「2万時間ムダ」の日本年金機構 「元公務員様」が公言する民間嫌い 2013年10月29日 今日の口コミ&年収 ツイート 会計検査院の調べで、2012年度の日本年金機構の業務のうち、約2万2000時間が「ムダ」で削減可能だったことが分かった。外部委託すべき入力作業の一部を、事務センターの内部職員が処理していたという。 これは、1日8時間勤務の職員の10年分もの給与に相当する金額だ。 機構側は「委託業者の習熟度に不安を感じた職員が(自分で)処理した」などと検査院に説明したと報じられている。つまり仕事を手抜きしたわけではなく、ルールに従わずに「やり過ぎ」てしまったということか。現場としては色々言い分はありそうだ。 正職員には「絵に描いたような給与泥棒」もいる コストダウンを目的とした外部委託がうまく回らず、かえって手戻りが増えてしまうケースはよくある話だ。今回もそういう面があったのかもしれないが、もしも機構が純粋な民間企業であれば徹底した業務改善が行われたことだろう。 2010年に機構が発足した際には、旧社会保険庁の職員が1万人あまり採用されている。機構の職員は非公務員ではあるが、特殊法人の甘えはなかっただろうか。 口コミサイトのキャリコネにも、不穏なコメントが寄せられている。非正規職員の40代女性によると、年金機構の組織はやはり旧社保庁出身者が風土改革を妨げているというのだ。 「旧社会保険庁出身者の身内同士ミスをかばいあい、業務遂行能力が全くない人も大きな顔をしていられて、在職年数に応じてそれなりのポジションを得ているのも疑問」 この背景には、旧社保庁出身者の根強い「公務員意識」があるようだ。年金記録問題などの不祥事で社保庁は廃止され、職員は公務員の立場を失ったが、その恨みはくすぶったままだ。 別の30代の女性職員は、昼休みや喫煙所で「元公務員様」がプライドと選民意識をあらわにして「民間採用の奴は使えない! 人間性に問題がある奴らばかりだ!」と叫ぶのを耳にした。今回の「ムダ」も、民間へ仕事を出すことの拒否感が原因かもしれない。 あるベテラン職員によれば、社保庁時代からの職員は「働くまともな人」と「絵に描いたような給与泥棒」とに分かれるという。モチベーションの問題なのか、能力の問題なのか、あるいは両方なのかは分からない。 (最新の記事はtwitter.com/kigyo_insiderへ) 現場を支える非正規職員「人が抜けると穴埋めが大変」 個人の問題だけでなく、組織体制としてもうまく回っていないようだ。複数の職員が、機構の体制を「無策だ」と批判している。 「散らばってどこにあるかも分からないような膨大なマニュアルを自分で探し、見て考え、仕事をこなさなければなりません」 「たいした研修もないのに、専門的な知識が必要な質問にも答えないといけません」 「マニュアルや(仕事の)流れの統一化をしなければミスは防げないと感じた」 これらはすべて、現場で働く非正規職員から上がっている声だ。年金知識が不足している正職員もおり、上司に相談しても問題を理解してもらえないこともあるという。 しかも現場から上部組織への問い合わせは禁止されており、雇用契約の更新に響くことをおそれ、上司にしつこく聞くこともできない。これでは仕事が回らないわけだ。 「専門性の高い業務なので、人が抜けると穴埋めが本当に大変です」 そもそも年金に関する事務手続きは、民間の金融機関並みに厳密性を要する仕事だ。しかし給与は銀行よりもずっと安く、国民からのコストダウン要求はむやみに厳しい。これでは優秀でモチベーションの高い職員を確保するのは難しい。これでは年金事務の抜本的な改善は厳しそうだ。
「2万時間ムダ」の日本年金機構 「元公務員様」が公言する民間嫌い
会計検査院の調べで、2012年度の日本年金機構の業務のうち、約2万2000時間が「ムダ」で削減可能だったことが分かった。外部委託すべき入力作業の一部を、事務センターの内部職員が処理していたという。
これは、1日8時間勤務の職員の10年分もの給与に相当する金額だ。
機構側は「委託業者の習熟度に不安を感じた職員が(自分で)処理した」などと検査院に説明したと報じられている。つまり仕事を手抜きしたわけではなく、ルールに従わずに「やり過ぎ」てしまったということか。現場としては色々言い分はありそうだ。
正職員には「絵に描いたような給与泥棒」もいる
コストダウンを目的とした外部委託がうまく回らず、かえって手戻りが増えてしまうケースはよくある話だ。今回もそういう面があったのかもしれないが、もしも機構が純粋な民間企業であれば徹底した業務改善が行われたことだろう。
2010年に機構が発足した際には、旧社会保険庁の職員が1万人あまり採用されている。機構の職員は非公務員ではあるが、特殊法人の甘えはなかっただろうか。
口コミサイトのキャリコネにも、不穏なコメントが寄せられている。非正規職員の40代女性によると、年金機構の組織はやはり旧社保庁出身者が風土改革を妨げているというのだ。
この背景には、旧社保庁出身者の根強い「公務員意識」があるようだ。年金記録問題などの不祥事で社保庁は廃止され、職員は公務員の立場を失ったが、その恨みはくすぶったままだ。
別の30代の女性職員は、昼休みや喫煙所で「元公務員様」がプライドと選民意識をあらわにして「民間採用の奴は使えない! 人間性に問題がある奴らばかりだ!」と叫ぶのを耳にした。今回の「ムダ」も、民間へ仕事を出すことの拒否感が原因かもしれない。
あるベテラン職員によれば、社保庁時代からの職員は「働くまともな人」と「絵に描いたような給与泥棒」とに分かれるという。モチベーションの問題なのか、能力の問題なのか、あるいは両方なのかは分からない。
(最新の記事はtwitter.com/kigyo_insiderへ)
現場を支える非正規職員「人が抜けると穴埋めが大変」
個人の問題だけでなく、組織体制としてもうまく回っていないようだ。複数の職員が、機構の体制を「無策だ」と批判している。
これらはすべて、現場で働く非正規職員から上がっている声だ。年金知識が不足している正職員もおり、上司に相談しても問題を理解してもらえないこともあるという。
しかも現場から上部組織への問い合わせは禁止されており、雇用契約の更新に響くことをおそれ、上司にしつこく聞くこともできない。これでは仕事が回らないわけだ。
そもそも年金に関する事務手続きは、民間の金融機関並みに厳密性を要する仕事だ。しかし給与は銀行よりもずっと安く、国民からのコストダウン要求はむやみに厳しい。これでは優秀でモチベーションの高い職員を確保するのは難しい。これでは年金事務の抜本的な改善は厳しそうだ。