連合の闘争方針「誰もが時給1000円」 いつか実現できるのか? 2014年3月13日 キャリコネ調査班 ツイート 日本労働組合総連合(連合)は2014年の春闘で、正社員の賃上げや企業規模間の格差是正に加えて、「非正規労働者の生活改善」を企業に要求している。非正規共闘方針には、このような項目が掲げられている。 「時給が 800 円に達していない組織は 800 円をめざし、時給が 800 円に達している組織は『誰もが時給 1000 円』をめざす」 しかし法律上の最低賃金は、この金額に程遠い。個別企業に時給引き上げを促すしかなく、共産党の小池晃副委員長は国会で、アルバイトを最低賃金で募集する居酒屋チェーンのワタミグループを批判していた。 「単純労働でそんなこと言われても」と厳しい指摘 非正規社員が低賃金に苦しむ例は多い。3月12日の毎日新聞では、個人加盟の労働組合「出版ユニオン」に参加する男性の例が挙がっている。 書籍取次大手の物流センターで契約社員として働くこの男性は、週6日、朝8時から16時までの勤務。月収約16万円で生活費が足りず、親から3万円の仕送りを受けながら「ぎりぎりの生活」を強いられているという。 ただ、このニュースを読んだネットユーザーからは、厳しい声もあがっている。「16万あれば、仕送りはいらないだろ」「カネが足りなければ、夜のアルバイトの口はあるはず」というのだ。 また、「注文のあった本のピックアップや入庫作業」という仕事内容に対しても、その労働にどれだけの価値があるのか、と冷ややかな意見が見られる。 「誰でもできる(仕事)。マックのバイトより簡単」 「単純労働でそんなこと言われてもな。そのうち機械に取って代わられて仕事自体がなくなるんだから」 連合はこのような仕事にも、「誰もが時給1,000円」を求めるのだろうか。「(ユニオンに参加して)労働争議に費やす時間を資格取得に使った方が、時給の高い仕事ができるようになる」と突き放す声もあった。 時給引き上げで「門戸を閉ざされる人」はいないのか 「労働生産性を上げなければ、時給を上げても雇用者数が減るだけだ」という声もあった。難しい表現だが、価値の低い仕事にむりやり割高の賃金を払えば、企業は雇用者数を減らさざるを得ないというのだ。 この構造は、実は「リーマンショック後の正社員」で実際に起こっていることでもある。彼らは安定雇用と収入は保証されているものの、慢性的な人手不足の中で過重労働を強いられている。 原因のひとつは、グローバル化で日本人の人件費が相対的に割高になってしまったことだ。高い人件費でも雇われる日本人は、外国人よりスキルの高い人か、進んで「サービス残業」をしてくれる人に限られる。 Q&AサイトのOKWaveには、「最低時給1000円に増えることになって喜んでいる人は、自分が時給1000円の仕事に簡単にありつけると本気で思っているのでしょうか?」という質問が寄せられている。 スキルの低い人や、少しくらい時給が低くてもいいから「とにかく仕事くれ!」と思っている人が、最低時給の引き上げによって門戸を閉ざされてしまい、職にあぶれて困る人が大勢出るのではないか――。 「結果として、ワーキングプアのために良かれとやろうとしていることが、ぜんぜんワーキングプアのためにならないことになるではと私は思ってます」 質問者は、そう考えているのだという。確かにいくら規制を強化しても「時給1000円に見合う仕事」が変わるわけではない。 あわせてよみたい:公務員も3割が「非正規」時給800円台
連合の闘争方針「誰もが時給1000円」 いつか実現できるのか?
日本労働組合総連合(連合)は2014年の春闘で、正社員の賃上げや企業規模間の格差是正に加えて、「非正規労働者の生活改善」を企業に要求している。非正規共闘方針には、このような項目が掲げられている。
しかし法律上の最低賃金は、この金額に程遠い。個別企業に時給引き上げを促すしかなく、共産党の小池晃副委員長は国会で、アルバイトを最低賃金で募集する居酒屋チェーンのワタミグループを批判していた。
「単純労働でそんなこと言われても」と厳しい指摘
非正規社員が低賃金に苦しむ例は多い。3月12日の毎日新聞では、個人加盟の労働組合「出版ユニオン」に参加する男性の例が挙がっている。
書籍取次大手の物流センターで契約社員として働くこの男性は、週6日、朝8時から16時までの勤務。月収約16万円で生活費が足りず、親から3万円の仕送りを受けながら「ぎりぎりの生活」を強いられているという。
ただ、このニュースを読んだネットユーザーからは、厳しい声もあがっている。「16万あれば、仕送りはいらないだろ」「カネが足りなければ、夜のアルバイトの口はあるはず」というのだ。
また、「注文のあった本のピックアップや入庫作業」という仕事内容に対しても、その労働にどれだけの価値があるのか、と冷ややかな意見が見られる。
連合はこのような仕事にも、「誰もが時給1,000円」を求めるのだろうか。「(ユニオンに参加して)労働争議に費やす時間を資格取得に使った方が、時給の高い仕事ができるようになる」と突き放す声もあった。
時給引き上げで「門戸を閉ざされる人」はいないのか
「労働生産性を上げなければ、時給を上げても雇用者数が減るだけだ」という声もあった。難しい表現だが、価値の低い仕事にむりやり割高の賃金を払えば、企業は雇用者数を減らさざるを得ないというのだ。
この構造は、実は「リーマンショック後の正社員」で実際に起こっていることでもある。彼らは安定雇用と収入は保証されているものの、慢性的な人手不足の中で過重労働を強いられている。
原因のひとつは、グローバル化で日本人の人件費が相対的に割高になってしまったことだ。高い人件費でも雇われる日本人は、外国人よりスキルの高い人か、進んで「サービス残業」をしてくれる人に限られる。
Q&AサイトのOKWaveには、「最低時給1000円に増えることになって喜んでいる人は、自分が時給1000円の仕事に簡単にありつけると本気で思っているのでしょうか?」という質問が寄せられている。
スキルの低い人や、少しくらい時給が低くてもいいから「とにかく仕事くれ!」と思っている人が、最低時給の引き上げによって門戸を閉ざされてしまい、職にあぶれて困る人が大勢出るのではないか――。
質問者は、そう考えているのだという。確かにいくら規制を強化しても「時給1000円に見合う仕事」が変わるわけではない。
あわせてよみたい:公務員も3割が「非正規」時給800円台