日付けの朝日新聞記事では、アマゾンに対抗する連合体「ジャパゾン」を目指す、などと書かれている。
だがそもそも「わざわざ書店に出向く必要がない」、というのが電子書籍の重要な利点の一つだ。「コンソーシアム」のやろうとしているサービスはその利点を削いでしまい、利用者にとっては面倒だろう。
ネット上では、「ジャパゾン」という微妙なネーミングも相まって、
といった声が挙がった。
アマゾンCEO「競合を見るな、顧客を見ろ」
国内の電子書籍市場は、品揃えの豊富さ、対応端末の多さ、サイトの利便性などで、アマゾンの「Kindleストア」の独走状態だ。
インプレスR&Dが今年12月に発表した電子書籍ストアの利用率に関する調査結果でも、回答者の半数を超える55.2%がKindleストアを利用していると回答。次に人気なのがアップルの「iBookストア」で17.5%。国内企業では、紀伊國屋書店の「Kinoppy」(13.5%)やソニーの「Readerストア」(11.9%)と、アマゾンにはまだまだ及ばない、という感じだ。
それがここに来て「ジャパゾン」なのだから、「日本企業には革新的なことができないことが分かった」と言われてしまうのも無理もないことだろう。
アマゾンで勤務経験があるというブロガーは、「ジャパゾン」とアマゾンでは
と痛烈に指摘。ベゾス氏は、競合相手と自社を比較して「うちはここが優れている」といったようなことを言わない。従業員には常々、競合相手ではなく顧客のことを考えるように、と語っていたという。
コンソーシアムからは「打倒アマゾン」という考えばかりが見える。さらにリアル書店を守らなくては、という極めて内向きの動機がユーザーに見透かされている。これでは「顧客のことが置き去りになっている」と言われてしまうのも当然だろう。
スタート前から「ジャパゾン」という微妙な名前で報じられた「電子書籍販売推進コンソーシアム」。この一大プロジェクト、果たして上手くいくのだろうか。
あわせてよみたい:アマゾン社員、ベゾスの「?」メールに戦々恐々