スタートトゥデイ、メガネトップ、あさひ 高ROA小売業の「若者搾取」ぶり 2012年6月25日 企業徹底研究 ツイート 専門店や量販店などの小売業では、経営効率の改善が進んでいる。日本経済新聞の最近のまとめによると、ROA(総資産経常利益率)の2011年度決算の平均は7%となり、前年度から0・5ポイント上昇した。 ROAは、建物や土地といった資産をどれだけ有効に使って、利益を稼ぎ出しているかの指標だ。日本経済新聞によると、小売業125社の合計で、この1年間に総資産が3%増加したのに対し、経常利益は10%増えたという。 こうしたROAの改善幅が大きいのは、どんな会社だろうか。キャリコネに寄せられた口コミから見ていこう。 ◇ 年収が低くても満足なスタートトゥデイの元社員 まず、ROAそのものが最も高いのが、スタートトゥデイだ。衣料品のネットショッピングサイト「ZOZOTOWN」を運営している。2012年3月期の売上高は318億円。試着などできないインターネットで、服を買うという習慣を根付かせることに成功した。 同社では2012年5月から「1日6時間労働」をスタートして話題になっている。実施にあたっては、1時間単位で設定していた会議を45分に縮めたり、パワーポイントで作成していた社内資料を簡単なメモで済ませたりと、業務の効率化を進めたという。 だが、社員の満足度はそれほど高くないかもしれない。営業企画を担当していた元社員の女性(25)が言う。 「いい経験はできる。ただし社員のレベルが低いため、まわりと切磋琢磨することでの成長は期待できない。自分で勉強する人は、あくまでキャリアパスの1社としてとらえて入社することを勧める」 この女性の年収は500万円だったそうだ。内訳は、給与420万円と、年間のボーナスが80万円だという。 倉庫管理を担当していた元社員の男性(28)は、年収300万円だった。中途入社したが、数年で退職した。残業や休日出勤はゼロだったと言うが、それにしても収入は少なめではないか。ところが、男性は、この報酬額について「満足」と回答している。ここは無欲の若者たちの集まりなのだろうか。 ◇ 年収300万円でも「新卒ではもらっている」と言うあさひの社員 一方、ROAの改善幅が大きかったのは、「眼鏡市場」を展開しているメガネトップだ。1年間でROAは9ポイント上昇した。店舗数が1割増えて761点になるなど、総資産が15%増えた。一方で、商品の売れ行きは好調。経常利益が65%増になったという。 しかし、この会社も給与は低い。ショップスタッフの男性(30)は、大卒の中途入社で、年収240万円だ。 「休憩時間が短縮されて、休憩を言い出しづらい。また、その休憩中は店舗外で食事をとることは許されていない。上場はしているものの、ワンマンの感じが強く、現社長も会長の息子。大企業ゆえのCI(企業思想)の統一があまりできていないように感じる」 販売促進を担当する男性(26)も、年収は290万円。社風について、 「基本的に正社員は転勤が前提であり、休日は不定期、土日祝日を休むのはもってのほか」 と明かしている。 自転車公理の大手で、「サイクルベースあさひ」を展開するあさひも好調だ。売上高や利益は下がったが、ROAは前年比で微増し、高水準を維持している。 20代前半のショップスタッフの男性は言う。 「春先秋口は凄まじい程忙しい。特に中型小型店舗になるとスタッフが少ないため、一人休まれると確実に休憩が取れなくなります」 それでも、仕事には満足している。 「忙しい店舗に勤めていればおのずとスキルが身につき、半年程度で一般自転車は大抵の修理が出来るようになる」 だが、ここも給与はかなり低めだ。正社員の男性スタッフ(22)は年収300万円。しかし、こう話す。 「新卒にしてはもらっている感じはあります。小売りという事を考えれば妥当な給与かと。高すぎず低すぎず」 別の男性スタッフ(24)も年収336万円だ。 「早ければ3年で店長になります。平均しても5年で店長にはなれるでしょう」 ただし、店長から先の出世コースは狭き門となっているという。 低すぎる報酬にも文句を言わず、黙々と働き続ける若者たちによって、高ROA企業は支えられているようだ。 *「キャリコネ」は、社員が投稿した企業に関する口コミ、年収情報、面接体験などを共有するサイトです。2012年5月末現在、45万社、18万件の口コミが登録されています。
スタートトゥデイ、メガネトップ、あさひ 高ROA小売業の「若者搾取」ぶり
