• 「子会社出向」で妻子号泣 55歳会社員の「哀愁」にネットは白けた反応

    有名大企業の社員として華やかな人生を送っていた50代男性が、子会社への出向を機に妻子からなじられる――。そんなドラマのような場面を取り上げた「週刊現代」の記事が、ネットで話題となっている。

    タイトルは「哀愁のサラリーマン人生 別れの春がやってきた」。トヨタやパナソニックなど日本を代表する会社で「企業戦士」として働いてきたサラリーマンが出世競争に敗れ、50代で子会社への出向を命じられるという内容だ。

    落胆する娘「結婚相手の親にどう説明したら」

    特に印象的なのが、55歳男性会社員のエピソードだ。70年代に新日鐵に入社し、ライバル会社の住友金属との合併会社を経て、関連会社への出向を命じられる。60歳までは本社と待遇は同じだが、社名には「新日鐵」の名前がない。

    出向先では、本社にいるかつての部下から仕事をもらう屈辱的な日々。そこに家族が追い打ちをかけてくる。出向の2か月後に結婚式を控えていた娘は、涙を流して父に抗議した。

    「お父さん、なんとかならないの? せめて私たちの式がすむまで」
    「相手の親や親戚にどう説明したらいいの」

    この娘は「パパはエリートサラリーマン」ということに誇りを抱いて大きくなったのだという。さらには長年連れ添った妻も、泣きながら責め立ててくる。

    「あなたもあなたよ。『出向しろ』と言われて黙ってOKしたわけでしょ? なんでハッキリ『いやだ』と言わなかったのよ」

    もちろん出向を断ったら、解雇されてしまうだけだ。この男性は「自分の父親としての威厳は『新日鐵』という看板に支えられていただけだったのか」と落胆している。

    この「見てきたような描写」はネットでも注目を集め、多くの書き込みが寄せられた。可哀想なお父さんに同情が寄せられるのかと思いきや、冷ややかなものが多い。

    「浮世離れしてて眩暈がする」「50年前の作文ですか」
    「職も不安な30代と比べると何が不満なのかわからない」

    「哀愁」どころか「勝ち逃げ世代の自慢話」だ

    いま50代後半のサラリーマンといえば、30歳前後でバブル景気を満喫し、給与やボーナスをたっぷり貰った世代だ。確かに、その後の不景気を経験したかもしれないが、大企業の正社員なら大幅な給与カットもなかったに違いない。

    卒業がバブル崩壊にぶち当たった団塊ジュニアや、リーマンショックで内定が吹き飛んだ20代からすると、恵まれすぎているといってよい。ドラマ「半沢直樹」では「出向はサラリーマン人生の終わり」と描かれたが、記事では出向後も待遇は変わらないという。

    会社についている「新日鐵」の三文字さえ気にしなければ、ローンが払えなくなって生活が立ちゆかなくなる、といった事態にもならない。この男性は「妻に言い返したい思いをぐっと飲み込んだ」と描写されているが、

    「その場で『ふざけるな』となぜ怒鳴れないのか。情けない」
    「今どきこんな嫁と娘いるかよ アホらしい」
    「全員揃って『バカじゃねーの?』としか」

    など、ネットには手厳しい反応が見られる。昭和世代の読者が多く占める週刊誌は「哀愁のサラリーマン人生」を紹介したつもりかもしれないが、若いネット読者には「勝ち逃げ世代の自慢話」としか思えないのだろう。

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