• アズママのワンコイン「子育てシェア」 近隣5キロ圏内のママと子どもを預け合い

    「子どものお迎えで保育園の目の前にいながら、仕事のクレーム対応の電話をしたことがありました」

    そう語るのは、ある子育て中の働く主婦だ。労働人口が減少していくなか、働き手として子育て中の主婦が注目されている。出産を機に6割の女性が退職するといわれる日本にあって、女性が働きやすい環境づくりを支援する動きが広がっているのだ。

    2014年7月15日放送の「ガイアの夜明け」(テレビ東京)は、地域の子育てママがワンコインで子どもを安心して預け合うサービスや、週に数回・短時間勤務での再就職を可能にする派遣会社など、子育てに優しい働き方を支援する動きを紹介していた。

    必ず事前に「顔合わせ」をして知り合いに

    働く女性に「仕事と子育ての両立で困っていること」を尋ねると、1位は子どもの急病で、2位は残業しづらい、3位は保育園の数が少ない、といったものが続いたという。

    困ったときに子どもを預けられる場所があったらいいのに――。そんなニーズに応えるべく、「1時間500円」とワンコインで安心して気軽に子どもを任せることができる新サービスを始めたのが、横浜に本社を構えるアズママだ。

    アズママのウェブサイトで個人情報を無料登録すると、近隣5キロ圏内に住むママたちの情報が検索でき、その中からわが子の世話をしてくれる人を募ることができる。

    知らない人に預ける不安を解消するために、事前に幼稚園の友達など知り合い同士で登録したり、初めての利用者は必ず事前に顔合わせやイベントに参加したりして、知り合いになる。このサービスを介して友達同士で預けあうこともでき、

    「500円という金額で割り切ってやり取りができるというのは非常にいい」

    と利用者からは好評だ。さらに、万一の事故があった場合は保険が適用されるので、預かる側にも安心な仕組みになっている。

    元IT企業OLが「ご近所同士の頼り合い」を組織化

    アズママ社長の甲田恵子さん(38)は、以前IT企業で勤務しながら子育てとの両立の難しさを実感していた。退職後、この経験を生かして2009年にアズママを設立。2013年から子育てシェアを始めた動機をこう語る。

    「昔でいう『ご近所同士の頼り合い』ということが、誰にでも当たり前に、どの地域でもできる。そういう仕組みがないのかなと、結構本気で調べたけれどもなくて。だったら、自分たちで作るしかない」

    子育てシェアの登録者数は、1年で約1万人、月に1000人ペースで増加している。甲田社長は子育て中の親だけではなく、企業内でも登録しあい応援してもらえれば、親は子育てしながらの働き方に自信が持てると考え、社員約700人のサイバー・コミュニケーションズを訪れ女性社員にサービスを紹介していた。

    アズママのサイトを訪れてみると、ボランティアでもNPOでもないこの企業の収入源は、親子イベントを共同開催する各企業とのタイアップだ。パートナー企業はイオンモールや森永乳業、ベネッセなどと聞けば、ビジネスとして成立していることが納得できる。

    番組では他に、「前職で高いスキルを身につけた主婦」を対象に人材派遣を始めた東京・新宿のビースタイルも紹介。優秀な営業やバイヤーをフルタイムで雇う余裕がない中小企業や老舗料亭へ、週数回・短時間勤務で派遣され成果を上げている主婦を取り上げた。

    求められる「根本的な解決方法」

    地域で子どもを預けるサービスは行政でも行っているが、それほど活発に活用されている様子はないように見える。主婦の立場から見ても、待機児童が減らない中、ネットで知人どうしを一つの目的でつなげるアズママは画期的なサービスだと思う。

    こうした取り組みはとても素晴らしいと思うが、これらはあくまで主婦側がなんとか工夫して「子育てしながら働く」ことを実現しようしている部分への助け舟だ。残念ながら「いまの日本企業では子育てしにくい」ことに対する根本的な解決方法ではない。

    日本の企業全体が、働きたくても働けない子育て中の女性たちの悩みを解消し、男女ともに働きながら子どもを育てることに優しい環境になることを切に願う。(ライター:okei)

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