• ぬるま湯と甘えの「下請け企業」 大口取引先の「契約終了」をどう乗り切った

    2014年2月20日の「カンブリア宮殿」(テレビ東京)では、日本の下請け企業の再起の話が取り上げられていた。リーマンショックや工場の海外流出により不況が続く「下請け企業」が、いかに生き残りを果たしたかという内容だ。

    広島県のオオアサ電子は、ある自動車部品メーカーからの仕事が売上の8割を占める典型的な下請け企業だった。主要製品は車の液晶パネルで、2008年には売上約10億円を達成し、順風満帆かと思われた。

    創業30年でも「ベンチャーのつもりで頑張る」

    しかし2009年のリーマンショックで、その大口取引先から契約終了を通告された。

    「中国に委託先を替える。1年後までに取引をゼロにする」

    長田克司社長は従業員たちとの話し合いを何度も行った末、「30年も下請けでやってきた。この技術は負けないはずだ」と、廃業せずに会社を存続させる決断をした。

    そこから自社製品開発へ動き出し、制作されたのが「エグレッタ(シラサギの意)」と名づけられた20万円を超える高級スピーカーだ。音質はもちろん、グッドデザイン賞を受賞するなど意匠性も高く評価されている。

    さらに液晶パネル技術を応用し、スマートフォン用カバーガラスも開発。

    「無名の田舎の会社でも、良いものを作れば認められる。創業30年ですが、まだまだベンチャー企業のつもりで頑張る」

    と長田社長は胸を張っていた。

    忠誠心と引き換えに庇護を得る関係から「自立」する

    もう一つ取り上げられたのは、TOPという会社。もともとパナソニックの100%下請けの完全子会社だったが、親会社の海外への工場移転により清算が決まった。

    しかし「まだ地元で働きたい」という思いから、旧会社の課長を務めていた山本惠一氏(後に社長)など従業員3人が1000万円を出資して2003年に新会社を設立。土地などをかつての親会社に借りながら、大企業の資本なしで再出発した。

    家電以外のモーターを開発し、顧客を広げていたが、リーマンショックで再び苦難に。大手自動車メーカーと共同開発していたモーターが新型車に搭載され、大ヒットを実現したことで、会社は再び持ち直した。

    「何が起きても大丈夫、という甘えがあったかもしれない」

    出演していた長田社長の発言が印象的だった。MCの村上龍は、「下請け企業」が発注先の要求に忠実に従い、忠誠心を示すことと引き換えに、庇護を得る構造を「親子関係に通じる」と評していた。

    しかし、実際の親子も、いつまでも「庇護」関係を続けていくことは困難だ。どこかでぬるま湯と甘えを捨てて、自立する必要がある。このことは「会社」と「従業員」との関係にも通じるものがあるな、と思った。(ライター:ナイン)

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