• 老人扱いはツマラナイ! 常識破りの「高齢者施設」が入居者に人気

    いまや4人に1人が65歳以上という高齢化社会。高齢者本人だけでなく、親の老後生活と介護は働き盛りのビジネスマン世代にも気がかりのタネだ。

    2014年4月15日の「ガイアの夜明け」(テレビ東京)は、生き生きしたシニアライフを提供するために奮闘している人々を紹介していた。

    ボランティア参加で「社会とのつながり」求める

    千葉県にあるシニア用分譲マンション「スマートコミュニティ稲毛」。 高級ホテルのような作りと、住民専用「クラブハウス」が人気だ。毎日開かれるゴルフ、フラダンスなど趣味の教室が30種以上で、日中は看護師が常駐する。

    利用料は月9万円だが、これには老舗料理店監修の懐石風料理が楽しめる朝晩の食事代も含まれる。運営会社のスマートコミュニティ社長・染野正道(49歳)さんは、ゲーム会社「スクウェア・エニックス」からの転身者だ。

    同社はゲームで言えばソフトにあたる、住民サービスに力を注いてきた。しかし設立から4年目、染谷社長は住民たちからの思いがけない不満にぶつかっていた。「楽しいだけでは何かが足りない」というのだ。

    入居者に意見を聞くと「ボランティアをしたい」という。ただサービスを受け、悠々自適な生活を送るだけでなく、社会とのつながりを求めていた。

    会社はすばやく提案を受け入れ、車椅子ダンスの体験イベントを行った。入居者が車椅子の障害者とペアでダンスを踊り、充実感を抱く様子を見た染野社長は、今後のヒントを得た。

    「いきいきと暮らすために必要なことは何だろう、と思ったときに、社会とのつながりとか、何か貢献していることだとか、そういうことが気持ちとして大事。“常に進化し続ける”のが今のテーマです」

    あえて手すりや階段を残す「バリア・アリー」

    山口県に本部がある「夢のみずうみ村」は、常識破りのデイサービスセンターとして注目を集めている。代表の藤原茂さんは、いまや常識のバリアフリーを真っ向から否定し、手すりや階段などをあえて残す「バリア・アリー」に取り組む。

    「バリアフリーというのは、生活するということをより狭める。『箱入り高齢者』をつくるような(もの)。そうではなくて“バリア・アリー”で、いろいろな状況下でも動けるようにする」

    スタッフは利用者をすぐに手伝わず、あえて見守ることを徹底。できることがあれば、手伝わないで手をひく“介護をしない介護”で、介護者はたし引きの目極めが必要だという。

    さらに特徴的なのは、施設内だけで使える「ユーメ」という通貨。ユーメはプログラムを受ける際に支払うが、リハビリの目標を掲げて達成したり、ゲームでも稼ぐことができる。

    毎日のゲーム大会では、ダーツや輪投げ・カジノまであり、ルーレットでは利用者の女性が「稼いだ!」「負けた!」という会話で大盛り上がり。金銭感覚が刺激され、認知症の予防にもなるという。

    こうした様々なリハビリで、介助なしでは立てなかった車いす利用者が、1年半で歩けるまで回復した例もある。

    介護度を下がると報酬が減るという「矛盾」

    夢のみずうみ村は、このような取り組みを通じて、要介護度3の改善率は全国平均11.5%のところ、76.9%という驚異的な成果をあげてきた。しかし、利用者の要介護度が軽くなると「収入が減る」という経営的な矛盾も出ている。

    現在の制度では、介護度が低くなるほど施設側の報酬が減るというしくみだ。利用者の介護度を改善させても、施設の功績はほとんど考慮されないという。それでも、藤原さんは「このやり方を全国に広めたい」と、フランチャイズ展開を進行中だ。

    デイケアサービスというと、高齢者家族の負担軽減という認識が強かったが、夢のみずうみ村は、利用者自身を楽しませるリハビリセンターのように感じた。人はどうしても老いるものだが、「もうトシだから気楽に過ごしたら」という押しつけや、「要介護になったら衰える一方」という一律の固定概念は捨てた方がよいと感じた。(ライター:okei)

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