おばあちゃんに泣かれても売る! 証券会社の超ノルマ攻め 2012年6月22日 企業徹底研究 ツイート AIJ投資顧問の企業年金資金消失問題と、オリンパスの巨額損失隠し事件は、ともに野村證券OBが関与していたとされる。特にオリンパスの場合、損失を隠す不正な方法を指南しただけでなく、自らの投資助言会社に莫大な報酬を振り込ませている。 企業の弱みにつけこみ、不正行為をそそのかしながら自らの懐を肥やすのだから、本当の悪はこっちだろ、という気がしてならない。こんなOBを輩出する証券業界だが、現役で働く人たちからも「こんな商売でいいのか?」という声が漏れている。 キャリコネの口コミによると、大和証券でコンサルティング営業に携わる20代女性は、この業界に「転職してくる人とか信じられない」とつぶやいている。 「(仕事で辛かったのは)おばあちゃんに泣かれた事。投資信託のノルマの為に、株売って買いましょうなんて言っちゃう自分。(略)上司におこられて、会社に居られなくなるからやる。怖い会社。心が痛い」 ◇ 「顧客が悲痛な叫びを上げて罵声を浴びせてくる」 長引く不況で市場は冷え込んでいるが、それでも金融商品の売り買いをしなければ会社は成り立たない。ときには顧客に損害を与えそうだと分かっていても、知らん顔で勧めなければいけないときもある。 「売らなくてはならないものを売ることで、お客様の資産に大きな損害を与えてしまうことがあります。でも上司に歯向かうことはできないので仕方ないです」(野村証券、男性、20代後半) 「会社の戦略で積極的に推進する商品が、納得のできる内容ではなく、さらに販売後にあまり良いものではないと発覚した際には後味の悪さを感じました」(日興コーディアル証券、男性、20代後半) 「過大な損失が出た顧客が悲痛な叫びを上げて罵声を浴びせてくる時、『自分は何故この仕事をしているのか?』と自責の念に駆られる」(大和証券、男性、20代後半) それでも証券営業は、数字が命。「数字が人格」と公然と言われる会社もあり、日々ノルマとの戦いである。これは特定の会社だけのことではないだろう。 「ノルマを達成できなければ上司からは激しく罵倒される。(略)大和証券の半分は理不尽さでできている」(大和証券、男性、20代後半) ◇ 「貯蓄から投資へ」の流れを妨げていないか そんな中でも、「仕事は仕事」と割り切って会社が望む成果をあげようとする人もいる。そうでなければ、自分の身が危うくなるからだ。 「お客に大量に売りかけたり、明らかに不利な商品を販売したことも多くありました。私の仕事は所詮手数料で稼ぐ部分なので、自分の給与分ぐらいはなんとしても販売しようとがんばりました」(野村証券、女性、20代前半) 「最初はええーと思うような商品でも、必死でいいところを探す商品勉強をします。すると必ず、あのお客さんはこんなところを気に入ってくれるはずだから勧めてみようととか、(略)アイデアから結果に繋がることがやりがいになります」(日興コーディアル証券、女性、20代前半) よくいえば仕事熱心、研究熱心と言えるのだろうが、それがお客の利益に本当につながっているのだろうか。まあ、最終的には判断を下したお客の自己責任になるのだろうが…。 世界第2位といわれる日本の個人金融資産を市場に出せば、経済も活性化させられると「貯蓄から投資へ」などといったスローガンも掲げられた。しかし、証券会社が健全な営業をしない限り、そういった流れも定着しないだろう。 「新規開拓して、苦労してできたお客様にそのような商品を押し売りし、信用を失う。その繰り返しが不毛に思えてしまう。(略)1500兆(円)のうち半分以上を占める貯蓄から有価証券にお金を動かすのが我々の使命というが、このようなやりかたしかないのかと甚だ疑問に感じてしまう」(大和証券、20代前半、男性) 【その他の企業徹底研究の記事はこちら】 *「キャリコネ」は、社員が投稿した企業に関する口コミ、年収情報、面接体験などを共有するサイトです。2012年5月末現在、45万社、18万件の口コミが登録されています。
おばあちゃんに泣かれても売る! 証券会社の超ノルマ攻め