専門店や量販店などの小売業では、経営効率の改善が進んでいる。日本経済新聞の最近のまとめによると、ROA(総資産経常利益率)の2011年度決算の平均は7%となり、前年度から0・5ポイント上昇した。
ROAは、建物や土地といった資産をどれだけ有効に使って、利益を稼ぎ出しているかの指標だ。日本経済新聞によると、小売業125社の合計で、この1年間に総資産が3%増加したのに対し、経常利益は10%増えたという。
こうしたROAの改善幅が大きいのは、どんな会社だろうか。キャリコネに寄せられた口コミから見ていこう。
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年収が低くても満足なスタートトゥデイの元社員
まず、ROAそのものが最も高いのが、スタートトゥデイだ。衣料品のネットショッピングサイト「ZOZOTOWN」を運営している。2012年3月期の売上高は318億円。試着などできないインターネットで、服を買うという習慣を根付かせることに成功した。
同社では2012年5月から「1日6時間労働」をスタートして話題になっている。実施にあたっては、1時間単位で設定していた会議を45分に縮めたり、パワーポイントで作成していた社内資料を簡単なメモで済ませたりと、業務の効率化を進めたという。
だが、社員の満足度はそれほど高くないかもしれない。営業企画を担当していた元社員の女性(25)が言う。
「いい経験はできる。ただし社員のレベルが低いため、まわりと切磋琢磨することでの成長は期待できない。自分で勉強する人は、あくまでキャリアパスの1社としてとらえて入社することを勧める」
この女性の年収は500万円だったそうだ。内訳は、給与420万円と、年間のボーナスが80万円だという。
倉庫管理を担当していた元社員の男性(28)は、年収300万円だった。中途入社したが、数年で退職した。残業や休日出勤はゼロだったと言うが、それにしても収入は少なめではないか。ところが、男性は、この報酬額について「満足」と回答している。ここは無欲の若者たちの集まりなのだろうか。
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年収300万円でも「新卒ではもらっている」と言うあさひの社員
一方、ROAの改善幅が大きかったのは、「眼鏡市場」を展開しているメガネトップだ。1年間でROAは9ポイント上昇した。店舗数が1割増えて761点になるなど、総資産が15%増えた。一方で、商品の売れ行きは好調。経常利益が65%増になったという。
しかし、この会社も給与は低い。ショップスタッフの男性(30)は、大卒の中途入社で、年収240万円だ。
「休憩時間が短縮されて、休憩を言い出しづらい。また、その休憩中は店舗外で食事をとることは許されていない。上場はしているものの、ワンマンの感じが強く、現社長も会長の息子。大企業ゆえのCI(企業思想)の統一があまりできていないように感じる」
販売促進を担当する男性(26)も、年収は290万円。社風について、
「基本的に正社員は転勤が前提であり、休日は不定期、土日祝日を休むのはもってのほか」
と明かしている。
自転車公理の大手で、「サイクルベースあさひ」を展開するあさひも好調だ。売上高や利益は下がったが、ROAは前年比で微増し、高水準を維持している。
20代前半のショップスタッフの男性は言う。
「春先秋口は凄まじい程忙しい。特に中型小型店舗になるとスタッフが少ないため、一人休まれると確実に休憩が取れなくなります」
それでも、仕事には満足している。
「忙しい店舗に勤めていればおのずとスキルが身につき、半年程度で一般自転車は大抵の修理が出来るようになる」
だが、ここも給与はかなり低めだ。正社員の男性スタッフ(22)は年収300万円。しかし、こう話す。
「新卒にしてはもらっている感じはあります。小売りという事を考えれば妥当な給与かと。高すぎず低すぎず」
別の男性スタッフ(24)も年収336万円だ。
「早ければ3年で店長になります。平均しても5年で店長にはなれるでしょう」
ただし、店長から先の出世コースは狭き門となっているという。
低すぎる報酬にも文句を言わず、黙々と働き続ける若者たちによって、高ROA企業は支えられているようだ。
*「キャリコネ」は、社員が投稿した企業に関する口コミ、年収情報、面接体験などを共有するサイトです。2012年5月末現在、45万社、18万件の口コミが登録されています。