「3大メガバンク体制」から6年 いまだ出身行を引きずるムラ意識 2012年4月27日 企業徹底研究 ツイート かつて「大手20行」などと言われた日本の銀行も、バブル崩壊後には不良債権問題に苦しみ、合併による再編が相次いだ。2006年には3大メガバンク体制に集約され、以来6年が経過しているが、内部ではいまだに合併前のわだかまりを残している。 三菱東京UFJ銀行は、東京銀行と三菱銀行が合併した東京三菱銀行と、三和銀行と東海銀行が合併したUFJ銀行が、さらに合併してできた。一緒になったからには力を合わせればよいと思うのだが、出身行の意地はなぜか消えない。 合併後に法人営業として働いていた30代男性は、行内の様子をこう表している。 「(4行の出身者は)それぞれの文化やローカルルールもまったく異なっている。ただ、その中でも三菱銀行出身者の発言権はきわめて強く、『三菱は国家なり』と真顔で言う管理職も少なからず存在する」 ◇ 旧UFJ銀を「無能かつ助けてあげた銀行」と呼ぶ旧三菱行員 UFJ銀出身者からすると、三菱銀出身者のプライドの高さが鼻につくようだ。実際、行内の出世に明らかな差別があったという人がいる。 「旧UFJ支店だったので、皆とてもひがんだ空気がありました。50歳で課長止まりの人は、進退に悩んでいました」 三菱銀出身者も黙っていない。UFJ銀出身者を厳しく批判する声もある。 「合併時、旧UFJはどさくさにまぎれてインフレ人事をやっています。代理だった人がいきなり副支店長級になっております。旧三菱は厳しい人事体系のままで、無能かつ助けてあげた銀行のはずであった方が勘違いして上司となっています」 3行が合併したみずほ銀行の内部でも、ムラ意識は消えていない。ある女性は、合併後の雰囲気について、こう表現している。 「バブル世代以上の方は誰かが異動してくる度に『F(富士銀行)』『IBJ(興銀)』『DKB(勧銀)』出身かを話題にされていたので・・・心の統合にはあと10年くらいかかりそうです」 しかし、これから4~5年で本当に「心の統合」までできるのだろうか。この女性は、みずほ銀行とみずほコーポレート銀行が、同じグループ傘下にもかかわらず別々のシステムを導入しているので、業務効率が悪いと指摘する。この2行は2016年に合併する予定だが、新たな「ムラ意識」に火をつけるようなら逆効果になるだろう。 ◇ 対等合併のようなキレイ事はやめたらどうか 2ちゃんねるには、旧第一勧銀出身者らしき人による「旧富士銀行、旧興銀双方は本来つぶれていたはずの銀行。…我々は軒先を貸して母屋を取られたのだ」という書き込みがある。 しかし、一勧にだって不良債権はあったし、総会屋への利益供与事件で頭取経験者が多数逮捕され、元会長が自殺した後遺症に苦しめられていたはずだ。 三井住友銀行の行員の書き込みには、ここまで強い対立の書き込みはないが、やはり出身行による違いはあるようだ。 「本店オフィス移転で、ファシリティについては相当程度改善したが、働き方やスタイル、ノリは良くも悪くも、住友銀行色が強い。(略)ローカルルールとしては、上司が住友銀行出身者かさくら銀行出身者かで、教えるルールが違うのがやっかいなところ」 こんなムラ意識丸出しの内輪もめをしていては、海外との競争に勝てるわけがない。これからは対等合併のようなキレイ事はやめて、強者が弱者を吸収合併して最適化を図った方がいいのではないだろうのか。 【その他の企業徹底研究の記事はこちら】 *「キャリコネ」は、社員が投稿した企業に関する口コミ、年収情報、面接体験などを共有するサイトです。2012年3月末現在、45万社、17万件の口コミが登録されています。
「3大メガバンク体制」から6年 いまだ出身行を引きずるムラ意識
かつて「大手20行」などと言われた日本の銀行も、バブル崩壊後には不良債権問題に苦しみ、合併による再編が相次いだ。2006年には3大メガバンク体制に集約され、以来6年が経過しているが、内部ではいまだに合併前のわだかまりを残している。
三菱東京UFJ銀行は、東京銀行と三菱銀行が合併した東京三菱銀行と、三和銀行と東海銀行が合併したUFJ銀行が、さらに合併してできた。一緒になったからには力を合わせればよいと思うのだが、出身行の意地はなぜか消えない。
合併後に法人営業として働いていた30代男性は、行内の様子をこう表している。
「(4行の出身者は)それぞれの文化やローカルルールもまったく異なっている。ただ、その中でも三菱銀行出身者の発言権はきわめて強く、『三菱は国家なり』と真顔で言う管理職も少なからず存在する」
◇
旧UFJ銀を「無能かつ助けてあげた銀行」と呼ぶ旧三菱行員
UFJ銀出身者からすると、三菱銀出身者のプライドの高さが鼻につくようだ。実際、行内の出世に明らかな差別があったという人がいる。
「旧UFJ支店だったので、皆とてもひがんだ空気がありました。50歳で課長止まりの人は、進退に悩んでいました」
三菱銀出身者も黙っていない。UFJ銀出身者を厳しく批判する声もある。
「合併時、旧UFJはどさくさにまぎれてインフレ人事をやっています。代理だった人がいきなり副支店長級になっております。旧三菱は厳しい人事体系のままで、無能かつ助けてあげた銀行のはずであった方が勘違いして上司となっています」
3行が合併したみずほ銀行の内部でも、ムラ意識は消えていない。ある女性は、合併後の雰囲気について、こう表現している。
「バブル世代以上の方は誰かが異動してくる度に『F(富士銀行)』『IBJ(興銀)』『DKB(勧銀)』出身かを話題にされていたので・・・心の統合にはあと10年くらいかかりそうです」
しかし、これから4~5年で本当に「心の統合」までできるのだろうか。この女性は、みずほ銀行とみずほコーポレート銀行が、同じグループ傘下にもかかわらず別々のシステムを導入しているので、業務効率が悪いと指摘する。この2行は2016年に合併する予定だが、新たな「ムラ意識」に火をつけるようなら逆効果になるだろう。
◇
対等合併のようなキレイ事はやめたらどうか
2ちゃんねるには、旧第一勧銀出身者らしき人による「旧富士銀行、旧興銀双方は本来つぶれていたはずの銀行。…我々は軒先を貸して母屋を取られたのだ」という書き込みがある。
しかし、一勧にだって不良債権はあったし、総会屋への利益供与事件で頭取経験者が多数逮捕され、元会長が自殺した後遺症に苦しめられていたはずだ。
三井住友銀行の行員の書き込みには、ここまで強い対立の書き込みはないが、やはり出身行による違いはあるようだ。
「本店オフィス移転で、ファシリティについては相当程度改善したが、働き方やスタイル、ノリは良くも悪くも、住友銀行色が強い。(略)ローカルルールとしては、上司が住友銀行出身者かさくら銀行出身者かで、教えるルールが違うのがやっかいなところ」
こんなムラ意識丸出しの内輪もめをしていては、海外との競争に勝てるわけがない。これからは対等合併のようなキレイ事はやめて、強者が弱者を吸収合併して最適化を図った方がいいのではないだろうのか。
【その他の企業徹底研究の記事はこちら】
*「キャリコネ」は、社員が投稿した企業に関する口コミ、年収情報、面接体験などを共有するサイトです。2012年3月末現在、45万社、17万件の口コミが登録されています。