• 海外で売れる「ユーズド・イン・ジャパン」 日本発の中古品が大人気のワケ

    「同じくらいの値段なら日本製を買うよ。中国製の新品より、だんぜん日本の中古品」

    経済成長著しいフィリピンで、オフィス家具を買いに来た男性客の言葉だ。2014年4月14日の「未来世紀ジパング」(テレビ東京)は、日本の中古品が海外で取り引きされている現場を紹介していた。

    JIS規格の「中古オフィス家具」は高品質

    「ASEANの優等生」と言われるほど経済成長しているフィリピンは、ほとんどの人が英語を使えることや人件費の安さから、世界中の企業が進出している。増加するオフィスで使われていたのは、日本の中古品だった。

    値段は、中国や韓国メーカーの新品より1割ほど高いが、日本の中古家具専門店・オフィスバスターズが大人気だという。

    日本でオフィス家具が中古品になるのは、会社が倒産して廃棄される場合と、事業拡大のため新しいオフィスに移転する場合だ。景気が悪くても良くても、多くの中古品が出る。汚れや数の不揃いで日本では売れないものが、フィリピンでは売れるという。

    中東のUAE(アラブ首長国連邦)では、日本の中古自転車が大人気だ。暑い中での移動も簡単で、後部の荷台に荷物をくくりつけて商売するのにうってつけだという。

    日本製の中古品が人気の理由は、その「品質」にある。オフィス用の椅子はJIS規格で、100kgの人が15年座り続けても大丈夫。値段は若干高めでも、日本の中古品が丈夫で使い心地がいいという評判が根付いている。

    中国製でも「日本で使われていれば、いいもの」

    UAEで人気の自転車は、日本製でなくてもいい。日本から自転車を買い取って商売しているオフラン・ウーラさんの言葉は、メード・イン・ジャパンならぬ「ユーズド・イン・ジャパン」が重要視されていることを象徴的に表していた。

    「日本語が書いてあると高く売れるんだ。品質がいいって証拠だよ。メード・イン・チャイナでも、日本で使われていたなら、それはいいものなんだよ」

    この自転車をUAEに輸入しているのは、兵庫県に本社を置く中古品の買い取り専門業者、エコリングだ。「店に持ってきたものは、全て買い取ります」という。

    日本人形やこけし、使いかけの化粧品など「どう考えても、売れそうもない」と思われる品々も大量に買い取る。どこに売るかは「買い取ってから考える」のだそうだ。

    エコリングの社長、桑田一成氏は元郵政官僚という異色の経歴の持ち主だ。桑田社長はアフリカへの貿易ルート拡大を狙い、現地調査をしていた。

    ウガンダの首都、カンパラにあるオウィノマーケットは、東アフリカ最大の市場。東京ドームの1.5倍の広さに3300店舗が並ぶ。食品はもちろん、日用雑貨品から高級ブランド品に至るまで、何でも売っているが、ほとんどの物が中古品だという。

    将来の「市場開拓」に最適な商品

    マーケットには、炭火を入れて使うアイロンや使用済みのトランクスなど、日本では考えられないようなものまで売っている。桑田社長は、現地の状況を見ながら日本の古着を売る構想を矢継ぎ早に練っていた。本格的なアフリカ進出が始まったのだ。

    沸騰ナビゲーターの鈴木亮氏(日本経済新聞 編集委員)は、世界に広がるジャパンブランドは”中古品から新製品へ”と未来予測した。

    「ユーズド・イン・ジャパンによって、日本の品物のクオリティーの良さは体感した。いずれアフリカの方も購買力がつくと、今度は新品を買う力がついてくる。つまり日本経済からすると、将来の潜在的なお客さんを開拓している(ことになる)」

    日本で不要になったものが、必要とする国で生きてくるとなれば嬉しい話だ。中古品でも世界へ「ジャパンブランド」を力強く発信し得ることを知った。(ライター:okei)

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