• ユニクロ次期社長の「世襲」報道 結局「柳井商店にすぎない」のか?

    売上高1兆円を超え、国内随一の超大企業となったユニクロ(ファーストリテイリング社)。新興国への出店などその勢いは依然衰える気配がないが、柳井正社長(64)が社長の座を「世襲する」という報道が出て話題となっている。

    息子2人が異例のスピード出世

    柳井氏はかねてから、自身が65歳となる2014年に社長業から引退すると表明していた。しかし、昨年10月の決算発表会で撤回。グローバル化を進めている今社長を辞めるのは「不可能」だとして、続投を表明した。

    柳井氏による現体制がもうしばらく続くことになりそうだが、東洋経済などがこれまでに報じたところによると、次期社長候補に柳井氏の2人の息子が浮上しているのだという。

    長男の一海氏(39)は米ボストン大学卒業後、同大学院でMBA(経営学修士)を取得し、ゴールドマン・サックスの投資銀行部門を経てアパレル企業のリンク・セオリーに入社。09年にファーストリテイリング社が同社を完全子会社化した後、2012年にはグループ執行役員に就任している。

    同年には三菱商事に勤務していた次男の康治氏(36)もファーストリテイリングに入社した。広報部門などを経て、昨年11月発表のIR資料ではグループ執行役員に就いている。

    IBM出身・玉塚氏は05年に更迭

    ファーストリテイリングでは、これまで後継者選びに難航してきた経緯がある。2002年に日本IBMから迎えた玉塚元一氏を社長に就任させるも、玉塚氏の「安定路線」に柳井氏が納得しなかったため、05年に更迭された。

    その後も外部から大企業出身者を招いていたが、次々と同社を離れてしまった。柳井氏はこれまで「世襲はしない」と公言してきたが、ここにきて息子2人が経営の中核近くに据えられたことで「結局世襲か!?」といった見方が出ているようだ。

    ネットでは、こうしたユニクロ世襲報道について

    「グローバルとか言ってた割には随分古い日本っぽい人事してんだな」

    「人材を国際化するんじゃなかったのか 中国人じゃないのか?」

    といった声が挙がった。批判的な意見だけでなく「ちゃんと教育しているなら世襲でもいいと思う」という見方もある。

    「やっていることは柳井商店と同じ」という声もあったが、ファーストリテイリングでは株式の22%を柳井氏が保有。2人の息子もそれぞれ同社株の4.5%を保有する大株主であり、実質的に柳井一族のオーナー企業と言える。

    世襲社長は成功するのか?

    業績が悪くなると困るのは柳井一族であるため、柳井氏としては外部から雇われ社長を就任させるよりも、一族を社長に就けた方が任せられる、という側面もあるだろう。

    大企業での世襲といえばトヨタ自動車だ。2009年に創業家4代目の豊田章男氏が社長に就任。創業家の人物が社長になるのは14年ぶりで、当初は世襲を危ぶむ声もあった。

    しかし、北米での大規模リコールや東日本大震災、中国の反日デモなどを乗り越え、昨年11月に発表された2014年3月期の中間決算では、円安の追い風もあり、過去最高益に迫る好業績を出している。

    一方で、世襲にすることで会社が創業家の私物と化し、後々災いを招くこともある。大王製紙の創業家3代目の井川意高前会長がカジノで会社の資金106億円を失った騒動も記憶に新しい。経営を知らない世襲社長によって潰された会社も数多くあるだろう。

    もはや日本を代表する企業となったファーストリテイリング。後継者問題はいつ、どのように落ち着くのだろうか。

    あわせてよみたい:ユニクロ「最貧国進出」の大誤算

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