• 有線社員が「80時間残業」告白 「フツーの社員」に意味ある働き方なのか

    はてな匿名ダイアリーに4月13日、「有線放送の会社で働いている」という題の投稿があった。この社員は、月に80時間は残業をしているという。

    ただし、残業代は25時間分しか出ない。労使協定では「残業代は25時間分以上も払う」とされているそうだが、現実は違うようだ。

    「新社長が、なんでうちはやめる人多いの?とか言ってるらしいけど、まずは待遇面をしっかりしろよ、って話」

    残業代も適切に支払われていないおそれ

    この情報がどこまで確かなのか分からないが、同じ業界で働いていた女性に取材したところ、自分も同じような激務だったといい、こう明かしてくれた。

    「その日のノルマにいってないと、夜中にビラをポスティング。飲食店向けにはオーナーに会うため、深夜まで営業することもあった」

    キャリコネの口コミにも、この業界には厳しい職場環境を示すものがほとんどだ。「定時で帰れるということはあまりない」(30代男性)、「1日1件契約を取らなければ帰れない風潮」(20代男性)といった声が並ぶ。

    長時間労働が常態化していることに加え、残業代が適切に支払われないのも問題だ。アディーレ法律事務所で労働問題を多く扱う岩沙好幸弁護士によると、これは違法状態の疑いが高いという。

    企業は、法定労働時間(1日8時間・週40時間)を超えて労働させる場合、いわゆる「36(サブロク)協定」という労使協定を結ばなければならない。さらに時間外労働には「限度時間」が定められており、1週間に15時間、1か月に45時間を超える時間外労働をさせてはいけないことになっている。

    「限度時間を超えて時間外労働を行わなければならない特別の事情が予想されたとしても、『特別条項付き協定』を結ばない限り、限度時間をさらに延長させることはできません」

    仮にこの会社で、臨時的に「残業80時間」の月があるという特別条項を結んでいたとしても、その回数は年に6回を超えてはならない。これが常態化していたということは、それだけで違法ということになる。

    「エリートの成長」とは別問題なのでは

    また、先の有線社員の話では、25時間を超える残業代は「支払いがない」という。しかし時間外労働や休日労働については、通常賃金に割増しした賃金が支払われなければならない。

    残業代は2年前まで遡って請求できる。タイムカードのほか業務日報、会社PCのメール送受信記録、PCの起動時間などが有効な証拠となるという。

    しかし、こうした残業の話題になると、「労働者としての成長」という話と絡めて苦言を呈する人もいる。元マイクロソフト社長の成毛眞氏も、自ら社長を務めた当時を振り返ったインタビューで、こう言っている。

    「最初の1年間は、24時間365日働けといって、実際にやらせました。新人教育? やめろ、ムダだ。仕事させたほうが早い」

    確かに会社や産業界を背負うエリート層には、定時をきちんと守る働き方はふさわしくないのかもしれない。優秀な人たちに早期に多くの経験を積ませ、スキルをつけてもらうことは、世の中にとっても悪いことではない。

    ただし、エリートたちの激務には、「将来の高い報酬」という果実がもたらされる可能性が残されている。その見込みが低く、会社に使われるだけの非エリートである「フツーの人」に、そこまでする意味がどこまであるのだろうか。

    あわせてよみたい:「社畜さんいわく 残業のことを『二次会』って言うんだって♪」

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