AIJ投資顧問の企業年金資金消失問題と、オリンパスの巨額損失隠し事件は、ともに野村證券OBが関与していたとされる。特にオリンパスの場合、損失を隠す不正な方法を指南しただけでなく、自らの投資助言会社に莫大な報酬を振り込ませている。
企業の弱みにつけこみ、不正行為をそそのかしながら自らの懐を肥やすのだから、本当の悪はこっちだろ、という気がしてならない。こんなOBを輩出する証券業界だが、現役で働く人たちからも「こんな商売でいいのか?」という声が漏れている。
キャリコネの口コミによると、大和証券でコンサルティング営業に携わる20代女性は、この業界に「転職してくる人とか信じられない」とつぶやいている。
「(仕事で辛かったのは)おばあちゃんに泣かれた事。投資信託のノルマの為に、株売って買いましょうなんて言っちゃう自分。(略)上司におこられて、会社に居られなくなるからやる。怖い会社。心が痛い」
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「顧客が悲痛な叫びを上げて罵声を浴びせてくる」
長引く不況で市場は冷え込んでいるが、それでも金融商品の売り買いをしなければ会社は成り立たない。ときには顧客に損害を与えそうだと分かっていても、知らん顔で勧めなければいけないときもある。
「売らなくてはならないものを売ることで、お客様の資産に大きな損害を与えてしまうことがあります。でも上司に歯向かうことはできないので仕方ないです」(野村証券、男性、20代後半)
「会社の戦略で積極的に推進する商品が、納得のできる内容ではなく、さらに販売後にあまり良いものではないと発覚した際には後味の悪さを感じました」(日興コーディアル証券、男性、20代後半)
「過大な損失が出た顧客が悲痛な叫びを上げて罵声を浴びせてくる時、『自分は何故この仕事をしているのか?』と自責の念に駆られる」(大和証券、男性、20代後半)
それでも証券営業は、数字が命。「数字が人格」と公然と言われる会社もあり、日々ノルマとの戦いである。これは特定の会社だけのことではないだろう。
「ノルマを達成できなければ上司からは激しく罵倒される。(略)大和証券の半分は理不尽さでできている」(大和証券、男性、20代後半)
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「貯蓄から投資へ」の流れを妨げていないか
そんな中でも、「仕事は仕事」と割り切って会社が望む成果をあげようとする人もいる。そうでなければ、自分の身が危うくなるからだ。
「お客に大量に売りかけたり、明らかに不利な商品を販売したことも多くありました。私の仕事は所詮手数料で稼ぐ部分なので、自分の給与分ぐらいはなんとしても販売しようとがんばりました」(野村証券、女性、20代前半)
「最初はええーと思うような商品でも、必死でいいところを探す商品勉強をします。すると必ず、あのお客さんはこんなところを気に入ってくれるはずだから勧めてみようととか、(略)アイデアから結果に繋がることがやりがいになります」(日興コーディアル証券、女性、20代前半)
よくいえば仕事熱心、研究熱心と言えるのだろうが、それがお客の利益に本当につながっているのだろうか。まあ、最終的には判断を下したお客の自己責任になるのだろうが…。
世界第2位といわれる日本の個人金融資産を市場に出せば、経済も活性化させられると「貯蓄から投資へ」などといったスローガンも掲げられた。しかし、証券会社が健全な営業をしない限り、そういった流れも定着しないだろう。
「新規開拓して、苦労してできたお客様にそのような商品を押し売りし、信用を失う。その繰り返しが不毛に思えてしまう。(略)1500兆(円)のうち半分以上を占める貯蓄から有価証券にお金を動かすのが我々の使命というが、このようなやりかたしかないのかと甚だ疑問に感じてしまう」(大和証券、20代前半、男性)
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*「キャリコネ」は、社員が投稿した企業に関する口コミ、年収情報、面接体験などを共有するサイトです。2012年5月末現在、45万社、18万件の口コミが登録されています。