• 国際線を大幅増便した羽田空港 国内需要の縮小に抗い「成長のチャンスあり」

    国際線は成田、国内線は羽田という、空の玄関のイメージが変わろうとしている。2014年4月22日の「ガイアの夜明け」(テレビ東京)は、3月30日から国際線を大幅に増便した羽田空港と、これをビジネスチャンスにつなげようという動きを追っていた。

    国際線を最大の10便増やしたANA(全日本空輸)の篠辺修社長は、力強くこう語る。

    「少子高齢化を前提とすると、国内需要は大幅に伸びる余地はないだろうと。でも強い国際線のネットワークをつくれば、十分成長のチャンスがある」

    アジアだけでなくヨーロッパ便も増える

    利益拡大を期待するのは、航空会社ばかりではない。成田よりも都心に近い羽田空港は、圧倒的なアクセスの良さからビジネスでおおいに活用できる。

    海外に工場をもつ社長の小澤惠二さんは、羽田-ハノイという新設された路線を利用し、ベトナムの現地視察に向かった。朝8:45に羽田を出て、昼11:55には現地到着できる。

    今までは移動に1日使っていたが、今回は午後に建築中の工場視察、市内の支社訪問の後、社員をねぎらう夕食会にも出席できた。2泊3日かかっていた出張を1泊2日で終え、夜9時に東京に着き、電車で帰宅する余裕があった。

    増便したのは、アジアだけではない。ヨーロッパなど世界23都市、1日最大77便が増便された。大手旅行会社のH.I.S.は、社をあげて羽田発着のツアーを次々と打ち出していた。欧州担当リーダーの福井さんはこう語る。

    「羽田発欧州便は、深夜発しかなかったものが、今回昼間の便が拡充されています」
    「滞在時間が半日増えることになるので、増えた時間を使ってどんなことができるのかというのをお客さんに伝えようとしています」

    世界の航空会社から「割安航空券」割り振られる

    世界各国の航空会社が羽田便を増加し、出発直前にリーズナブルな価格で旅行会社に割り振る座席数も増えた。H.I.S.東南アジアチームでは、席の情報が入ってから40分という速さで「シンガポール2泊4万9800円」の破格ツアーを、企画から案内チラシ・WEBまで仕上げていた。

    リーダーの大島秀明さんは、安さの秘密をこう説明した。

    「(出発)間際なので、航空会社から安く出してもらいました。お客さんもお得に行けるし、ウチとしてはちゃんとレートも貰えているので、商品としても成り立ちます」

    このマレーシア観光ツアーに、孫と娘・祖母の3世代で参加していた一家がいた。「マーライオンが見たい」と言うお孫さんの希望をかなえたくて、1週間前にこのツアーを見つけたそうだ。

    これまでは地方から海外に行くには、ソウルの仁川空港から乗り換えた方が楽という流れもあった。しかし羽田の国際線増便によって、地方から羽田経由で海外へ出る人が増えた。

    富山きときと空港では、朝の便で出発して羽田を経由しフランクフルトまで、その日の夕方には到着できる便があるという。逆に羽田を経由して地方に来る外国人も増え、富山県観光課の荻布さんはこの好機に期待を寄せていた。

    「これまで富山に目を向けていなかった国々にも、『乗り継いで富山に行ける』とより強くアピールできる機会だと思っています」

    東京五輪の開催にも期待

    富山県には北アルプスをはじめ、黒部ダム、雪の大谷など数々の観光地がある。合掌造りの集落「五箇山」は世界遺産だ。荻布さんは各国の航空会社の日本支社長たちを富山に招き、直接観光地をPRして好評を得ていた。

    こうしてみると、どうして今まで羽田は国際線に力を入れていなかったのかという気がしてしまう。これだけ便利と聞けば、国内外の海外旅行客が増えて、経済効果がかなり期待できる。東京オリンピックの開催時にも活躍してくれることだろう。(ライター:okei)

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