東京電力で「40代エリート層」が流出しはじめている? 2013年4月17日 今日の口コミ&年収 ツイート 東京電力で、社員の自主退職のスピードが上がっている。2012年度の自主退職者は約710人で、前年比の1.5倍となった。退職の動きが40代など中堅社員へ広がり、本社企画部門や営業部門、原子力部門の退職者が多かったようだ。 本社社員の自主退職が増えている理由として、収入の減少が拍車をかけているという報道もある。確かに給与・賞与カットはあったが、平均年収570万円あまりと大企業平均を上回っている状況では「かわいそう」とまでは言えないだろう。 自主退職している社員たちが「腐っても元東電」というブランドとつぶしの利くスキルを持ったエリートたちであれば、いまごろは首尾よく転職に成功しているのではないか。 退職者の多い企画部門がエリートなのは、キャリコネの口コミからも裏付けられる。 「各部門ごとに出世ルートというのがあるような印象ですが、最後の最後までということを思うと、企画部が出世コースだったのかなと思います」 「圧倒的に国公立大学卒業者が優遇されている。いわゆる出世コースは本店の企画部あるいは総務部なのだが、在籍者の半数以上は東京大学卒で占められる」 2011年の自主退職者の半数以下は、30歳以下。これまで40代社員たちは、このまま会社に残るべきかどうか迷っていた可能性がある。せっかく入った東京電力を辞めることになるとは予想していなかったし、しばらくすれば状況は落ち着くかもしれない。 エリート社員として、会社の屋台骨を支える責任もある。しかし状況は好転の見込みがなく、社会的な風当たりも依然として厳しい。幸いなことに転職先も確保できる。家族のためにも、このあたりで新天地を見出した方がいいと判断したのではないだろうか。 充実していた福利厚生の大幅削減も一因か 中堅社員の自己退職が増えたもうひとつの理由として、事故後の福利厚生の大幅な削減によって生活水準が下がり、自己負担分が増えていたから、という見方がある。 東京電力は会社の性格上、表立って高い給料を支払うことができなかったが、その代わりに裏の給与ともいえる福利厚生が充実していることで有名だった。キャリコネの口コミにも、震災前の書き込みには福利厚生を絶賛する声であふれていた。 「この会社のいいところは、福利厚生の充実さ。特に全国各地に保養所があり、毎年家族で旅行に行っています。(略)巨大企業であるが故の安心感というものは計りしれません。この会社ならば中流以上の生活が保証できるでしょう」(40代男性、技術職) 「給料を高くしすぎない分、福利厚生にまわしている。世間的にも東京電力の肩書きは大きな力を持っているように思う。会社の名前を言えば、信頼してもらえるに近い」(28歳男性、設計職) 「これ以上の福利厚生がある会社を見つけるのは難しいのではないかというくらい整っている」(27歳女性、カウンターセールス) その幸福な状況は、東日本大震災とそれに伴う原発事故で一変する。顧客からの非難を浴び、社会的信頼も地に落ちた。利用できる福利厚生施設も、一気に削減された。 ある20代後半の男性は、「一度削られた福利厚生が復活することは考えづらいため、今後は一般的な企業程度の福利厚生に落ち着くだろう」と嘆いている。一般的水準なら問題ないと思うのだが、中堅以上の社員にとっては大きな打撃となっていた可能性がある。
東京電力で「40代エリート層」が流出しはじめている?
東京電力で、社員の自主退職のスピードが上がっている。2012年度の自主退職者は約710人で、前年比の1.5倍となった。退職の動きが40代など中堅社員へ広がり、本社企画部門や営業部門、原子力部門の退職者が多かったようだ。
本社社員の自主退職が増えている理由として、収入の減少が拍車をかけているという報道もある。確かに給与・賞与カットはあったが、平均年収570万円あまりと大企業平均を上回っている状況では「かわいそう」とまでは言えないだろう。
自主退職している社員たちが「腐っても元東電」というブランドとつぶしの利くスキルを持ったエリートたちであれば、いまごろは首尾よく転職に成功しているのではないか。 退職者の多い企画部門がエリートなのは、キャリコネの口コミからも裏付けられる。
「各部門ごとに出世ルートというのがあるような印象ですが、最後の最後までということを思うと、企画部が出世コースだったのかなと思います」
「圧倒的に国公立大学卒業者が優遇されている。いわゆる出世コースは本店の企画部あるいは総務部なのだが、在籍者の半数以上は東京大学卒で占められる」
2011年の自主退職者の半数以下は、30歳以下。これまで40代社員たちは、このまま会社に残るべきかどうか迷っていた可能性がある。せっかく入った東京電力を辞めることになるとは予想していなかったし、しばらくすれば状況は落ち着くかもしれない。
エリート社員として、会社の屋台骨を支える責任もある。しかし状況は好転の見込みがなく、社会的な風当たりも依然として厳しい。幸いなことに転職先も確保できる。家族のためにも、このあたりで新天地を見出した方がいいと判断したのではないだろうか。
充実していた福利厚生の大幅削減も一因か
中堅社員の自己退職が増えたもうひとつの理由として、事故後の福利厚生の大幅な削減によって生活水準が下がり、自己負担分が増えていたから、という見方がある。
東京電力は会社の性格上、表立って高い給料を支払うことができなかったが、その代わりに裏の給与ともいえる福利厚生が充実していることで有名だった。キャリコネの口コミにも、震災前の書き込みには福利厚生を絶賛する声であふれていた。
「この会社のいいところは、福利厚生の充実さ。特に全国各地に保養所があり、毎年家族で旅行に行っています。(略)巨大企業であるが故の安心感というものは計りしれません。この会社ならば中流以上の生活が保証できるでしょう」(40代男性、技術職)
「給料を高くしすぎない分、福利厚生にまわしている。世間的にも東京電力の肩書きは大きな力を持っているように思う。会社の名前を言えば、信頼してもらえるに近い」(28歳男性、設計職)
「これ以上の福利厚生がある会社を見つけるのは難しいのではないかというくらい整っている」(27歳女性、カウンターセールス)
その幸福な状況は、東日本大震災とそれに伴う原発事故で一変する。顧客からの非難を浴び、社会的信頼も地に落ちた。利用できる福利厚生施設も、一気に削減された。
ある20代後半の男性は、「一度削られた福利厚生が復活することは考えづらいため、今後は一般的な企業程度の福利厚生に落ち着くだろう」と嘆いている。一般的水準なら問題ないと思うのだが、中堅以上の社員にとっては大きな打撃となっていた可能性がある。